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夜明けのはざま

今朝ご紹介する本は、町田そのこさんの『夜明けのはざま』です📖

ある葬儀屋さんを舞台に、さまざまな人物を取り巻く「生と死」を描いた物語。

町田そのこさんは、私が大好きな作家さんの一人です。

実は、1月末の試験が終わった積読を解禁する!と決めて、心待ちにしていたほど大好きで。

今回も、あっという間に読み終わりました!

本の中で見つけた「言葉」をテーマに、皆さんにある一冊をご紹介していく「言葉で聞く読書」📖
noteを読む時間がない方は、何か作業をしながらコチラをお聞き頂けると嬉しいです🍀



「分かり合えなさ」と折り合いをつける

特に印象に残った言葉がコチラです📝

✔私は私の感覚だけで否定したくない

この作品のサブテーマは、他人との「分かり合えさ」とどう折り合いをつけていくか?なのかな、と個人的には思いました。

「分かり合えなさ」が絶望につながることもあれば、長い時間を経て愛おしさに変わっていくこともあって。

今回ご紹介したい言葉は、そんな分かり合えなさに対する言葉です。

私は私の感覚だけで否定したくない。
誰かの意見に左右されたくない。
そのひとと向き合って、話を聞いて、理解する努力をしたい。
誰かの常識や言い訳で逃げたりしない。

『夜明けのはざま』p.279

偏見⇒決めつけ⇒分かり合えなさ?

私が町田さんの作品に惹かれる理由の一つに、社会課題を描かれていることがあると思っています。

とにかく、「偏見」の描き方がリアル。

だから、今回も物語の世界で、何度も何度も苦しくなりました。

そして、読み進める中で自分の中にある「偏見」に気付かされて、ハッとするんです。

きっと、人間関係の「分かり合えなさ」も「偏見」からくる「決めつけ」みたいなものから始まっているのかな?と、考えさせられました。

だから、人は「聞く」ことができる

自分の想いを100%分かってもらうことは不可能で、その逆も不可能なんですよね。

だから、人間は話を「聞く」っていう行動ができるように進化してきたのかな?と思うんです。

社会の中にある「正解」や「常識」を、いったん横に置いて。

目の前の人とだけ向き合って、自分はどれだけ話を聞けているんだろう?

今回の町田さんの物語は、そんなことを強く考えさせられる作品でした。

明日に任せすぎず、今日を生きる

最後に、この物語の舞台は「葬儀屋」ということで、さまざまな「死」が描かれた作品でもあります。

死を考える時、「生きることへの決意」が沸き上がってくるのだと気付かされました。

ぼくたちはあまりにも、明日に任せすぎている。
明日に、その先に。
・・・
こんな思いをしないで済むように、いまの自分が動かなければいけないのだ。

『夜明けのはざま』p.269

それは、大切な誰かを失った時に気付くのではなくて、今気付くことが大切なのかもしれません。

本書のタイトル『夜明けのはざま』には、今日と明日の間でもがき続けることへの想いが込められているのかな?と想像しながら。

「明日でいいや」でなくて、今、大切な人の話を聞いて理解する努力ができる私でありたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました🍀

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