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母親が孤独死した話❷

母親が孤独死した話❶

遺体を引き取るか、引き取らないか

兄を追い返してから、警察署に安置されている母親の遺体を引き取るか引き取らないか妹と話し合うことにした。
引き取ると火葬しなければならないし、遺品整理などもしなくてはいけない。役所の手続きやらも正直面倒臭い。そしてそれらにかかるお金を捻出しないといけない。
もし引き取らなければN県の自治体が火葬し、無縁仏となる。別にそれはそれでいいんじゃないかとも思ったが、私と妹は遺体を引き取ることにした。
6年も音信不通にしていたが、母親を祖父母の眠る墓に埋葬して綺麗に終わらせることで合意した。

すると兄から連絡が来た。
「今日、嫌なことがあってあんなことをしてしまった。ごめんな。」
「嫌なことがあったからって私達に当たる理由にはならん。遺体は引き取ることにしたからどうするかまた決めよう。」
そう答えたがこの件は自分が段取りを組んで進めるしかないと腹を括った。

段取り

警察署から連絡が来てから、遺体の引き取りは保留としていたので、改めてどういう状況だったのかなどを把握するために電話をした。
聞くところによると

  • 死後数日経っていると思われるが推定で発見から1日前に亡くなっている。

  • 死因は心不全。

  • 発見の経緯は、1週間以上連絡が取れず心配したケアマネージャーが来訪した際に応答がなかったので、ポストに入れてあった鍵で中に入ると寝室のベッドで亡くなっていた。

  • 部屋の状態はゴミ屋敷などではなく綺麗に整理整頓されていた。

  • 死後から発見までの時間が短かったので特殊清掃は必要ない。

ということだった。
いろいろ調べて引き取るのであれば、警察署から遺体を引き取った直後に火葬する「直葬」にすることにした。
とりあえず遺体を引き取る旨を警察署に伝えて、ネットで資料請求したら安くなる葬儀会社に連絡すると、代理で病院まで死体検案書を取りに行って、役所で埋葬許可証を発行する手続きまでやりますとのことだった。(役所での手続きに時間がかかるということで電話したその日にやってくれた)

そして次の日、私達はN県に飛ぶことになった。