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”就職氷河期経験者からの採用担当”が語る不景気時代の就活・転職対策10選

 放っておいてもオモテナシされ採用された2019年。景気の後退を後押ししたウイルスの登場。これにより冷や水どころか急速冷凍された21新卒、22新卒、中途の方と日々お会いしています。

 しかし2013年以降の好景気に対する急速冷凍具合についていけない方は多く、面接対策一つとってもよく掴めていない方が多いようです。先輩に聞いたところでオモテナシ採用真っ只中の話を聞いても役に立たないのが実情でしょう。

 今回私が取る立場は下記の4つの視点です。

・氷河期末期に30歳でAcadexitした就活に苦労した人
・企業のリクルーター8年(エンジニア採用)
・うち、求職者から誤解を受けやすくて不人気だけど代表がプロデューサーで内定ハードルは超高いBtoCのリクルーター6年
・人材紹介会社でのエージェント教育担当

 前職では黎明期のマッチングサービスでリクルーターをしていたのですが、当時は出会い系と混同されることが多く疑惑を払拭することに一苦労でした。結果、作戦として紹介会社などに「練習だと思って来てほしい」と伝えるに至ったのですが、本当に何も準備されていない方が多く来られました。そこから根気よく紹介会社にフィードバックし、筋の良い方のエンゲージメントを高めながら組織づくりをしていきました。今回お話することは最終面接に向けてお伝えしてきた内容を軸にブラッシュアップしたものです。

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何故お見送りされるのか

 売り手市場ではその対象者は口説かれる側で入ればよく、最終面接までにその気になれば良いという状況でした。しかし買い手市場になるとその対象者は会社に自身を売り込むところからスタートします。

 お見送り理由を見ていると概ね

・ポジション
・スキル(ポテンシャル含む)
・カルチャー/カラー
・コミュニケーション


あたりが挙げられますが、

・(自分たちの事業領域・事業などに)興味を持ってくれていない

というものが上記の前提としてあります。サービス指向性とも言いかえられるこの「興味」ですが、「(何でも構わないので)ここで働かせてください」で受け入れられるのは著しくスキルがある方、千と千尋の千、応募がなくて困っている企業くらいのものです。ただ単にスキルや自身の時間を提供するとなるとフリーランスで良いよねという考え方がエンジニアを中心に起きていることも意識しておきましょう。

 闇雲に受けてもそれはソーシャルゲームのガチャと同じです。自分自身の中身をしっかりアピールするためには、スタートラインに立つ姿勢が必要です。企業に興味がない状態で望むと、面接官にしっかりと伝わります。

 また、売り手市場から買い手市場にシフトした方はどうしても売り手市場に居られた頃の癖が抜けず、「企業を値踏みしている」態度として伝わってきます。

 では具体的に10項目を見ていきましょう。

1.求人票をよく見る

 意外と見ていない人が居られます。滑り止めなんだなと冷めます。応募した職種や用語が分からなければしっかり調べましょう。

 昔インフラエンジニアを採用していた際、あまりにも噛み合わないので「どういう職種だと思われますか?」と質問したことがあるのですが

「インフラ・・・インフラストラクチャなので・・・基盤ということはプログラマですよね?」

 と、返ってきたことがあります。内定が出たらどうするつもりなのか見たいところではありましたが。

2.ミッション・ビジョンを見る

 通常の会社であればミッション・ビジョンがしっかりと制定され、事業や施策の意思決定に迷った際はミッション・ビジョンに照らし合わされて決定されることも多々あります。

 志望理由まで行かなくても、興味を持ったキッカケになるので抑えておきましょう。

 私は一次試験の履歴書の志望理由は白紙でも良いと考えているのですが、珍しくみっちりと書いてある方が居られました。

「御社の○○というミッションを見て非常に格好良いと感じました」

 ほぅ、良いじゃないですかと2秒ほど思ったのですが○○がどうも自社のものと違う。その場で検索したらライバル企業のミッションでした。指摘すると志望理由が白い履歴書が出されたということがあります。まぁ・・・アレですよね。 

3.公式SNSを見る

 昨今はTwitterやFacebookなど公式SNSを運用しているケースが多々あります。後述する当該企業のニュースやメッセージが発信されている可能性があるのでチェックしておきましょう。数分です。

 一方、振り回されないで欲しいと恐らく全国の人事採用担当が思っているのは転職者によるクチコミです。ネガティブな理由で辞めている人ほどクチコミを残しがちなので差し引いて考えていただきたいところです。

4.プレスリリースを読む

 資金調達、新規事業、新機能リリース…企業が一番知ってほしいことが乗っています。ニュース検索と合わせて実施するのが良いでしょう。

5.代表(や面接官)が取材された記事を読む

 このことに言及された応募者をぞんざいにはできません。が、皆さんほぼやりません。一方で転職慣れしているCXOなどは必ず言及されています。流石と言わざるを得ません。

6.(取材されていた場合)WBSをチェックする

 特にスタートアップのCXOの方に多いのですが、WBSに取り上げられるというのが一つのマイルストーンになっています。

「WBS見ました」の破壊力は馬鹿になりません。経済ニュースに触れている感じも相手に伝えられます。何が取り上げられたのかも含めてチェックしておきましょう。

 尤も最近のWBSはコロナ祭りなので私の場合は妻に録画の視聴を任せ、興味のある話題のみ抽出してもらって見ています。感謝。

7.業界を知る・位置づけを把握し、自分が興味を持ったポイントを(ぼんやりとでも)伝えられるようにする

 最終面接に向けて抑えておくと手堅いポイントです。カジュアル面談の段階で抑えておけると(良い意味で)意識が高いと認知されます。

 正社員とフリーランスの差別化ポイントはサービス指向性だと私は考えています。当該領域がどういう状況なのか。他にはどのようなプレイヤーが居るのか。そして自分はどのあたりに興味を持ったのかを話せるようにしておきましょう。

8.アプリ・サービスを使ってみる

 BtoBやSES、サービス対象者が限定的で自分が対象外なサービスを除き、アプリやサービスは使っておくべきです。

 前職のマッチングサービスでは最終面接に向けて必須条件になっていました。課金まではしなくて大丈夫ですが、下記までは必須としてお伝えしていました。

・アプリのインストール
・アプリの起動
・サービス登録
・チュートリアル
・基本動作

 この上で各職種の観点からコメントができるようになると理想的です。

 事前にこれらをお伝えした上で最終面接まで行っても、やらない人が半分くらい居られたように思います。「インストールはしました」ってAppStoreかGooglePlayの表記くらいしか触ってないですからね。「これから関わってもらうというサービスに興味がないのか」とバッサリやられてしまいます。逆に言うとここまでやってみた結果、そこまで興味が持てないということであれば縁がなかったと考えてよいかと思います。

9.競合サービスと比較する

 事業領域への興味を語る際に、競合サービスについて軽く調査をしておくことをオススメしています。感想、良かったところ、改善した方が良いところを伝えるのが良いでしょう。

10.職種視点でコメントをする

 8、9について徒に褒めるだけではなく、特に自身が携われそうなところを中心に提案すると良いでしょう。お互いにその企業・事業で関わるイメージに繋がっていくはずです。

最後に

 この8年、最終面接に向けての言付けを実践してきたのですが、実践されて臨まれていた方は半数を下回っていたように思います。就職活動中・転職活動中問わず広く本コンテンツが読まれ、スタートラインが上がり(門前払いが減り)、引いては全国的に面接レベルが底上げされればと願うばかりです。

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