『夜に舞う』
真夜中だけあればいい
だって
早朝は私に優しくない
建前の社会性を求めてくるから
昼間は私に優しくない
陽のあたる風景が
自分の惨めさを浮き彫りにするから
雨が降れば
それはそれで憂鬱だから
夕方は私に優しくない
何ひとつ世の中に貢献出来なかった自分へ
反省を促してくるから
みんな早く寝静まれ
真夜中は私に優しい
思考回路の呪縛を解放してくれるから
表現の自由があるんだ
さぁ
気をつけないと眠りに落ちて
またおせっかいな朝になる
その前に飛び立とう
全てを曝け出して
いざ
夜に舞う…
ピンポーン
陽の昇りつつある頃に
拙宅のチャイムが鳴る
「ZZさんですよね、警察です」
「は、はい…」
「わかってますよね」
表現の自由なんてやっぱり嘘だ
全裸で街を徘徊をする習慣は
許されなかった
真夜中には
裏切られた気分だ
---あとがき---
警察密着24時みたいな番組でみましたが
おまわりさんは個人宅には
早朝にガサ入れするのが通例のようです