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「すまい」と介護

家を見れば、介護状況が分かる。

と僕は思っている。

例えば、
①玄関にスロープや手すりがある。
 車いす利用者なのか、杖を使っているのか。そして、家の中の手すりだけでなく、玄関にあるということは『外出する』ことも考えていて、なお、福祉サービスを利用することや、来客もある。
②廊下の床や壁に、こすれた跡がある。
 車いすがあり、移動しているときに、タイヤが当たってしまうほどの狭い廊下で、手すりがない。でも、車いすを導入するために、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と相談したはずなんだけど、うまく調整できていないのかな、と感じています。
③部屋によっての清掃状況や整理整頓に差がある。
 ヘルパーさんや同居家族がいるかどうかによって変わるが、本人が清潔についてどれだけ気を遣っているか。例えば『本人の居室は整理整頓されているけど、他の部屋はできていない』、逆に『本人の居室は整理整頓ができていないけれど、他の部屋はできている』。どの部屋をよく使うのか、使用頻度も関係してくると思います。もしかしたら、本人が家族やヘルパーに対しての掃除の指示があるかどうかも関係してくるのかも。
④段差解消機や階段昇降機がある。
 この2つは福祉用具の中でも、「高価である」と同時に「敷地が広くない」と導入が難しい。だから、経済状況に余裕があり、外に出る機会が多いのかも考える。しかも、使うためにはしっかりとした練習や知識がないと、安全に使うことができない。家族も安全について考えているということは、本人が大事にされていると思います。
⑤排泄臭がする。
 トイレの位置がどこにあるのかによって変わってくるが、オムツを使用しているかどうか、トイレに行けるのかを考えます。
⑥部屋の位置、広さ
 生活空間の中で、本人と家族のコミュニケーションがどれだけ取れるようになっているのか、本人の意向をどれだけ応えようとしているか。
 また、部屋の広さがある程度確保されていると、ベッドを置くことや、車いすを収納できるので、介護がスムーズになる。ただ、広すぎても狭すぎても、どうかなと思うのでちょうどいい広さを考えていく。 
⑦物が多い。
 それだけこの住宅に愛着や歴史があり、捨てたくないものがあるということであると同時に、いらないものも存在していて、生活に良い面でも悪い面でも「邪魔をしている」かもしれない。どう考えても「必要でないかもしれないもの」(健康器具、あまりにも多すぎる食器など)があるときでも、家族も本人も無関心なことがある。

「良い住宅」=「住みやすい住宅」ではない

 これからも長く住み続けられるすまいづくりには、共通していることがあると思う。それは『コミュニケーションがとれること』と『プライバシーが守れていること』、『変化に柔軟に対応できること』。
 まとめてみると『思いやりのある住宅』だと思う。

 バリアフリー化をしているからいいのではなく、いくら築年数が経っていても、本人や家族のことを考えて建てられた家や、コミュニケーションが分かる家なら何年でも住めるものだと思う。時代と共に、住民と変化できる家。そして、人を惹きつける家であり、引き寄せる家。

 また、自宅内のバリアフリーを考えていく中で『新・バリアフリー 15 ヶ条 [改訂版]~自宅で住み続けるためのポイント~』を参考にしてみても良いと思います。
 人が造る家なので、使う人や造る人の性格が表れてくるとは思いますが。

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