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少年サッカー 小学生の時に読んでよかったサッカー本って何よ?

少年サッカーを楽しむ、お父さんコーチの体験記、第四弾!

前回、前々回は、自主練の方法について書きました。
今回はその自主練の内容を考える上で、僕が参考にした書籍について書きます。

突然ですが、ペップがバルセロナで監督になった2008年から、サッカーの進化は加速し続けています。

有利なポジションに立ってボールを保持するポジショナル・プレーの進化。ボールを有利な形で奪うためのプレッシングの進化。
今では、その二つを融合させて、試合の中で、システムや動き方を変えること。変えてきた相手に合わせて戦術を修正することは、当たり前になっています。

そのトレンドは、トップレベルだけでなく、ジュニアユースのレベルでも、見られます。
実際には、実行しきれないところはあるのだけれど、チャレンジはしています。
たとえば、
GKと2CBの3人と、DMFの2人でビルドアップしようとして(理想)
ひっかけられて点を取られてしまうことも、まぁあります(現実)

ペップバルサの誕生と同じ年に生まれた長男の成長と共に、
サッカーはどんどん変化していきました。

僕自身はサッカー経験者でしたが、その昭和の知識は古すぎました。
この変化を踏まえた上で、長男との自主練を考えるには、海外中継、Youtube、そして本から、新しい知識を入れなくてはなりませんでした。(別に誰からもお願いされてませんが…)

長男がジュニアの時代(2012-2020)に、自主練のために購入した、数百冊(サバよみ)のサッカー本、サッカー雑誌の中から、”よかった本”を紹介したいと思います。

サッカー関連の書籍は、どんなに高い本でも2500円程度ですが、あなたと子どものサッカー知識を持続的に底上げしてくれます。
それによって、毎日の自主練の質が高まる。

個人的な感想としては、一日2,500円の単発サッカースクールに参加するのであれば、本を買った方がよかったと思っています。
(もちろん、狙いをもって継続的にスクールに通うのは賛成で、長男もそれが役に立ちました!)

とはいっても、昨日の夜に食べたおでんの大根の個数すら思い出せない僕が、そんな昔に読んだ本の内容なんて、はっきり覚えている訳がありません。

ですので、昔読んだ本を探して、引っ張り出してきて、読みなおし、思い起こしながら書くことになります。
長くなることは間違いないので、少しずつ紹介していきます。

Joshua ChoateによるPixabayからの画像

サッカー書評の第1回は、村松本。
『最速上達 サッカー オフ・ザ・ボール』です。

なぜこの本なのか?
すべてはFCバルセロナから始まったからです!

村松さんって誰よ?

村松 尚登さんのプロフィール
・スペイン上級コーチングライセンスを所得。
・スペインで、12年間、指導者を経験。
 FCバルセロナのスクールでもコーチ経験がある。
・2013年からJ、リーグで仕事を開始。水戸、柏、新潟、東京など。

村松さんは、スペイン・サッカーが指導のベースにある方で、バルセロナスクールの福岡での立ち上げにも携わっています。
もちろん、ポジショナル・プレー派です。

4歳になった長男と10分ぐらいの自主練らしき遊びを始めた当時は、スペインサッカーの全盛期。
「ティキタカ」と言われたスペイン・サッカーについて、日本中のサッカー関連者が学びたいと考えていました(断言)

あと、当時は「ポジショナル・プレー」ではなく、「ポゼッション・サッカー」と呼ばれていました。(どうでもいい?)

10年前に流行った言葉を聞くと、なんとなく恥ずかしい気持ちになる。長男に向かって、「ポゼッションのためには、うんたらかんたら」とか言っていたかと思うと赤面する。
しかし、さらに10年たつと、恥ずかしさが薄れるであろうから不思議。

僕が読んだ「村松本」は三冊。

一冊目は、2009年の『テクニックはあるが、サッカーが下手な日本人』
たしか、古本屋で買って、2012年ごろに読みました。
村松さんにとっては2冊目で、かーなーり刺激的なタイトル。

まさにスペインサッカーが全盛期にいたる過程で書かれた本で、「サッカーはサッカーをすることで上達する」といった、統合的(ホリスティック)なトレーニングを重視する立場から書かれています。
うちの本棚を探してみたのですが、すでに処分しているようでした。
この手の本は、サッカーのトレンドの変化とともに、内容が古くなってしまうので、今になって買う必要はないと思います。

二冊目は、2014年『最速上達 サッカー オフ・ザ・ボール』。
タイトルが長いので、以降は『オフザボール』にします。

フリュマンス・ビッシュ氏に紹介してもらいました

三冊目は、2016年の『サッカー上達の科学 いやでも巧くなるトレーニングメソッド 』

これは、日本で指導経験を積んだ村松さんが、スペイン流へのこだわりを捨て去って、書いた本です。
スペインと日本の子どもたちの違いを踏まえて、トレーニング方法を考えられています。
本のメインテーマは、身体操作です。

リフティングも、身体操作の観点から紹介されています。
昔からリフティングは「意味あるの?」という声がありましたが、身体操作や空間認知のトレーニングとして、見直されていると思います。
(少なくとも、僕は見直しました)
興国高校の3号球を使ったリフティングも有名ですよね。
この本で紹介されている、片足のインサイドアウトサイド、両足のアウトサイド、頭を超えるリフティングはやっておいても損はありません。
長男も、ジュニアユースでウォーミングアップの時にやってました。

あと、この本は、「科学をあなたのポケットに」をスローガンにした講談社ブルーバックスから出版されています。僕の数万冊(サバ読み2)の読書経験から、ブルーバックスに外れはありません。買って損はないでしょう。


フリュマンス・ビッシュ氏再び。表紙はすでにありませんでした

『サッカー オフ・ザ・ボール』は何がいいの?


紹介する前に、読み返してみました。
薄れていた記憶がよみがえります。

これはサッカーの「動き方」を知るのに、よい本だと再確認しました。
ボールを保持するときに、どんな動きをして、どんなふうにボールを受けるのか、といった基本的な動きがわかりやすい。

章立ては、バルサスクールでの攻撃の3つの区分(ビルドアップ、前進、フィニッシュ)に、基本とサイドアタックを加えた5つのパートから構成されています。
1.オフザボールの基本の動き
2.最終ラインからの組み立て = ビルドアップ
3.中盤エリアでのつなぎ方  = 前進
4.サイドからの攻撃
5.フィニッシュまでの動き  =フィニッシュ

注意したいのは、これは頭から全部を読む本ではないということ。
必要な箇所だけを「使う」
本です。

では、どうやって使うのか?

自主練で必ずやる、パスコントロールの練習を、サッカーの試合の動きに近づけるために使うのです。

長男との自主練との時は、
1章の「オフザボールの基本の動き」と、5章の「フィニッシュまでの動き」を参考にしました。(ポジションに合わせて、章は選べば良いと思います)

僕たちの使い方を説明します。
(本の内容は、たくさん引用すると問題になるので、少しだけ紹介します)


STEP.1
まず、「1.オフザボールの基本の動き」を、自主練につかえそうな動きがないか、という目で見ていきます。

たとえば、ここに、「バックステップを踏みながら、カラダを開いてボールをうける」というページがあります。

字は読めないと思いますがイメージをつかんでください

STEP.2
目についたページをみて、この動きは、今の長男も、数年後ユース年代になった長男も使いそうな動きかな、と考えてみます。

検証のために、プロの試合を意識して見ると、この動きが試合でよくある動きであることが、わかります。

この動きでやっているのは、
「相手マーカーのカバーエリアから外れてパスコースをつくり、半身になって攻撃方向を見られる体の向きをつくって、ボールを受ける」ということです。
実践で使う回数の高い技術は、「考えなくてもできる」状態がよいので、自主練に取り入れようという判断をします。

STEP.3
そうなれば、調べたプロの試合の映像を子どもに見せて、「このチャビの一発で前を向くコントロールの練習をしよう」と言って練習するのです。


パスコントロールの練習は、実践的な動きをイメージさせることが大事だと思っていました。
その時、相手はどこにいて、それに対して自分はどう動くのかをイメージさせる。自主練では、コーンやマーカーしかないですが、それでもいろんな工夫は可能です。

そもそも、同じような練習を、5分以上続けると子どもは確実に飽きます。なので、日々の練習に、ちょっとした刺激と工夫を取り入れることを意識していました。

この本には、将来まで使える基本の動きがいろいろと紹介されています。
それは、子どもの飽き防止にも役立りました。

自主練を考える親にとって、使える本、だと思います。

ついでにいうと、バックステップは低学年のうちから練習した方がよいと思います。長男はスムーズかつ素早くステップを踏むのに、それなりの時間がかかりました。
(運動神経がそんなに良くないので、それを補正するためのステップワークの練習もしてました。また、後日書きます)

「5.フィニッシュまでの動き」の例も一つ紹介します。

これはFWがボールを受ける時の動き方の例です。
バイタルエリアに落ちる動きでボールを受けに行くと見せつつ、ステップを踏んでターンしてボールを受ける動き。
5章の動きのいつくかも、プロの試合で映像を見つけて、練習しました。

実戦的なボールの受け方がわかる本であれば、何でもよいのですが、
この本は、欧州の試合でよく見る動きの基本が整理されているように感じました。(スペインの戦術に合わせているので当たり前ですが)

繰り返しになりますが、
すべてのページを真似する必要はなく、プロの試合で見る動き、さらに子どものチームの試合でも使えそうな動きがあれば、ピックアップして練習に取り入れるとよいと思います。

最後に1点。こちらは守備については何も書かれていません。
興味がある方は「DVD付 攻撃サッカー プレス&カウンター」をどうぞ。
今になって本棚から、この本が見つかりました。
ですので、僕が読んだ村松本は4冊でした。訂正します。
また機会があれば、これについても書きます。


サッカーの基本の動きを子どもに理解してもらう

サッカーを戦術的にプレーするためには、「認知→判断→実行」のプロセスを、考えなくてもできるレベルまで身に着けることが必要だと読んだことがあります。

まったく異論がないのですが、小学生のチームでは、動き方が整理されていないにも関わらず、「判断しろ」とか「考えよう」というコーチの声がうるさいチームもあります。

判断基準(≒動き方≒戦術)が子どもにわかるように落とし込まれていないのに「判断しろ」「考えろ」は、ないと思います!
(これは最近の「教えない指導」とは別次元の話。ベースの動きがある上で判断を促していくのと、何もない中で0から判断をさせるのはまったく別です)

もしあなたの子どもがそのようなチームに所属しているのであれば、子どものポジション周辺の基本的な動きは、この本で確認すると役だつかもしれません。

あとジュニアユースになったら、たとえきちんと教えられたことはなくとも、サッカーの動きの基本はしっているもの、としてコーチが指導してくることもあるので、復習的にも使えると思います。


最後の一人、ブスケッツも去りました

バルセロナを思う

長男がジュニアだった時に読んだサッカーの本は、ほとんど捨てたり、あげたりしました。その中で、残していたのは「何かある」本です。

本の背表紙にある、村松尚登という名前を見ると、
史上最強と言われたFCバルセロナが、すぐに思い浮かびました。

プジョル、チャビ、イニエスタ、ブスケッツ、ダニアウベス、ピケ、
そしてメッシ。
だれもが、その「美しく勝利する」ヨハン・クライフのスタイルに
魅せられていました。

当時のバルセロナは、本当に強かった。
バルセロナは、2008-09、2009-10、2010-11の3シーズンで、リーガ三連覇。チャンピオンズリーグも二回優勝。
バルサメンバーが中心のスペイン代表は、2008年と2012年のユーロで優勝。
2010年にはワールドカップで優勝しました。

「スペインに非ずば、フットボールに非ず」という、
琵琶法師の声が聞こえてくるような時代でした。

当時の日本では、「体格が日本人とそんなに変わらないスペインのサッカーは日本が取り入れやすいのではないか」との考えが普通にありました。
FCバルセロナのサッカーを理想に、多くのチームが”ポゼッション”サッカーにチャレンジしていました。

今、FCバルセロナは特別なチームではありません。
それでも、好きなチームの一つであり続けています

FCバルセロナを思うと、あの時代、
それに憧れて長男と練習した日々が思い出されます。


ここまで読んでいただきありがとうございました。
では、また来週!


おもしろかったら、「いいね ♡」してくれると嬉しいです!


※「プレス&カウンター」は古本しかないようです。アマゾンでは10冊ぐらいでした。

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