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介護を目指す者

 これまで介護職員初任者研修や福祉用具専門相談員講習の講師をしたことがあります。
 多分5年くらいはやっていたと思う。その中でも講師をしていると、受講生にも様々だな、と感じることがありました。

 ただ講習の形も色々なので、ここで書く前に、前提を述べておきます。

・ハローワークの委託訓練 (愛知県東三河の情報を参考までに)

・1クラス15名程度
・年齢層は幅広い。(10代~60代)
・介護職員初任者研修 週2日 9:30~16:00(50分×6コマ)
・福祉用具専門相談員講習 週1日 9:30~16:00(50分×6コマ)
・受講料はテキスト、演習費のみ
・3か月間(月~金曜日)で資格取得を目指す。そして、就職も支援する。
 そのほかもありますが。

 まあ、ハローワークを経由しているということは「仕事を探していて、そのために資格取得をしたい」と考えている人が多くいる。最終的には、本人が通学をやめない限りは、資格取得ができるようになっています。

では、受講生にはどんな人たちがいるだろうか?

①これまでも介護職の経験があるが、資格を取得していなかったため、これを機に、資格取得していきたい。
 
経験があるから、他の受講生からも頼られることがある。講師に対しても、少し高度な質問をする。その一方で、知っていることが多いから、退屈そうにしていることもある。

②まったく介護の経験はないが、身内に介護が必要な状況が出てきているため『自宅で家族を介護する』ことを念頭に置いて資格取得したい。
 仕事と言うよりも生活に重点を置いている感じがあるが、受講態度は真面目。家族に認知症高齢者や障がい者がいることもあるので、就職ということを考えるときに、働ける条件が限られていたり(夜勤ができない、土日は勤務できない、など)、介護でない職場を選ぶ傾向あり。

③ハローワークで仕事を探しているうちに『安く』資格取得できることを知って、仕事に繋げていきたい。
 仕事を探しているのは確かだと思うが、果たして適職が「介護」なのかなと思ってしまうこともある。周りとの温度差があり、演習にも少々消極的。もしかしたら、通所しながら、アルバイトをしているかもしれない(委託訓練に通所しているうちは本当はダメ)。

④ちょっと障がい者みたいだがグレーゾーンで、理解力に不安がある。
 最近の受講生では、増えてきているかもしれません。周りから少し浮いていて、プレッシャーに弱いところもある。障害や手帳のことを黙っているかもしれない。

 僕としては、依頼された内容で講義はするけれど、なるべく「実際の現場ではどうなのか」を盛り込みながら話をすることが多いです。例えば、産休から復帰するに当たり「働きやすい」職場として介護を選ぶ時に「パートで働くとしたら、どんな職場で・どんな働き方がいいのか」を話せる範囲で話します。ただ、現場の深いところ(マイナスのイメージ)までを話してしまうと、やる気をなくしてしまうので、やんわりと話します。

 これまでしっかりと仕事をされてきているので、講習で何時間も勉強する、というのは久しぶりという方もいるので、飽きさせないために、脱線した話も入れながら講義をしていきます。

 ただ介護の講習なので、講義をしながらも受講生の態度を見ている。つまらない話でも「聴く態度」はどうか、と。
 それと、対人援助スキルやコミュニケーション能力。15名くらいの受講生との関係性はどうか。演習をしている中での積極性はあるか。
 僕としては、介護技術スキルは、最低限できていれば現場で何とかなると思っています。テキストの内容はあくまでも基本と捉えています。ただ、テキストに載っていることもできないとなると、講義をすすめても訳が分からないまま進んでしまうので、その受講生はやる気をなくしてしまい、やめてしまうこともあるから、配慮が必要になります。
 受講生からは、介護技術の相談もあるけれど、人間関係や家庭の相談もされることもまれに。

 講義をしていて思うのは『何のために介護の資格を取ろうと思ったのか』が最初から明確な人もいますし、通所が進んでいくと、どこかで自分の活かせる部分が見つかり、そこからやる気や意識を変えている人もいる。でも、逆にやる気がなくなっていく人もいました。
 また、講師としては『介護者としての姿勢』『介護現場での経験』を話している方が話しやすいし、受講生の食いつきや反応、真剣さが違っている。また、講師自身も自分の知識や技術のアップデート(更新)ができることもある。

 介護の現場で「頑張れる人」というより「適応できる人」を養成しているみたいですね。現場の話をある程度聞いていれば、驚くことも少ないだろうし、応用できることも考えることができると思います。
 講師としては、偏った知識や経験を話さないようにするのは大変ですけどね。

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