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ふるさとイベント大賞の事例から②「万葉集全20巻朗唱の会」と「万葉イベントin東京」

前回ご紹介した地域活性化センターが主催する「ふるさとイベント大賞」。今回も受賞事例をモデルにして生まれた新しいイベントを紹介します。

以下は前回の記事です。ふるさとイベント大賞の概要を説明しています。

ふるさとイベント大賞の記念すべき第1回(1996年)で大賞を受賞したのが富山県高岡市の「万葉集全20巻朗唱の会」でした。

一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、万葉集に興味がある人には超有名です

万葉集全20巻4516首を3日間かけて、大勢の参加者が1首ずつ詠みつなぐというマニアックでタフな企画です

万葉集に興味がない人からすれば、「そんなことやって、いったい何が面白いの?」という感じでしょうが、なんと30年以上続いています。

「万葉集全20巻朗唱の会」(2022年)より

万葉集は1300年前の奈良時代に生まれました。優れた文芸であると同時に歌の内容を通じて、古代日本人の心を知ることができる唯一の史料です。

その継承を目的にしているのですから、イベントの意義は地域の枠を超えています。だから、市内だけでなく全国から参加者が集まるのです。

ちなみに、奈良ではなくて、なぜ高岡なのか。それは万葉集の編纂に加わった歌人の大伴家持が関係しています。

家持は役人として全国を転々としながら歌を473首残します。これは万葉歌人の中でダントツの一位です。越中の国守として高岡に赴任した5年間が家持の全盛期で、実に223首もの歌を詠みました。1300年前のことです。

家持がたくさんの歌を残した地域という歴史を背景に、高岡は万葉集での町おこしに全国で最も熱心に取り組んでいます。

高岡市制作の大伴家持のマスコット。


高岡の「万葉集全20巻朗唱の会」に影響を受けて活動をしているのが、「赤坂・一期一会プロジェクト」(東京都・港区)という小さな地域団体です。実は私も参加しています。

この団体は東京都港区の高齢者2名が中心となって活動をしていますが、万葉集と港区は特に関係がありません(笑)。

代表の及川廣子さんが高岡の朗唱の会に参加して感激されて、「東京でも朗唱の会を開きたい」と思われたことがきっかけです。

赤坂・一期一会プロジェクトでは高岡市万葉歴史館から講師を招いて、万葉時代の衣装を高岡市役所からお借りして、高岡の朗唱の会のスモール版をこれまでに3回港区で開いています。

港区では朗唱の会がこれまでなかったため、初心者でも参加しやすいよう、とにかく敷居を低くすることを心がけています。よろしければ、昨年の動画をご覧ください。

ちなみに、私は万葉集に全く興味がなかったのですが、あれこれ団体の活動を手伝っているうちに、万葉集のおもしろさに目覚めてしまいました(笑)

事務局でありながら、出演までしてしまった私(笑)

この活動を通じて、東京にも万葉集が好きな人が意外に多い!ことを知りました。喜んでくれる人が多いとやりがいを感じます。

2022年10月開催の万葉集朗唱の会より

ゼロから新しいものをつくることはとても大変です。既存のイベントをモデルとしながらも、自分たちでできる規模にアレンジするやり方はいいと実感しています。

もし、「自分の地域でも万葉集朗唱の会を開きたい!」という方がいらっしゃれば、ご連絡お待ちしています。ノウハウを全てご提供し、高岡にもおつなぎします。

話は変わりますが、私は赤坂・一期一会プロジェクトに参加してから、いろいろ学びえることが多いです。

地域活動にディープに参加すると取材では見られない景色が見られるからです。それはまたの機会にご紹介しますね。

港区立伝統文化交流館でのイベント参加者とともに撮影した広報用の写真 一番右が私

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