小規模多機能型居宅介護に思うこと

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 僕が興味を持ったのは、大学時代に福祉住環境を学ぶ中で「宅老所」を知ったからで、自由な雰囲気というか、利用者の自主性を重んじるということもあり、気にしていました。その当時の介護保険制度では「デイサービスセンターE型」とされていて、介護報酬も少なかったと思います。
 それから、介護保険制度の改正もあり、地域密着型サービスに組み込まれるようになった、という簡単ないきさつです。

 ここでのテーマは「小規模多機能型居宅介護」なので、そこに関して僕が把握している特徴、イメージ(違っていたらすみません)
①柔軟に対応できる。
②いつでも来てもいいし、いつでも帰ってもいい。
③地域密着型サービスなので、市町村での指導監督が大きい。
④利用者の積極性や自主性を重んじる。
⑤家庭的な雰囲気での支援。

 といったもの。

 僕の中では、以前は「いいじゃん!!」と思っていたが、よくよく考えると「なんか不安」と思えてきました。

【不安なところ】
①利用者
 利用できる要介護状態は、どの状態でも利用可となっているけれど、重度と言われる「要介護4、5」の利用は事業所はできるだろうか?車いすで利用する場合に、バリアフリー対応になっているのか。
 いつ来るか分からない利用者というのもちょっと不安なことがある。食事の準備や、スタッフの配置など、お金がどうしてもかかってしまうことである。
 そうすると、利用日は基本的には計画(ケアプラン)により管理されているのではないか?このサービスの特徴でもある「柔軟性」が活かせていない気もします。

②収入
 1月当たりの月謝制、会員制と捉えているけれども、事業所の利用者の上限「25人」で「要介護度3」を想定すると、介護報酬総額では、
  1ヶ月1人約25,000円×25人で、約675,000円 となる。
 上の図で見ると、スタッフは利用者3人につき1人がいるから、5人くらいを見ておけばいいのか。そして、土日もやっていると考えると、8人くらいがきちんと確保できていればいいように思う。
 そう考えると、8人が正職員として、月給18万円とすると、総月給で144万円となり、オーバーする。15万だとしても、120万円?
 市町村からの補助金があるのかな?でも、そうだとしても赤字になってしまいそう。

③運営
 このサービスは、地域密着型サービスに位置付けられているから、市町村の監督で、言ってしまえば『市町村の信頼のおける事業所』しか運営できないような感じがしてしまい、やる気のある新規の事業所は参入しにくいし、市町村によってサービスの質に差が出てしまうこともありうるのかもしれない。
 居住施設との併設が可能で、兼務も可能なようなので、うまく調整すればできると思いきや、居住施設のないような小規模のNPO法人はやりにくい(ある程度の運営基盤がないとできない)のかな。

④サービス内容
 このサービスの特徴としては、通所することができなくても、自宅を訪問することで支援することができる事。通所できなくても、自宅での生活をサポートしていく。訪問介護とは違う「見守り」「生活支援」なものだと思います。ただ、1日の訪問も何回も行けるわけもなく、1日1回かな、もしくは、朝夕の2回かな。
 地域「密着型」サービスとなっていることで、利用者の生活範囲を限定して狭くしていることはないだろうか。(←ひねくれてますね)

ここまで書いての、これから。 

 僕としては、このサービスは魅力があるし、利用者にとってはなじみの関係の中でサービスが受けれるので、もっと数が多くてもいいし、介護報酬も高くても良いと思っています。だって、塾やサークルに通うと思えば、月5000円の月謝でいいと思っています。
 制度の中に組み込まれてしまったから、なんだか昔の自由度が失われて、「自立支援」「リハビリテーション」に振り回されているような気がしています。もっと多様な人間、いわゆるボランティア、が入り込んで交流することで良い面がますます出てくるような気がしています。ただ、利用料のことを考えるとどうかと思うこともあります。

 最後に、どのサービスの内容も良くするのも悪くするのも、利用者であり、その利用者を支援する家族、ケアマネジャーも含んでいる。使っていく中で「運営推進会議」にて、どれだけ積極的な意見がでることも必要ではないか。

 「地域にあってこそのサービス」と言われるようになってほしいですね。

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