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一気に観てしまう『猿の惑星』リブート3部作はシーザーの物語を堪能する映画だ

一気に観てしまいましたよ映画『猿の惑星』リブート三部作。

昭和生まれの僕にとっての最初の猿の惑星体験はオリジナル版です。

チャールトン・ヘストン主演(かつては全米ライフル協会のトップで激しいロビーイングで銃規制に真っ向反対していたキャラで有名になっていましたね)のやつです。

人間を助ける主人公の猿がコーネリアス博士とジーラ博士の男女(雄雌?)猿コンビのやつです。
この頃はそこまでリアル感を求めていなかったからなのか、猿が直立不動なんですよ。
で、小山田圭吾さんのソロユニット名はこのコーネリアス博士から取ったとかどうとか(知らないですけど)。

もう何十年前の映画なのでネタバレじゃないと思うので書いちゃいますが、ラストシーンでマンハッタンの自由野女神像が半分土に埋もれて現れて、
「やっべ!ここ地球だったんか!」て驚く名シーンで有名なやつです。

びっくりしましたよね、最初に観た時は。
小学生くらいの時にテレビの再放送で観たのが最初です。
この映画は何度もテレビでやってたので、ほとんどの人は観てたんじゃないだろうか。

このシリーズは何本もあるんですが、覚えているのはこの1作目だけ。

で、マーク・ウォールバーグが主演のティム・バートン版猿の惑星が1本あるんですよね。
『PLANET OF THE APES/猿の惑星』
これも観たと思うんだけど覚えてないなぁ。観てないのかなぁ。
まぁ、それくらいオリジナル版の方が思い入れがあるわけです。

で、今回『猿の惑星/キングダム』が劇場公開されていて、おそらく上映期間中には観に行く時間が取れなさそうだけど、
せっかくだからこのリブート版シリーズを見直して予習しておこうと思ったわけです。

まず1作目は『創世記/ジェネシス』、次が『新世紀/ライジング』、そして『聖戦記/グレイトウォー』と続くんですが、一貫して主人公として出てくるのは未来につながる猿の惑星を創ったシーザーという猿(エイプ)です。

このシリーズはとにかくシーザーの物語を観る映画なんですね。

新薬の研究実験のためにジャングルで捕獲されたチンパンジーの母親から生まれたシーザー。
彼は認知症を治療する新薬を投薬された母親の胎内で育ったためDNAレベルで劇的な遺伝子変化が起きて高度な知能の獲得をするわけです。
そして、バブバブ時代から人間に愛情たっぷりで育てられたため、人間への信頼が根強く、人間 VS エイプの全面戦争になっても、なかなか人間全部を敵として見れずに苦悩するわけです。

その自己アイデンティティの確立と自分とは何なのか、自分の生まれた使命は何なのか、そんなことを問い続けつつ成長していく物語なんです。

だから、猿の惑星とは言うものの、ほとんど人間ドラマと変わらない感じで、もう途中から猿を見ているのか人間を見ているのか分からなくなってくるくらいです。

観ていて思い出したのが、山崎豊子原作の『二つの祖国』のNHK大河ドラマ版です。
あれも、日本人として鹿児島で生まれてアメリカに疎開してクリーニングを営んでいた両親に育てられた主人公(松本幸四郎さんが演じてました)が、日米開戦胃により生まれた日本と育ったアメリカと二つの祖国の間で揺れ動く若者の心情を表現していた名作でした。

そういえば、沢田研二が生粋のアメリカ育ちのアメリカ人に心も成り切った日系2世を演じてました。
懐かしいな。あのドラマこそ再放送しないかな。

話が逸れましたが、そうなんです。
まさにシーザーの物語を最後まで見届けたいという一心で、軽い気持ちで見始めた1作目から気がついたら3作一気見していたんです

1作目はまだ少年からやっと青年期に入ったかどうかくらいのシーザー。
若々しいです。

それが、2作目になると顔つきも変化していてい、3作合わせるとこの時の顔が1番いかついかもしれない。
「俺はエイプとして種族を守っていくんだ」という使命感と悲壮感が出ています。
相当無理していたんじゃないかなぁ。

そして3作目になると、子供も上の子は大きくなって反抗期真っしぐら。父親には1番反発したい年齢。
シーザー自身もまだ一線でやっていかなければいけない使命感の反面、自分の弱さにもしっかり把握していて、肉体の衰えも感じつつ次の世代へどうやって引き継いていけばいいのだろうか、そんなミドルエイジクライシスぎりぎりの感じ。
くーっ、わかるよシーザー。
もうね他人事、いや他猿事じゃない。

そして2作目とは違い弱さを見せるシーザー。
もはやこれまでかと追い詰められるんですが、仲間たちに助けられてまた立ち上がるんです。
優しさと厳しさが同居した良い目をしているんですよシーザーが、猿だけど。

人間にも野蛮な奴もいるし、友好的な人もいる。
エイプだって基本的には群れを大事にして戦いを好まないけれど、敵への憎しみに理性を失って凶暴化するエイプもいる。
だからね、人種もとい種で一括りにしちゃいけないんですよ。
そして国家を丸っと括ってもダメ。
最後は個と個の繋がりなんです。
そんなことをこのきな臭い時代だからこそ思い起こさせてくれた映画でもありました。

新作『キングダム』はシーザーの物語からさらに300年後の完全に猿の惑星になった時代の話みたいです。
どうしようかなぁ、やっぱり劇場に観に行こうかな。

<了>

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