ビジネスで今日から使える行動心理学!

先日、ショッピングセンターへ買い物に行ったときのことです。

若い人向けのアパレルショップでどうやらタイムセールが実施されているようで、店員さんが大きな声で呼び込みをしているのですが、時折お店の前を耳をふさいで通り過ぎる方がちらほら。

強烈な呼び込みや推奨販売は確かに商売の効果を高める大切な行為かも知れません。でも、売る側の意図に反してお店の印象を悪くしてしまい、業績を低下させてしまうこともあります。

このような現象を行動心理学ではブーメラン効果といいます。

今回は流通業出身社会保険労務士がビジネスで使える、行動心理学をお話しいたします。


返報性の原理

返報性の原理は、他人からの善意や恩恵を受けた場合、それに対して報いるという心理的な傾向のことをいいます。

大切な顧客に本来ならばお代をいただくことになっているサービスを「今回はお代は結構です」などと無料提供すると、

顧客はその恩恵に対して感謝の気持ちを抱きます。この感謝の気持ちは、将来的な購買行動や口コミに影響を与えます。

顧客は無料サービスによって企業に対して返報することで、商品の購入や他人への推薦など、企業に対するポジティブな行動を起こす可能性が高まります。

また、顧客のご意見に対して真摯に対応することも、返報性の原理を活用する一つの方法です。

顧客の声に耳を傾け、問題解決や改善策を提供することで、顧客は企業に対して感謝と支持を返すことがあります。

返報性の原理をビジネスに取り入れることで、顧客との関係を強化し、長期的な成功と顧客ロイヤルティの向上を促進することができます。

アンカリング効果

価格交渉において高い価格を最初に提示すると、その後の交渉で提示される価格は相対的に低く感じられる傾向があります。

同様に、商品の割引セールで通常価格を高めに設定することで、割引後の価格がお得に感じられる効果があります。

このような効果のことをアンカリング効果といいます。

人々が意思決定や判断を行う際に最初に提示された情報(アンカー)に影響を受ける心理現象のことで、最初に提示された情報が後続の判断に対して基準や参照点となります。

ただし、アンカリング効果は意思決定のバイアス(人々が意思決定を行う際に影響を受ける心理的な偏りや歪みのこと)を引き起こす可能性があります。

例えば、ある商品を販売する際に、最初に高い価格を提示すると、顧客はその価格を参照点とし、その後の価格を相対的に評価します。

その後、割引価格やセール価格を提示すると、顧客は割引のお得さを強く感じる傾向があります。実際の価値よりも割引価格を魅力的に感じるため、顧客は商品を購入する可能性が高まります。

このように、最初に提示された高い価格がアンカーとなり、その後の価格が相対的に低く感じられるため、アンカリング効果が発生します。

バイアスを引き起こすことが問題とされるのは、意思決定の客観性や公正性が損なわれる可能性があるからです。

アンカリング効果によって顧客の判断がバイアスされる場合、実際の価値や適正な判断基準に基づく意思決定が難しくなります。

顧客は最初に提示された価格を基準として判断し、その後の価格や情報を相対的に評価する傾向があります。その結果、本来の価値よりも高くまたは安く感じられ、不適切な価格設定や選択が生じることがあります。

企業やビジネスにとって、意思決定の客観性と公正性は重要な要素です。適正な価格設定や公平な取引が行われることで、信頼関係が構築され、長期的な顧客満足度やロイヤルティが向上します。

ピークエンドの法則

ピークエンドの法則は、人々の経験や思い出は、その経験のピーク時と終わりに焦点を当て、全体的な体験の質を判断する傾向があるという法則です。

つまり、特に感情的に強い瞬間や経験の最後の部分が、その体験全体の印象を形成するとされています。

例えば、映画の視聴体験では、映画のクライマックスや感動的なシーン、そして結末が重要な要素となります。

この法則は、私たちが経験する様々な出来事や娯楽において、ピークとエンドに注目することで、満足度や感情的な評価を左右することを示唆しています。

ビジネスでピークエンドの法則が最も効果を発揮するのは、顧客満足度を上げたい時です。

例えば、レストランの経営者がピークエンドの法則を活用する場合、顧客満足度を向上させることができます。

料理の品質を確保するだけでなく、顧客の食事のピーク時と終わりに重点を置くことが重要です。

ピーク時には、特別なメニューやサービスを提供し、驚きや感動を与えます。そして、終わりには、心地よいサービスや丁寧なお見送りを行い、良い印象を残します。

仮にオーダーミスがあった場合、その場の謝罪はもちろんのこと、帰り際にきちんと丁寧なフォローを入れることができれば、顧客は「ミスはあったけど、丁寧に対応してくれた」という印象が残ります。

このようなアプローチにより、顧客は満足度が高まり、再訪や口コミでの広がりを生むことが期待できます。

おわりに

行動心理学は、私たちの行動の背後にある心理的な要因を明らかにします。その知識を応用することで、個人や組織のパフォーマンスを改善することが可能です。

行動心理学の研究によって、私たちはなぜ特定の行動を取るのか、どのような刺激が効果的なのかを理解できます。
これらの知識を活用すれば、顧客満足度の向上など企業の成長に貢献することができます。

今回はごくごく一部の事例をご紹介いたしましたが、「あの会社のあのサービスはこの行動心理学からきているのか」など行動心理学を多く実践されていることに気づかされることと思います。



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