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まこ
2022年4月22日 01:14
お風呂上がりに抱え込んだまるい膝を付き合わし裸足のつま先をじっと見下ろす興味なんてないのに占い番組を見たふりをしながらすぐ近くに君の気配を感じる。ひび割れから染み出す雨だれのようにポツリポツリと溢す本音おとこでもおんなでもない少し低い声が耳に響き踏んでいた薄氷が溶けていく
2022年4月15日 20:44
濡れたアスファルトとタイヤが擦れる音が遠くから響く車体が切り裂きながら進む冷たい風の軌跡は白く烟る文庫本越しのコーヒーカップの縁がぼやけて見える1秒の間隔が少しだけ長くなって5分と10分の間を行ったり来たりしながら君の横顔が絵画のように縫いとめられる
2022年4月14日 23:29
陽だまりで温められたような温かい春の風に吹かれて前髪がおでこを撫でた。寝たふりをした小さな私の額にかかった髪をかき分けて微かに触れる母の指先のようにそれは優しかった。
2022年4月15日 10:47
空気くらげは空気中をただよう目の前を横切る半透明の体でふわりと視界が遮られコンタクトを外したときのように街灯の光が滲んで淡く広がるあちらでもこちらでも空気クラゲはゆらゆらたゆたう皆一様に視界がぼやけてすこし優しくなれるのだ
2022年4月5日 18:45
電車のボックス席は膝が触れ合いそうなほど窮屈だ。だが誰もそれを疎ましく思う様子もなくなだらかな空気が漂っている。関西の桜は一定のリズムで呼吸をしている。吐く息がまとわり人々の歩みを緩めさせる。肩が右に、左に、緩やかに揺れる。みぎに ひだりにみぎに ひだりに
2022年3月19日 16:11
お皿を洗う水音 食器が触れ合う音静かなモダンジャスと 誰かの呼吸で春の空気が 微かに震える早咲きの桜の薄紅色が 音もなく 溶け出していく