「死神の精度」
ここ最近仕事のストレスが溜まっていてヤバイ、というグチを友人に吐いたら、「泣ける映画でも観てみたら?」と言われたので、なるほど、それもいいかもしれないな、と思っていた。
私は普段泣けるものはあまり観ない。本でも、泣けるって言われてるものはあまり読まない。
泣くのは疲れるから。
泣くには体力がいる。
体力・・・いや、精神力かな?
確かに泣いた後はすっきりするっていうのはわかるんだけど、疲れる。
だからあんまり、泣けると言われているものには触れない。
これは、とてつもなく心揺さぶられて、沼にハマってしまったものについて、その本だったりDVDだったりを、所有はするけどなかなか観ない、という私の中のあるあると似ている。
それに触れると、心が揺さぶられすぎて疲れる。
何かにハマるって、幸せなんだけど疲れる。
ちょっと片思いに似てる気がするんだよなー。
私はちょっと繊細というか、精神が脆弱というか、揺れやすいところがあるので、ふと、自分の好きなものと現実との境界を感じて、虚無感に襲われるときがある。
頭の中でずーっと考えちゃって、意識持ってかれてる感じ?そんな状態から、現実に戻る時、そのときがえらくせつない。
ああ、はいはい、わかってますよ・・・みたいなね。
どんなに好きでもその世界で生きることはできなくて、現実は厳しいんだよね・・・それを突きつけられたときの虚無感。
現実が嫌いすぎるんだ私は。
読書好きなのも結局は、現実逃避したいのね、きっと。
だからすごく好きな世界を見つけると、その世界と自分の現実の差にがくんとくる、みたいな?
そういうときめっちゃせつない。
そんな、幸せだけどせつない、っていうのが、沼にハマることと片思いは似てる気がするのよ。
ああ、片思いも沼なのか。もしかして。
そんな感じなので、「ハマりそう」と思うと構えてしまって、なかなか手を出せなくなる。ハマるのには体力がいる。
最近ハマりにはまっている「ポーの一族」も「海辺のエトランゼ」も、思いがけず出会った。
あ、なんか有名なやつだーとか、絵が綺麗、とか、そんな理由で読み始めた結果、死ぬほどハマっている。
ハマるときってそんな感じ。
ちょっと話脱線してるけど、「泣ける」作品についてもそんな感じで、「めっちゃ泣けるよ!!」って言われると構えてしまう。
そうか、泣けるのか、泣くのは疲れるからな・・・ってなってしまう。
だからね、普段あまり泣けると言われているものには触れないので、泣けるやつ、と言われてもすぐ思いつかなかった。
泣けるやつってなんだ・・・?全然知らん。て感じで。
そんなときにnoteを見ていたら出会ったのです。
Small Worldさんのこの記事。
なんてタイミング・・・!
最近ほんといろいろタイミングいいんです。ありがたい。
てことでさっそく、ご紹介されてるものから1冊、読んでみました。
前置きが長くなった。
自分のチョイスじゃなく、誰かのおすすめを読むのは好き。
自分チョイスだと偏るからなあ。世界が広がる気がする。
伊坂さんの本は「チルドレン」以来2冊目です。
自分チョイスではあまり選ばないタイプの作家さんなので、あんまり知らなくて、この本も内容については予備知識ゼロで読み始めました。
そしたら、めっちゃ面白かった・・・!
※ここからネタバレしております。
前に「長い長い殺人」を読んだ時も、財布目線て斬新・・・!って思ったけど、死神目線も斬新だね。
これ、やりようによってはずっと続けられるシステムだと思うんだけど、続編とか出ないのかな?もっと読みたいな~
同じように千葉さんが主人公でももちろんいいし、ほかの死神が主人公でも面白そう。
ロクに調査しないタイプの死神だと話作れないけど、死ぬ前にサービスするタイプだとどんな感じになるのか、気になる。
いやでも千葉さんタイプだからいいのかな。
余計なことせず、でもまじめに淡々と仕事をこなすタイプ。
そうかもね。
「死神の精度」では「見送り」にしたのに、なんで「恋愛で死神」では「可」にしたのか、藤木一恵を生かしたように、萩原も生かしてあげて欲しかったのに、って思ったんだけど、よく考えたら、藤木さんはミュージックがらみだから生かしたのかもね。
彼女の歌を聴いてみたかっただけなのかもしれない。
人情とかはないもんな、たぶん。死神だもんね。
「吹雪に死神」は「そして誰もいなくなった」みたいで面白かった。まさかの死神が探偵役という。
そして最後の老女の話。
朝美さん、そんな感じになってたのかあ。
いや、なんともだわ…
私はあのときのあの人がこうなってたんだ・・・!みたいなつながりものが大好物なので、この、実はあのときの彼女でしたーっていう展開はとても喜びましたよ。
さらに深読みしちゃってね、落雷で死んだ中学生ってどっかに出てきたっけ・・・?とか思って、もう一周ぱらぱらと探したりしてしまいましたよ。
森岡を誘拐して交通事故で死んだ3人のうちの誰かが朝美さんの旦那かお父さんなのでは・・・って勘ぐったりとかね。
でもね、京極さんと違うから、そんな仕掛けはない・・・よね?
普段京極夏彦を読みすぎてるとこういうことになります。
朝美さんがいい感じの大人になってた。
いろんな辛いこと乗り越えてきたんだね・・・
若いときの彼女とは印象全然変わってたもんなあ。
号泣まではしなかったんだけど、うるっときました。
伊坂さんの本、ほかにもいろいろ読んでみようかな。
やっぱり、たまに誰かのお勧めを読んでみるのは楽しいです。
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