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因数分解で分かった!パートナー営業(パートナー営業 note Vol.2)

前回のnoteをご覧いただいた方は、パートナー営業がどんなものか理解してもらったかと思います。今回はどんな要素がパートナー営業に関わっているのかについて見ていきたいと思います。

*このnoteを読んでできること*
・パートナー営業が抑えるべき要素はなにか分かる
・予算達成のために現在の活動を点検できる

さて、それでは早速分解をはじめていきましょう!

ほとんどの営業担当者が課される「予算」。売上や粗利益、なかには契約アカウント数や社数を求められる会社もあるでしょう。あまり大筋は変わりませんので今回は売上で話を進めてみます。

売上 = リード数 ×    案件化率 ×    受注率 ×    平均受注金額 ×    仕切率

途中までの内容はマーケティング関連記事などで目にしたことがある方も多いと思います。いわゆる「ファネル」として表現されるものですね。リード数から受注数を引き出すまでの漏斗(ろうと)です。

この受注数に受注案件あたりの平均受注金額と仕切率(卸率)をかけ合わせると売上金額が生まれます。

上記の式が、「パートナー1社に関する売上」を表現しているとすると、リード数はそのパートナー企業が「リーチ可能な顧客数」として以下のように変換できます。

1. 分母を決めるリーチ可能な顧客数

リーチ可能な顧客数 = 既存顧客数 + 新規コンタクトが可能な顧客数

リーチ可能な顧客数を考えることは、パートナー開拓のアプローチ先を検討する際に必要となります。上の式を見ると、組むパートナーの既存の顧客ベースが大きく、新規顧客の獲得をおこなう体力があることが重要だと分かります。それには営業人員数(単なる人員数だけでなく、既存顧客数あたりの人員数も大切!)やマーケティングのための資金力が必要ですので、ついつい大企業とのパートナーシップ構築に走りたくなります。

ただし、単に大企業であるだけでは意味がありません。SMB層向けの業務アプリケーションを大企業向けの基幹システムを得意とするSIerさんに売ってもらおうとしても無理がありますよね。

「御社の顧客層とマッチしたリーチ可能顧客」
がどれだけいるかが幸せなパートナーシップを築くうえで不可欠であることを忘れてはいけません。

2. 案件化率と受注率

案件化率×受注率 = f(顧客からの引き合い、モチベーション、営業スキル)

案件化率と受注率の決定要因はたくさんありますが、モデル化するためにも単純に表現します。

・顧客からの引き合い

顧客からの引き合いが案件化や受注に大きく作用することは言うまでもありません。市場への関心やニーズを高める方法論はマーケターの方々のnoteにお任せしますが、パートナー営業の立場から市場に影響を与えることもできます。(※この辺りは別の機会に詳述します。)

また、顧客からの引き合いが課題だとパートナー企業の販売推進担当に聞いていたら実は現場のモチベーションやスキルが原因となっていたなんてこともあります。近い市場の商材の売れ行きなども聞いてみると原因を切り分ける材料になるでしょう。

・提案モチベーション

つぎに提案のモチベーションです。パートナー企業配下の営業担当者たちを売る気にさせられたらパートナー営業の仕事は半分終わったも同然です。ただし、そのメカニズムたるや複雑怪奇。。主要な要因を列挙してみましょう。

提案モチベーション=f(人事評価、評価外報酬、商材への共感、人間関係、 手離れの良し悪し、注力商材との親和性、自信 etc.)

一番分かりやすく難しいのが、人事評価の基準に御社商材の販売実績を加えてもらうことです。会社同士のパートナーシップが深くなれば交渉によって実現することもありますが、結構難易度は高いです。ただし、評価基準に加わった途端に営業担当者たちの目の色は変わります!

つぎに分かりやすいのが人事評価以外に報酬を用意すること。販売インセンティブやセールスコンテストなどによるインセンティブ設計です。パートナー企業によっては本来のインセンティブ設計(=人事評価)が崩れることを嫌がるケースも少なくないので事前に相談するようにしましょう!(※ちなみにこの辺りの施策設計は僕の得意分野なのでまた別途詳述します。)

また、特別なインセンティブは無くとも、商材や御社の世界観に共感してもらったり、Face-to-Faceでの関係性から贔屓にしてもらうこともあるでしょう。単純接触効果という心理学用語もありますが、やはり現場との接点を多く持つことも大事になります。(個人的な実感としては、地方に行くほどFace-to-Faceの関係が強く作用するように思えます。)

手離れの良し悪しは多くの商材を扱う営業担当にとっては非常に重視するポイントです。受注したは良いものの、その後何度も顧客からの問い合わせを受けたりフォローのために訪問する必要があるとすれば次回から提案したく無くなります。どれだけ営業の負担を減らせるかという点はサポートの分担ラインの設定や導入後マニュアルの整備などで調整することができます。サポートやカスタマーサクセス部隊の協力を仰ぐのも手でしょう。

注力商材との親和性は、クロスセルやセット販売のしやすさに繋がり、営業担当は御社商材を提案しやすくなります。本来はパートナー企業とタッグを組むときにある程度見られる項目ですが、たくさんの商材をまずは取り扱うという方針のパートナーであればこれも意識するようにしましょう。もし製品開発もコントロールできる立場にあれば、パートナー企業の注力商材との連携機能などは強いカードとなりえます。

そして意外と重要なのが営業担当の「ちゃんと提案できるだろうか…」という不安を払拭して、自信を持ってもらうこと。今まで提案していたものと違うと心理的なハードルを感じてしまいます。対策としては、訪問先に持っていけばひととおり説明ができる提案資料を作成する、勉強会を実施する、同行訪問のハードルを下げるなどがあります。

・営業スキル

営業スキル = 一般的営業スキル ×    商材特有の営業スキル

「売りたい」って思ってもらえるモチベーションが整ったら、「売ってもらえる」営業スキルを高める活動が求められます。前述のとおり、勉強会などで製品知識を拡充することも必要ですが、そもそもベースとしての提案力が備わっていなければ売り切ることはできません。

提案のフェーズに沿ってヒアリングのための質問票を提供するなどして、うまく営業活動をナビゲートして行くこともパートナー営業の活動のひとつと言えるでしょう。

3. 平均受注金額

平均受注金額はもちろん御社商材の性格やパートナーが保有する顧客層によります。個人的にはあまり案件あたりの平均を意識することはしませんが、案件規模のセグメントごとに活動状況を確認することはします。

大きなパートナー企業になると、担当クライアントのサイズによって営業チームが分かれるケースも少なくありません。その場合にはチームごとに活動状況を確認し、芳しくないチームに対して個別で手当をするというアプローチも可能です。

4. 仕切率

仕切率(卸率)は如実に売上に作用する、パートナーとのパワーバランスとも関わる要素です。パートナー企業と手を結ぶ際にある程度ルール付けすべきなのですが、実績に応じて変動させる方法は両者に手間でもあるので、当初は固定の仕切率で話を進めたいのが実情です。仕切率、あるいはその先のエンドユーザ価格をコントロールするために四半期や半期ごとのリベート方式を採用するという選択肢もあります。

5. まとめ

以上をまとめてみるとこんな感じになります。

売上=リーチ可能な顧客数(既存顧客数新規コンタクトが可能な顧客数
  ×顧客からの引き合い(市場認知・ニーズ etc.)
  ×提案モチベーション(人事評価評価外報酬商材への共感人間関係、  
          手離れの良し悪し注力商材との親和性自信 etc.)
  ×営業スキル(一般的営業スキル商材特有の営業スキル
  ×平均受注金額
  ×仕切率

パートナー営業全体を受け持っている場合には上記の式で太字の要素全体を意識する必要がありますし、担当パートナーを受け持った場合には特に提案モチベーションと営業スキルの部分を重点的にチェックしてみると、どこに注力していけば良いか自ずと見えてくると思います。

今回は概念の話だったので長文となってしまいましたが(反省)、次回以降は各論としての方法論に迫ります!適宜このnoteに立ち戻り「いまどこの話をしているんだろう?」と俯瞰してもらうとより理解が深まるかと思います。

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