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キューバ「朝のコミュニティ体操」でマインドフルネスを実感する

「今ここ」にすべて集中する感覚を持つ。

そんな意味合いをもつ、”マインドフルネス”の概念が数年前から、米国シリコンバレーのIT起業家たちに注目され、話題になっています。

米国のような激しい競争社会で勝ち抜くには、強くて「駆け引きに長けていること」が大事なのかと勝手に想像していたのですが、それより「優秀な経営者に共通しているのは、マインドフルネスを持ち合わせていること」と、ある米国人IT起業家が話していました。

経営の文脈でいえば、観察力や客観性をあわせ持ち、バランスが取れた決断ができるのは大切な要素です。

そのために、日々のしかかるストレスや心配ごとに左右されず、「今ここ」に集中できるというマインドフルネスをいかに保てるかが大切だという考え方です。

それゆえに、瞑想やマインドフルネスのためのトレーニングを研修に取り入れている企業も多いようです。

日常のノイズにまどわされる

私自身も、おそらく「経営者」とは次元の異なるストレスや心配事だとは思いますが、日常のさまざまなノイズにまどわされ、ものごとに一喜一憂し、さらにスマホをのぞいて自分と関係ないことに「やきもき」しながら、心ここにあらずの日々を過ごすことも多いです。

それならと「瞑想」をやってみたら、雑念で頭がいっぱいになり、5分と続かず、むしろ心がざわついて逆効果に。

そんなとき、思い出したのがキューバで見た「朝のコミュニティ体操」でした。

キューバでは朝8時くらいから、週3回、それぞれの地区の指導者のもとに中高年の人たち数人~数十人が集い、公園などの屋外スペースで体操をしています。

健康を守ることを重要課題に掲げ、医療サービスを無料で受けられるキューバですが、経済的な事情もあり、なるべく「薬」に頼らないよう、予防医学に力を入れています

自主参加ではありますが、国をあげての「コミュニティ体操」はキューバらしい光景ともいえます。

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マインドを整える体操

ハバナでこの体操を見たときは、音楽もなし、動きもゆっくり。意外な感じがしました。

キューバは音楽や踊りが好きな人が多い印象なので、陽気な音楽やリズムで体力づくりをしてもよさそうです。日本のラジオ体操だって、音楽あり、リズミカルだし、ちょっとハードな動きもあります。

ハバナで体操をしていたところに、写真を撮っていいか、指導者(写真一番左の男性)の人に聞いてみたら、わざわざ中断して、いろいろと説明をしてくれました。

動きのなかにマインド(精神)を整えたり、ストレスをやわらげたりする要素があること。マインドとボディ(体)をつなげるために、太極拳や呼吸法など、様々な要素が入っていること。専門用語が多すぎて、全部は理解できませんでしたが、科学的な根拠とともに、ものすごく考えられている動きであることがわかりました。

何か所か、体操していた場所をまわってみたのですが、統一されたメニューながら、バトンを持って体をのばすなど、日ごとにバリエーションもありました。

あとでキューバの人に聞いたら、「歩行が困難だった近所の人は、体操に参加してずいぶん体調がよくなり、歩けるようになったみたい」と効果を教えてくれました。

このときは、コミュニティで「健康を守る」のは素敵な取り組みだなと思いつつ、「年配の人の体力づくり」という印象でした。ゆっくりな動きもそれゆえだと。

ところが、日本に帰ってきて、はたと気づきました。これを「マインドフルネス」の時間ととらえたら? ゆっくり体を動かしながら「瞑想」する。これなら私もできるかもしれない。

朝、外に出て、空気を体に取り込みながら、歩いたりゆっくり体を動かしたりして、心と体に注意を向ける。「瞑想」は5分と続かないけれど、体を伸ばし、ふうと息を吐いて、気持ちよさを味わっていたら、時間がすぐに過ぎてしまいます。

キューバのコミュニティ体操をヒントに、日常のノイズから離れて「今ここ」を体感している今日このごろです。

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