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事業計画③の2会計士の活用

中小企業経営者の現状

会社を立ち上げると、もしくは店舗を立ち上げると毎日が接客と営業、次への企画、そして人材の育成と毎日がどちらかというと現場の売上の向上に目が行きがちです。そしてその傾向は知らないうちに1年過ぎ気づくと3年過ぎていきます。そうこうしているうちに先日も述べたような自分では太刀打ちできないような競合店の進出から始まり地球環境の変動や感染病など不測の事態が起きてくるのです。自分で商売を始めて16年たちますが本当にうまく行ってるなあ、絶好調だなあって思うことはほんの2回くらい。しかもそれも続いて1年か2年いかないくらい。あとは常に課題と向き合い、どのように解決するかに頭を悩ませています。しかし今回のコロナショックのような致命的な事態に陥ったとき、僕ら経営者は経営者が本来行うべき会社の立て直しに時間を割けないでいます。もともと抱えている業務が仕入れから企画やら現場、事務などととても多いうえに、売り上げがなくなることに恐怖を覚え、さらにがむしゃらに店に立ち動きまくります。そしてそこにはいつか体力の限界と気力の破綻に追い込まれることが見えてきます。僕は何年か前に訪れたピンチの時はそうでした。月に360時間を超えて店に立ち、スタッフに吠え、自らを鼓舞し立ち続けました。しかし、銀行はものの200万円も貸してくれませんでした。そしてとうとう絶望の淵に立つことになってしまうのです。もう思い返したくもない過去です。鳥肌も立ちます。

経営者の本来の業務とは

今回のピンチの僕は気持ちが違います。金銭的には以前よりウン千万単位のピンチなんだけど普段と何も気持ちが変わらない。しかも会社を2社も抱えているのにである。このような状態でも銀行も困らない以上に支援してくれる。そして返すことのできる自信さえ少しあるのです。

それは経営者が本来行うべき業務である①過去から現状の把握②ぶれない理想(理念)の再確認③理想に基づく未来への予測(必ず数値で)これをしっかり行い会社の行動指針に落とし込むことができているからではないかと自分で勝手に納得しています。

①過去から現状の把握

もってこいのモノがあります。

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これです。総勘定元帳。皆さん見たことありますか?これをしょっちゅう見ている人ってあまりいないんじゃないかと思います。あれ?梶さん。あなたあれだけバックオフィス、IT化を提唱していながらこれかい!と思うかもしれませんが、はい元帳だけはいくつもの数字と項目を俯瞰して同時に見たいのでこれはこのまま見ます。パソコンはB/S貸借対照表やP/L損益計算書やこの後出てくる資金予測表を開いたまま同時に眺めます。

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総勘定元帳というのは仕分けと並んで絶対必要な記録簿です。仕分けは全てを時系列に記録しますが、総勘定元帳は写真の通り仕分けされたものを勘定科目ごとに記録していく帳簿です。ここまではクラウド会計ソフトが仕分けさえできれば自動でやってくれますし、銀行やクレジットカードと連携さえできればなんと自動でデータを計上してくれる優れモノなんです。しかし論点はその作業ではないんです。中身!

例えば、現時点で複数に銀行をもっていたり、最近ではWEBショップを始めて色んな資金管理アカウントもっていたりしますよね?(PAY PAYや楽天ペイとかPAYPALもそうですよね)そんな時にトータルの現金残高はいくらなんだろう?

または一番気になるのが借り入れとかリースの支払い額やトータル残高はいくらなんだろうとか。そういうのを調べることができるのが総勘定元帳なんです。つまり会社のこれまでの「過去」と「今」の財務状況がすぐに把握できるのが総勘定元帳なんです。皆さん今聞かれてざっくりとでもいいので答えられますか?

はい。とはいえ、難しいですよね。数字も項目も。なので一番面白いのは経費関連から見ていくわけです。最初は振り返りながら当時のことを思い出しますがところどころ、だんだん恥ずかしくなってくるはずですよ。特にお酒飲むのが大好きな社長さん!接待交際費、めちゃくちゃ無駄に使ってないですか?旅費交通費無駄に使ってないですか?消耗品、雑費、無駄につけていないですか?あの日、あの時「あ、いいよ。これ経費で落としとくから!」なーんてカッコつけて見栄きっていないですか?そうなんです。あの時の過去の記憶や思い出を数字が語ってくれるんです。

はい。その調子で過去から可能な限り片っ端から過去の数字を片っ端から僕らは見ていったんです。みなさん最近はSNSで過去の写真振り返って、あ~あの頃はなんか恥ずかしいことしてたなあとかつぶやいていますよね!全く同じです。全く同じ感覚でいいので総勘定元帳見てください。だんだんと数字と僕ら経営者のとった行動すべてがリンクして反省として出てくるでしょう。経費だけではないです。仕入れもその他の諸経費も全て見直してみましょう。政府のマスクの配布の遅さを経費の無駄遣いだ!なんて批判なんかしている場合じゃないんです。

ちなみに僕らはこんなことしました。店舗の設立に一体いくらかかったの店舗の運営にいくら必要なの?この経費本当に要るの?ということを洗い出しました。こんなことで出た答えは結局ピンチの時のよくあるセオリー。事業規模の縮小をして固定費を削減、利益確保を目指す。直近は欲望を捨てたところから事業規模を拡大というものでした。

こうして僕はいつも数字をこんな感覚で眺める習慣になったので数字に基づいて自分たちの事業物語が喋れるようになったのです。

②ぶれない理想の再確認

とはいえ、恥ずかしい過去も接待もおそらくはこちらの理想の達成のため。新しいお客様獲得のための投資かもしれないし、仲間結束のための経費だったのかもしれません。しかし、コロナショックの中、事業縮小を考えざるを得ませんが同時に我々の事業を立ち上げたときの熱い想いを必ず思い返してください。そしてその想い理想に近づけているかを再確認してください。僕たちも会社の理想についてはしょっちゅう議論します。理想についてではなく理想と現実の行動があっているかどうかについてです。昨日も共同経営者の粕谷とも話しましたし、今日もスタッフにも理想の考え方について話をしました。先ほど話したような事業の縮小とか欲望は捨てるということと理想を捨てることは全く違うのです。理想っていうものは決してなくなってはいけないものなんです。会社として命(ハート)のようなものなんです。だからこの理想に基づいて事業の世界観とは、お客様とは、職場環境とはを常に考えるのです。そしてたとえ事業を縮小したとしてもいつまでに立て直し、何をすることで回復、または躍進していくということが物語として見えてくるのです。

③理想に基づく未来への予測

なんだか偉そうな口調になってきてますけど、これ本当にここ最近やってきていることをそのまま文章にしてるだけですからね。全然ビジネス成功体験記でもなんでもないんですよ。ただの日記に近い(笑)。では、なぜ書くのか?それは「みんなの愚痴が嫌いだから」。愚痴がない中でポジティブに他のみんなと一緒に頑張りたい。それだけ。みんな経営者は大変なんだから前向きにやりたいのです。さあ今日は長いです。続きを書きます。

理想を数値にしたいということでつくった表がこれ。

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あまり大きくお見せできなくて申し訳ないです。実数入っているし。しかし無理して拡大して構いません。もし本当に欲しい人がいればさすがに有料にするかもだけど売ろうかなあ?とも思います。もしご要望あれば最後にコメント欄にでもいただければと思います。

この表はどういうものかというと何月何日に残高がいくらあるという表です。毎日営業して毎日売上があって入金してとあるじゃないですか。これをどんどんこの表に記入していくわけです。もちろん製造業でしたら掛け売りがあるので入金は翌月末とか先になりますよね。入力したうえで何月何日に給料日があって、仕入れ先に支払いがあって、借金返してとか全て決まっているものもどんどん記入していくわけです。そうしてできたものが現時点でまず総勘定元帳とある程度リンクできればまずはOKです。

続いて今回のコロナショックの数値を素直に記入していきます。予測も向こう数か月は落ちていく想定でいいので入力していきます。しかしここからが腕の見せ所なんです!じゃあこの落ちた売り上げからいくらの人件費で、いくらのコストでやって行けばよいのだろう。いくらならば落ちた予測の中で利益を出すことができるかを考えます。そしてこの切り詰めた状況は3か月で終わりにしてどうやって理想に回復していけるかを予測するのです。今回はコロナ対策融資を当社は使っていますから3年間(当社は)据え置きしました。その3年後借り入れがスタートすることを想定して返済できるのか、もしくは返済が減らすことができる体制が整っているか、つまりは売り上げを立てる自信があるかこれを作っていくわけです。ここは予測なのでざっくりとは言いますけれど具体的に何をして何個とか、ターゲットは誰とか、そういうところは確証が持てるように作り上げます。

確証が持てない?自信が持てない?それはあると思います。なんの準備もできる余裕がなかった、準備をしなかった、何も考えていなかった。こういう状態は自分にも絶対あると思います。その未来への数字がしっかり描けないとき、僕もそこは損切りして撤退することも考えます。それくらい未来への予測は希望に満ちているようでシビアでもあります。

いいことも悪いことも含めて考えて準備して行動していく。これが経営者の本来の業務だと僕は言えます。がむしゃらにやることが全てではないのです。もちろん店頭での陣頭指揮も時には必要です。現に僕もここからしばらくは普通にお店でバリスタをやります。しかし経営者本来の仕事これを最重要課題としていつも念頭において行動しております。

さて本日のタイトルは一体どうなっているのか

さて今日一言も出てきていない会計士の活用ですが、実はここまでの話で全て出ました。会社の現状把握、理想の再確認、そして未来の設定のプロセスなど、これら全て経営者自らの言葉で数字的根拠を元に常に会計士に話をすることです。経営者の数字に基づいた経営ストーリは必ずや会計士の心をぐっとつかむはずです。会計士をただの「帳簿整理の事務」と思わないことです。数字はスピード感をもって常に更新されていることが大事です。特にこのような局面にすぐに現状の把握と未来の修正なんかはタイムリーであればあるほど僕ら経営者にとって、また私たちを応援してくれる銀行やお取引先の方々にとって次のアクションが取りやすくなるのです。なので試算表は可能であれば1か月前、できなければ前月の売上と経費の分析をある程度把握しておくことが常に必要です。そのようなサポート体制を会計士と身内のように活用することでよりスピーディーな経営判断ができると僕は思っています。もちろんIT化によるバックオフィス改革もそれをさらに加速させることができるでしょう。常に自分に疑問を持ち、常にどのように改善するか。人のせいにはしない。この習慣のおかげで僕は常に課題にクリアに向けて行動するから毎日が楽しいのです。

さて、次回は本題から外れて閑話休題。次回のタイトルは「プッシュアップチャレンジ」。これをnote上でやってみようと思います。え?動画投稿機能あったっけ?お楽しみに!




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