福祉のお金(5) 移動支援

 まずは、説明をしておこう。
 移動支援は、障害者総合支援法での地域生活支援事業(介護保険法での地域支援事業とは別物!)に組み込まれている、外出時のヘルパー事業といえます。基本的には、1対1での支援です。
 ある程度、市町村の判断で、報酬や範囲を決めることができます。介護給付の居宅介護と違うのは、利用者の条件が「手帳を持っている人」と広く決められています。だけど、市町村によっては、重度訪問介護や行動援護の利用者、「グループホームに入居している」と利用できないところもあります。また、提供時間は、本人と話し合って「週2回で1回3時間利用したい」などと決めて、市町村に支給決定のお願いをするという感じで、1か月の限度が「月30時間」が多いですね。

 一応、基本的な内容を載せておきます。

 移動支援は、単独では、外出や屋外での移動が困難な障がいのある方に、イベントへの参加や観劇などの余暇活動等や、冠婚葬祭・教育・文化活動などの社会生活上必要不可欠な、外出時にヘルパー等を派遣し、移動の介助及び、外出に伴って必要となる身の回りの介護を行い移動が困難な障がいのある方の自立生活及び、社会参加を促すこと目的とする、障害者総合支援法に基づき各市町村が実施する地域生活支援事業の必須事業の一つです。市区町村は、各々の地域性や実情に応じた柔軟な事業形態で実施できるように、創意工夫を持って事業の形態を決定し、効果的な取り組みを行っています。その為、移動支援の利用できる内容は各自治体によって少しずつ違う内容の場合があります。

 障害分野で請求をしてきた経験では、移動支援の請求が面倒臭かった。

【理由】
①市町村によって、請求単価が違うこと。
②市町村によって、請求関係書類が違うこと。
③国保連の請求システムで伝送できないことが多いこと。


①について
 どの市町村でも「単価は居宅介護の基準に合わせる」ということは変わらない。だけど「提供時間帯による加算(夜間加算等)があるかどうか」「グループ支援が可能かどうか」「身体介護が必要か」によって変わってくる。
 気をつけるのは、居宅介護でもそうだが、ヘルパーの支援をしていない時間は請求してはいけないということ。例えば、身体介護が必要でない場合の、電車やバスでの移動時間、待ち時間、映画鑑賞時間などである。身体介護が必要で車いすでの移動な時には請求できることもあります。
 
 何より毎年4月に単価が変わることがあり、確認をとらないとミスをしてしまう。

②について
 提出書類の中には利用者のサインがいることもあり、人によっては手間でした。また、サービス実施記録に「どこに」「どのような移動手段で」出掛けたのかを書くこともありました。
 先ほど「身体介護が必要か」と書きましたが、その判断をするのは市町村です。ちなみに、居宅介護の支給で「身体介護有り」となっていても、移動支援では「身体介護無し」となることもありました。

③について
 地域生活支援事業で、市町村の財源であるので、しょうがないところもあるが、10日必着というのは大変で、遠く離れた市町村では、郵便の遅れを考えて7日には送らないと間に合わないこともある。

また、移動支援では「できる」「できない」の判断が下記のようにある。

移動支援で利用できる外出は下記のとおりです。
・余暇活動
・社会参加の為の外出
・公共機関、金融機関への外出
・社会生活に必要不可欠な外出等
となっています。

また、移動支援を利用できない外出は下記のとおりとなっています。
・通勤、営業活動、宿泊を伴うもの
については、各自治体利用できないと大体統一的です。

 さらに自治体によってできる・できないが分かれる外出は下記の通りとなっています。
・通学や通所(日中活動)
・学校から放課後デイサービスへの移動
 については地域性が見られ、自治体により支給決定が様々ですので自治体に確認をとることをおすすめします。

 これまでの僕の経験では
「利用できる」・・・買い物、墓参り、カラオケ、外食、美術館、日帰り旅行、図書館
「利用できない」・・・市役所での手続き、通院、所属事業所でのイベントや販売活動、本人の希望ではない外出、パチンコ、ギャンブル、公共良俗に違反する移動
「判断に迷う」・・・宿泊を伴う旅行、プール
 です。

 市町村で判断が分かれるので確認してください。ただ、昔いた事業所では「利用できない」となっていても、強引に請求していました。(僕は何度も「請求できない」と言っていたが聞いてくれませんでした。)

 「判断に迷う」と書いたものでも、家族や相談支援専門員と市町村との綿密な協議の上「支給可能」となった例もあると聞いています。いざ、旅行にヘルパーがついてくる時にかかる料金(宿泊費、食費)については、家族と事業所との話し合いで決めてくださいね。

 「移動支援」は、本人の自立した地域生活のために利用してほしいですね。

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