『この散文を読んでいるあなたへ』
この散文を読んでいるあなたへ
この散文を読んでいるあなたには
まずもって伝わらないと思いますが
この文章を私は
まだ四歳にも満たない息子の
タイピングの練習のために
口述しています
一言一句
私の言うことを
聞き漏らさず
私も
同じフレーズは二度と言いません
聴こえたままに
タイプして
この文章が
いま
綴られています
ほんとうです
息子も
ほんとうだと言っています
二歳になろうかという娘も
ほんとうだと言っています
証明できないのが
悔しいです
映像?
そんな野暮な
私は文筆家ですよ