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【詩をひとつ。】 夢を見る意味

目を閉じて

一から数えて

どこまでもゆく


数えてゆくことが

できなくなったとき

落ちてゆくところ


そこで僕は

たくさんの人生を

こまぎれに生きる


見知らぬ町で

逃げつづけたり


見知らぬひとと

そっと体をよせあったり


まっしろな山脈を下に見て

どこまでも飛んだりする


これらの物語は

きっと僕がほんとうに生きたもの


たくさんの道をゆき

さまざまな人とかかわり

目覚めたあとにも

あざやかに残りつづける


目を閉じて

一から数えて

いつか数えることを

忘れてしまったとき


僕は浮上し

あの小路を曲がって

見知らぬ町を抜け

山をこえて

たどりつくのだ そこに


その場所で生きてゆくことを

否定されぬよう


僕は今日もこのまひるを

まどいながら

笑って生きる

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