『ポエム『趣味田川』』

ポエム『趣味田川』

東京の下町を流れる趣味田川しゅみだがわ

両岸には江戸の風情を残す建物も

たくさんあるという

田舎育ちのわたしは

実はまだ

東京にいったことがなくて

この夏こそ

休みを利用して

東京観光に

そして

趣味田川の花火を

観ようと思っていたのだけど

今年も残念なことに

夏の風物詩

趣味田川の花火大会は

中止になってしまったらしい

もし花火大会が開催されたら

きっと色々なものが

流れてくるんだろうなぁ

ゴルフセット

釣り具

クルマに

キャンプ用品

ゲーム機など

流れてくるだけあって

どちらかというと

男性的なアイテムが多そう

でも

どれでも拾っていいって

ほんとうなのかな

転売は禁止されてるみたい

だからわたし好みのアイテムが

流れてくるといいな

ゲーム機ってプレステかな？

濡れないようにしっかり

ビニール袋に入れてほしいな

--

「吉田、吉田」

「はい、先生」

「すまなかった…」

「何が、でしょうか？」

「いや、提出してもらった作文さ」

「趣味田川のポエムですよね？」

「そう」

「文字数が足りないですよね…」

「そうじゃないんだよ」

「稚拙でしたか？」

「いや、そのな…」

「早く言ってくださいよ」

「あの、な、趣味田川ってのは…」

「はい」

「ほんとは隅田川で…」

「はい」

「別にプレステとか流れてこないのよ…」

「えええっ！！」

「なんとなく思いつきでさ…」

「せんせいひどい！」

「語呂がいいもんだから…」

「せんせいプレステ買って！」

--

こうして

今年１７歳になるわたしは

他のクラスメイトには

ぜったいに内緒という条件で

先生にプレステを

買ってもらいました

それから数日経ったある日

先生は学校に来なくなりました

副業で転売ヤーを

やっていることがバレて

処分されてしまったみたい

ちなみにわたしへ

プレステを譲ったことは

バレてないようです

内申書に響いたら

困るもんね

あぶないあぶない