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従業員エンゲージメント向上におけるナッジとは?

近年、従業員エンゲージメントは大きな注目を集めており、多くの企業はエンゲージメント向上に力を注いでいます。
しかしながら、全ての企業で十分にエンゲージメントが向上しているかというと、そうとは言えない現状があります。

そこで、ここではエンゲージメント向上の新たな一手である「ナッジ」について解説していきます。

ナッジとは?

ナッジとは「小さなきっかけを与えて人々の行動を変えること」です。

例としてGoogleでは「食堂の見やすい場所にヘルシーな食材を配置する」というナッジを送る事で従業員の摂取総カロリーを300万カロリー削減したと言われています。

元々ナッジ理論はリチャード・セイラーとキャス・サンスティーン著「実践 行動経済学(Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth, and Happiness)」の中で紹介されました。

「行動を変化させるには物凄いエネルギーが必要です。
そのため、意思決定の90%は潜在意識で行われています。
潜在意識に作用を与え行動変化を促す事をナッジといいます」

※ こちらは意訳となります

そして今日ではナッジは企業活動の中で生産性・エンゲージメントの向上にも活用されています。

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ナッジのメリット

ナッジのメリットは「従業員の行動変化を促す事ができる」という点です。
従来の方式のパルスサーベイや従業員アンケートなどで自身の状況をチェックするよりも継続的かつ具体的なナッジの方が効果的であるとする研究もあります。
以下に企業内でのナッジの例を挙げます。

「今月のMVPを社内で発表する」
生産性の向上を促します。

「個人別の売上を社内に掲示」
売上目標を達成するのに効果的です。エンゲージメントが2倍になった例も。

「サーベイを行う」
サーベイの質問自体がナッジとなる場合もあります。航空会社ヴァージンアトランティックが燃料の消費量を削減したい時、パイロットに「あなたはどれくらいの燃料を使用していますか?」と尋ねる事で20,000トン削減する事ができた。

「勤務時間の前にリマインダー送信」
欠席や遅刻を減らす。遅刻を21%削減し、欠席を16%削減という結果が得られた。

これらのケースから定期的にナッジを送る事で従業員のモチベーション向上をはかりエンゲージメント向上にも繋がる事を示しています。

ナッジを送るまでのステップ

多くの場合、企業は従業員のエンゲージメントを高め、会社のビジョンと従業員の行動を統合するために定期的な全体ミーティングを行います。
しかし、これらの多くは短期的な影響しか見込めないので長期的な従業員の行動変化を起こすためには別の施策が必要になります。

そこで必要のなるのが従業員の無意識の行動と会社のビジョンを合わせるために効率的に設計されたナッジです。

ナッジを実装する手順は下記の通りです。

①まず企業は「行動目標」と「ビジネス目標」を定義します。

②次に従業員の事をよく理解して。どのように意思決定しているかを把握します。

③最後に経営層が①と②を比較して、従業員の望ましい行動への障壁(身体的、社会的、心理的)を特定して対応する施策を実施します。

行動を変える事は難しい知識を使うのではなく、人間としての本能にシンプルに介入する事だと言えます。
例としてADPのCompassでは従業員にメールでマネージャーの行動について様々なフィードバックを募り、リーダーシップを評価しました。
これにより、管理効率を40%向上させましたがマネージャーへのナッジとしてはとてもシンプルなものだと言えます。

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ナッジの大きな可能性

ナッジの可能性を説明する為に実際にナッジを導入したSweet Green社の例を見てみましょう。
Sweet Green社は「人々とヘルシー食品をつなぐ」をミッションして急成長しているレストラン スタートアップです。
同社には3,500人の従業員がおり、その中で200人以上のマネージャーにナッジを送った所、非常に良い結果が生まれました。

最初のサーベイで会社のミッションは十分に浸透している事がわかりました。しかし一方で、従業員のほとんどは自身のキャリアや成長について
明確なイメージができていませんでした。

そこでそれぞれ下記のナッジを送りました。

マネージャーへのナッジ・・・従業員にキャリアについて従業員に話を聞いて、自社で提供できる成長機会について話し、どのようにキャリアを拡大できるかのアイデアを与えるよう努めて下さい。

従業員へのナッジ・・・自身の考える理想のキャリアプランや現状の問題点をまとめてマネージャーに質問するようにして下さい。

これらのナッジはエンゲージメント向上に非常に効果的でした。
今後、ナッジは従業員やマネージャーをより強力にサポートするコンサルタントのような働きも期待されます。


ナッジの導入方法

このように効果的で将来性のあるナッジですが実際にどのように現場に導入すれば良いのでしょうか?
一番簡単にできるのは人がアナログにナッジを送る事です。経営者や人事担当者でサーベイ項目を考えて送信して、回答を集計してマネージャーや従業員にナッジを送信します。
ただし、この方法はとてもリソースが必要になります。

そこで、システムを導入してAIの力でナッジを導入するのがオススメです。

ナッジ・エンジンのシステムとしての先駆けは米国カリフォルニアの「humu」が挙げられます。
https://www.humu.com/

また株式会社MAKE A CHANGEでは「ナッジ・ラビット」を提供しております。
上記で解説したような気づきを与え行動変化を促すナッジを個人にパーソナライズして送ります。
パルスサーベイの他、360度フィードバックやOKR、1on1などのデータも統合的に扱うので精度の高いナッジを実現可能です。
どのような業種の企業様にも対応可能なシステムとなっておりますので、よろしければご参照お願い致します。

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