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介護職員と体力

 介護をする上で、体力や筋肉は必要だろうか?

 利用者を体位を変換する、ベッドと車いすでの移乗をする、ということはてこの原理を応用する「ボディメカニクス」で対応ができる。

 ただ、介護や福祉では「ボディメカニクス」ではない体力や筋肉が必要になる。
①入浴介助
 
ボディメカニクスを応用して介助することはできる。だけど、入浴というと服を着ていない状態が多い。となると、つかまるところがなく、力任せになってしまうことがある。また、利用者はリラックスしている状態だから、介助者の身体につかまる力が十分ではないかもしれない。

②車いすを操作する
 車いすへの乗降だけで終わりではなく、移動する中で坂道だったり、砂利道だったり、雨の中だったりする。押すだけだった「ボディメカニクス」で何とかなるかもしれないが、買い物をして荷物が多くなってくると、大変になってくることがある。

③道具を持ち上げる
 道具と書いてしまったが、要するに「車いす」「ポータブルトイレ」「家具」である。車いす(約15㎏)を収納するときには持ち上げなければならないし、ポータブルトイレ(約15㎏)を定期的に掃除するときや、部屋の掃除をするときには持ち上げる必要が出てくる。また、種類によっては20㎏くらいになるものがある。男性であっても、慣れないと運ぶのが難しい時があり、傷をつけないように気をつけると慎重にならざるを得ない。

④押さえ込む。振りほどく。支える。
 知的障害者の場合が多いが、急に抱きついてきたり、力任せに引っ張ってくることがある。多動が激しくなると、支援員も声掛けだけではどうしようもない。その時は、身体全体で押さえることがある。もちろん、相手は年下のことがあり、力が有り余っている。 
 また、障害によっては、力が入らず、身体がぐにゃぐにゃになることもあり、介助者は身体を支えるのに苦労することがある。逆に、身体がまるで1本の棒になってしまったかのように、筋肉が緊張して、身体を抱えても脚が曲がらなかったり、利用者が介助者にもたれかかることもできなかったりする。

持久力
 
介護をしていると「立ち仕事」が多くなり、足がむくんでしまうこともある。また、夜勤をする中でもちょっとした仮眠はとれるにしても、寝ずの番なのでつかれてしまう。


 ちなみに、僕が介護職で特別養護老人ホームで夜勤ありで働いていた時には、1年半で7㎏痩せました。動き回っていることが多かったこと、生活のリズムが不規則になってしまったことが影響していたとは思います。

 だったら、筋肉をつければ良いのかとなると、そこは別。
 筋肉があった方が頼りがいがあるのは確かです。
 ただ、ありすぎると、余分な力が入ったり、力加減がうまくできなかったりするかもしれない。
 腕が太すぎて、利用者を圧迫するかもしれない。
 他の介護スタッフと行なうときに、力のバランスがとれないかもしれない。
 もしかすると「重たいものを運ぶときにはあの人!」と思われているのかもしれない(笑)

 体格や体力は重要。
 ではあるが、すべての福祉や介護の職員が当てはまるわけではない。介護の方法も道具も利用者や家族と話し合って「お互いに無理がなく、負担のない介護」で最低限の力でできるようにしている。長く介護や福祉の仕事に関わっていくと、筋肉もすこしずつついていくと思う。

 でも、介護や福祉の職員より、利用者の方が力があると思うことも多いね。そもそも、介護の資格を取得するときに「体力がなくてもできます!」とアピールしていることもあり、いざ仕事をしていくと疲れてしまうこともあるのかもしれません。

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