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学術でのキャリア形成を理解し、キャリアチェンジを後押しする

 このマガジンは私の手元にある電子ノート内にて章立てとかあったりするのですが、緊急で差し込みです。きっかけはこのTweet。 

 私の返信Tweetで恐縮ですが、研究職につかれていた旦那様がポストを追われ、奥様に自殺をほのめかすようになったというものです。ご無事であることを切に願います。内容が内容でしたので掲載順序とか言っていられなくなったため急いでの更新です。私の知人もそういう方が居られましたので急いだ次第です。乱筆で申し訳ないです。

 不況になった際、研究費用というのは比較的初期に切られがちです。こと大学などの学術機関であれば有期の方も多いのでポジションごと整理されることも多々あります。先のTweetにありますように私は20代は大学教員を目指していた一人です。進路を決断する段階では景気はまだ良かったのですが景気の急降下によりポストを追われてきました。その時に気の利いた言葉をかけてくれる人たちがほぼ居なかったので(余計なことを言う人は多い)、同じ境遇の人が居られた際に声を掛けられる存在になろうと行動をし続けたら専門分野がキャリアのマッチングになりました。

 元のTweetに戻りますと、ビジネス業界で急な転職を迫られた場合、これまでやってきたこと(過去)、その結果できること(今)、この先やりたいこと(将来)の三軸を押さえれば転職先は豊富な選択肢の中から具体的に絞られていきます。その一方、学術でキャリアを失った人たちに「研究テーマを変えれば?」と声をかけるのはNGです。何故か。それは下記の図にあります。

 急ぎだったので煮詰めきれていないところではありますが、ビジネスでは様々な組織形態があります。何をY軸に取るか迷うところですが、例えば身分だった場合、本マガジンでよく登場する大企業であれば三角錐になるでしょう。派閥があったり子会社があったりすると複雑ですが一旦置いておきます。

 本題の学術はというとイメージとしては「バベルの塔」です。義務教育である小学校・中学校から螺旋状に紡がれるその塔は就職という形で何割か「卒業」し、右の企業体に属します。

 一方で学術に残った人達は修士、博士と人数を減らしながらも登っていきます。博士取得後は助教、准教授、教授となっていきますがこちらはポジションありきなので椅子取りゲームの世界です。非常勤は・・・あれは履歴書に書けるアルバイトです。教授になった後も多くの場合はテニュアトラックを目指すことになり、各大学で決められた成果が収めなければなりません。私の母校の場合は投票もありましたが、ここでようやく終身雇用になります。天界を目指すが如き所業と倍率です。

 このあたりもビジネスに転身した今としては違和感のあるところで、ビジネスの場合は正社員のうちにスキルや経験を身に着けた上で業務委託(フリーランス)になる方が多いですが、学術は有期の業務委託からスタートしてスキルや経験を身に着けた証明が終身雇用です。

 ではそこからドロップアウトしたということはどう感じるでしょうか。私はこのTweetの旦那様よりもっと低い階層で弾かれましたが、そのもやもやとした感情をこの塔を登ろうとしなかった人に伝えるにはどうしたものか言語化がうまくできずに苦労したのですが、ドラゴンボール初期のカリン塔が近しいのかなと思うに至りました。

「塔を登った先になにかあるらしい」「塔を登ったら強くなれるらしい」「楽をしてヘリコプターなどで到達しようとしても辿り着けないらしい」ということで身一つで登るわけです。漫画では数日だったと思いますが、学術の塔は何十年もかけて登ります。漫画では到達した後にカリン様にいたずらされて(修行の一環で)再度地上に戻った上で更に天上を目指す描写がありましたが、私はあの逸話を見たときに感じたのは「折角登ったのになんと勿体無い」という感情でした。学術でキャリアを戻すということは積み重ねた「年」の重みとともにこのカリン塔再登頂が起きるわけです。

 つまりは安易に「研究テーマを変えれば?」「就職すれば?」と言うことはその塔への登頂した履歴を否定することになります。研究テーマの変更は時として何階層か下って登り直すことを意味します。
また、先に塔を行く人に安易な言葉を掛けられることは「自分がうまく行かなかった経路をうまく行けた人の上からのアドバイス」なので妨害にすら見えます。塔から離れて別の道に行くことは「都落ち」に感じます。多くの場合、腐ってしまう人が多いのはこのあたりです。

 ではそこからの回復はどうすれば良いか?僭越ながらサンプルが少ないため私の事例で恐縮ですが下記のようになります。

・生きることを最優先する
・これまでの専門性に固執しない
 何ができるかを棚卸しし、武器を持ち替える
 どこかで活きるかもしれないと思い直す
・これまでの塔を登った馬力を売り物にする
・高度な問題発見・定義力を売り物にする
・学術外の人に相談する

 加えて下記のような打ち手もありです。

・非ITの場合、取り敢えず専門性×ITで探してみる
 プログラミングを齧れば逆転はありえる
・数学系・物理系・生物系の場合はデータサイエンティストを検討する

 私でよろしければ相談にのります(と言い続けているけど相談件数少ない)。人生を諦める前にDMでもしてください。私は当時の自分が掛けてほしかったことをお伝えします。 

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