見出し画像

旭鉄工「KAIZENファクトリーツアー」ですごいと思ったこと。

先日、旭鉄工さんの「KAIZENファクトリーツアー」(工場見学)に行ってきました。
以前からDX事例をお聞きしていて、木村さんの考え方が好きなのと、組織開発事例としても興味があったので、アルファコンパスの福本さんに便乗してみました。

楽しかった!
これまで本やセミナーで見聞きしていたことをリアルで見れたのがおもしろかったし、いろいろ興味深い点も多く、覚書がてら感想と考察など。

「KAIZENファクトリーツアー」では、最初に考え方や手法などを聞いてから、実際に工場を見学する。
いくつか、どんな感じでカイゼンを実践しているかが見れて、リアルにカイゼン報告の場も見れるし(デモでなくてほんとの「カイゼン卒業式」でのプレゼンと承認が見れる)、カイゼンのために掲示してあるものなども見れるからどんなデータを取りどんな風に可視化してどんな確認をしているかも垣間見れる。

めちゃくちゃ中身見せて太っ腹だな?すっごいお得だな!っても思うし、それだけ見せても結局はそのまま旭鉄工さんのやり方をまるっとはまねしてもだめってところがうまいなぁと思う。
(もちろん一部の改善方法はそのままパクれる。設備の電源切るとか。どういう切り口でカイゼンしてるかもまねできるとこかも。)

結局は自分の会社ではどうするのがよいかを考えられないと、うまくDXにつなげられないと思う。
カイゼンの内容が会社ごと工場ごとなどで違うだけでなく、会社が違い風土や習慣やルールが違い人が違う。
同じ考え方で進めても、使うツールや手法が同じでいいかはわからない。

旭鉄工さんのやり方そのものが一般解ではなく、考え方を使うのだと思う。
見るべきなのは、カイゼン事例とかツールとか手法とかでなく、どのような考え方からそれらをやっているか。
それを自社でどのように応用できそうか。

で、考え方がわかったところで、風土改革はともかく、カイゼンや電力削減(CO2削減/カーボンニュートラル)を進めるには、工場での稼働やサイクルタイムとか電力とかをあれだけ可視化しないといけなくてiXacsがないと無理だなってなる気がする。

特に印象的だったのは、カイゼン報告で、現場の方が(係長の方)話すのだけど、ご自身のカイゼンの結果がどのようにデータに現れて、それが経営データにどうつながるものか、というのを、みなさん自分の言葉で話せるというところ。

すごくない?
ただ説明できる、って話ではなくて、日々の業務の中で、今していることが、経費削減につながるだろうか、生産性UP・売上増加につながるだろうか、って意識できてるってことじゃない?

それがあたりまえになっている(だろうと思う)
その環境やしくみをつくれている、というのがほんとすごいと思う。

現場の人たちのモチベーションUPや社長の意図や方針などの浸透のために、という例として、「カイゼン卒業式」の話やSlackでのコミュニケーションの話などがあげられていて、もちろんそういう点も、みんなが自分でカイゼンを考える、自分の言葉で話せる、っていうのにつながると思うけど、そもそもいろんな多くのものが可視化されて共有される状況なのも大きいように思える。

カイゼン卒業式をたくさんの方が見にきていたし、すぐSlackで共有されてたし、報告のポイントや承認コメントは貼ってあったから誰でも見れるだろうし。
カイゼンの目標や実施項目や経緯や結果などが貼ってあるから、内容や考え方などが誰でも見れそうだし。
多分Slackに情報集約されていろんなやりとりや情報が見れるから、みんなが自分が関わってないことでも目にして学んだり気づいたりできる気がする。
(って書くとあたりまえっぽいけど、たとえばメールとTeamsと発信文書とOneNoteとあちこちに情報があってわかりにくいから必要以上に探しにいかない、とか、チームごとに情報置き場もまとめ方も違ったり権限ついてたりで特定の場所しか見えない、とかってよくあると思う。)

Slackでのコミュニケーションだけでなく、ラインストップミーティングとか中間報告のあと検討する?(と言ってたような)とか、定期的に話し合う習慣がありそうなのも、アイディア出したり共有したりして学び合える気がする。

そういう、あたりまえに自然にやってることの中で身についてあたりまえにできてやっていることが多いのではないかと思った。

何かができるようになるときって、「できる」と思える目標地点を設定してそこを目指すっていうのがよくあるやり方だけど、「できるようになる」というのを意識も意図もしてなくてただ「そういうものだ」と認識しているだけでできるようになっている、ってパターンもあると思っている。
無意識にやっている、できているような感じの。
まわりの人がやってることを同じようにしていたらできている、というような、がんばって身につけるのでなくても身についてしまうようなこと。
そういうことが起こっていそうなイメージ。

「育てる」のでなく「育つ」環境なのだろうなと思うし、「自律的にさせる」ようにがんばらなくても、自律的に考えたり行動したりできてしまう状況なのだと思う。

あと、個人的にいいなと思うのは、「カイゼン卒業式」の承認用フォーマットが、「成功したこと」「失敗したこと」「改善をとおして」といった感じの内容だったこと。
何をしてどんな結果だった、という事実だけでなくて(仕事だとそこだけがフォーカスされがち)、何を考えたか、何を感じたか、何を学んだか、っていうのを話している。で、そこから、何をしたいか、って話が出る。

考えたこと、感じたこと、学んだこと、って全部「自分の体験」だ。
仕事においては結構そこはスルーされがちで、その結果どうすべきかとか結論とかだけを求められたりするけども、ほんとは大事なところだと思う。
体験から気づきとかが出てくるものだし、そこから考えたり試したりにつながるし。(というのはカイゼンする上で必要そう)
それが自律的に動くことにつながるし、自分で考えて動いているからこその、自分の言葉での報告だと思う。

報告内容も、成功したことだけでなくて、失敗したことも話されていた。(失敗まで報告しているのはめずらしそうではあったけど。)
失敗について話せるという点もいいし、失敗の中で学んだことを話してるのもいいなと思うし(なので、失敗って話してはいるけど、失敗ではなくて途中経過としての報告に見えるしそう思ってそうにも見える)、失敗の中で学んだことをしっかり評価しているのもいいと思う。
プロセスを評価されるとチャレンジしやすくなるよね。

個人的には、自分で考えて動くのがあたりまえにできているポイントは、可視化と対話なのではないかと思う。
可視化は、データだけでなく、情報や考え方や対話なども含めての可視化。
(旭鉄工さんの場合の、横展アイテムリストとか、Slackでのコミュニケーションとか。)
状況を可視化して、気づいたり考えたりして、対話して共有したり考えたりして、プロセスや結果も可視化して共有して、ってまわっている感じ。

旭鉄工さんの改革の話を聞いていると、木村さんの影響力や実行力によるところが大きそうに見えてしまうけども(それは大きいとは思うけど)、iXacsと対話だけでも、ちゃんと使えたら効果は出るのではとも思う。

以上、勝手な感想。
(あくまでも感想なので間違ってるところもあるかもしれないし意図してないところもあるかもしれない前提です。)

私がグラフィックファシリテーターとしてやりたいことが「見えないものの可視化」によって問題を可視化して解決していくことで、対話とか感情とか状況とかを可視化することでその中に潜んでいる問題をあぶり出したい、ということだ。

なので、まったく違うやり方だけど、人には見えないデータを可視化することで問題を見えるようにするというのをうまくやってるのがすごいなぁと思うし、改善していくプロセスや維持管理の状況も可視化して管理しているところがすごい参考になった。
グラフィックでやるかはさておき、その状況の把握は大事だなぁと思うし、それができてないから解決していってるように見えて解決しきらないってなるんだよなぁ、と。

考え方や可視化のしかたなどいろいろ学びが大きかったので、ヒントにして考えていきたいと思う。

ライティング・ライフ・プロジェクト2024年9月期募集準備中です。
お問い合わせなどはこちらからどうぞ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?