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文学について 2

ジョージ・マクドナルドは子沢山で、職業作家であったので、多くの小説を書いていますが、それらは売文でありまして、一冊も日本語には翻訳されていませんし、現在では英語でも読む事ができないと思います。残ったのは彼の数冊の幻想文学です。その中でも私が熱狂したのは、彼が青年期に書いた『ファンタステス』(国書刊行会)です。トールキンが愛読したという子供向けの『カーディとお姫さまの物語』 (岩波少年文庫)『お姫さまとゴブリンの物語』 (岩波少年文庫)も好きな本でした。

マクドナルドの『ファンタステス』はドイツ・ロマン主義の影響が強いと言われています。ここでドイツ・ロマン主義に繋がるのですが、実際にはほぼ同時に読んでいます。特に前期ロマン主義(イェーナ派)と言われる詩人のノヴァーリスに熱狂しました。心理学でいうところの「同一化」を目指すのか、私の場合は、好きな作家が影響を受けた本も読むのです。おかげでドイツ観念論哲学も読みましたし、ドイツ神秘主義の本も読んでいます。それも解説本でなく原作を読むので、まあ面倒な高校生ですね(笑)

そうは言えども、入り口は解説書です。澁澤龍彦を読んで、そこに紹介されている本を読んでいます。マルシリオ・フィチーノやピコ・デラ・ミランドラといった新プラトン主義の哲学者も読んでいますし、錬金術文書も読んでいます。中世美術に惹かれるのも、澁澤龍彦のせいかもしれません。澁澤龍彦が引用していたからなのか、たまたま本屋で見かけたのが発端か、覚えていませんが、アンドレ・ブルトンの『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』(岩波文庫)に出会いました。また同時に、これは図書館にあったのだと思いますが、モーリス・ブランショのマラルメ論を読み、マラルメに惹かれました。この辺りから詩が「わかった」と思えるようになります。自分でも詩作を始め、友人の挿絵を入れて、手作りのコピー誌で、詩集を作りました。

絵画ではギュスターヴ・モローと、レオナルド・ダ・ヴィンチの『洗礼者ヨハネ』が好きで、『聖ヨハネ』はルーブル美術館で実物を見ています。『モナ・リザ』には人が集まって大変でしたが、『洗礼者ヨハネ』の前には誰もいず、じっくりと堪能できました。

とにかくまあ綺麗なものが好きだったのですね。ボードレールは偉大な詩人ですが、マラルメの詩は綺麗な言葉で書かれているのです。この辺りが、自分の原点でしょうか?ヨーロッパの19世紀末の爛熟が好きなのです。しかしそれと共に、ダダ、シュルレアリスムの前衛性も好きです。

個人の趣味に溺れると、心地よいですが、引きこもりになってしまいます。自分の殻を破るものも欲するわけです。その矛盾が自分の中にあります。

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