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2020年7月の記事一覧

一行目がまずわからない~藤野可織「爪と目」感想

一行目がまずわからない~藤野可織「爪と目」感想

すごーく美味しいパン食べてる感じでした。
「何気ない日常の様子」という生地があります。そこに切り刻んだ「怖」を混ぜていくんです。こねて、こねて、「何気ない日常の様子」に完全に馴染ませて、出されたものを食べてみてからやっと気が付くんです。ふんだんに使用されている「怖」に………。的な。

「爪と目」3編感想普通の描写ほど怖いものは無いなと思いました。驚かす感じではなく、ちょっとされたら嫌なことをずっと

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「一口いる?」を拒絶されまくるとこうなるのか~今村夏子「木になった亜沙」感想

「一口いる?」を拒絶されまくるとこうなるのか~今村夏子「木になった亜沙」感想

今村夏子だけは、新刊が出たらすぐに購入する。読む前から面白いことが確約されている絶対的な信頼感がある今村夏子さんだけど、万人受けするとは思っていない。それでもやっぱり人に勧めたくなる。「お願いだから読んでほしい」と懇願し、せっかく購入した本を人にあげることも沢山ある。

今村夏子さんはどういう小説を書くのか。何がそうも私を虜にするのかみたいなことが分からずにいたけれど、「木になった亜紗」に収録され

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