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#言葉

天賦を探しに (短編小説)

天賦を探しに (短編小説)

 遂に、オール三の成績となった。ここまでの努力と道のりは
長かった。
しかし、もう受験シーズンとなり、これ以上の成績アップは望めない。
頑張って頑張って、努力したものの、これが、限界だ。
始まりは、オール1からだった。
だが、ここまで上り詰めた。そして、高校受験。
受ける気すらない。
もう懲り懲りなのだ。頭の悪さと不器用さが自慢なんだ!
と、ひどく自暴自棄になり、ひどく項垂れていた。
 塾の個室で

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髪を切る理由って (短編小説)

髪を切る理由って (短編小説)

行きつけの美容院へ行く。
髪が伸びたから、切る。ただそれだけのため。
斜め後ろの奥様。ギャルの名残がある。
ぺちゃくちゃと担当の美容師と話をしている。
私とは相対的。
「最近の子って本当に積極的じゃないよねぇ 全然引っ張ってくれる気配がないっ」
とギャル奥様
「ねぇー」
「あれだけ、草食系だとさぁー 女の子大変だよねぇー」
「確かにそうだ。そう。大変だ。アプローチするのがねぇ」
と美容師さん

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好きになったらね(短編作品)

好きになったらね(短編作品)

 喫茶店で友達と話していた。そしたら、私の好きな人の話題になった。息が詰まった。

内容はショッキングだった。好きな人に彼女がいるとかではない(それは、よかった)。しかし、悪口だった。私は居ても立っても居られず、用事を思い出したと
ベタな嘘をつき、店から飛び出していた。

 好きになった人の悪口って自分が否定されるのと同じなんだ・・・・・・。
俯いて歩いている、コロコロと空き缶が転がってくる。

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