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今から始めたい人事と事業部による「内定承諾後辞退」防止対策

10月になり内定式を終えた企業も多いかと思います。しかし実際の入学は4月とまだ半年ほど残っています。ここで各社が頭を悩ますのが「内定承諾後辞退」です。私のところにもお客さんから多く相談を頂くテーマです。

内定承諾というと一般的には入社に向けての合意を意味するため、共にメンバーとなる見込みの人なわけですが、内定承諾後辞退者は一定発生します。

あるベンチャーのエンジニア組織では10人採用すると1人は辞退が発生していました。また、別の営業職採用では10人採用して全員が辞退したという話も頂きました。

就職氷河期世代では圧倒的買い手市場だったため、内定承諾後辞退をしに行くと「会議室でお茶をかけられる」という話もありました。今はそういう話も聞かなくなってきましたが、代わりに増えたのが内定承諾者の繋ぎ止め施策です。

一人当たり採用コストを計算している企業は多いかと思いますが、辞退が増えれば増えるほど数字は悪くなります。あまりに数字が悪いと経営層から問題視され、新卒採用を辞めようという話になります。今回はそんな内定承諾後辞退についてお話しします。

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内定承諾後に起きる辞退シナリオ

いくつかシチュエーション別の内定承諾後辞退について挙げます。

他に内定を承諾しており、他社にした

エンジニア職では少ない印象がありますが、総合職・営業職では非常によく耳にします。内定式などには出つつ、長めに「真の入社先」に悩むパターンです。

ここ数年広がりを見せるオンライン内定式により、「どうにも複数社のオンライン内定式に出ているらしい内定者の動き」に不信感を抱く人事の方も居られます。リアクションが遅かったりするために違和感を感じるそうです。

内定承諾後に継続していたベンチャーのインターンをきっかけに変更

通年採用と言えば聞こえは良いのですが、他社内定承諾していようが何であろうが入社前の3月末までインターンを受け入れているベンチャーは確認されています。時給が非常に良いため、経済的なものを理由にされるとなかなか否定しづらいです。

内定式や内定者との交流を経てレベルが低いのではないかと感じた

内定式で違和感を感じての辞退は一定確認されています。

考えようによってはカルチャーミスマッチが未然に防げたとも言え、採用コストは無駄になりましたが入社後のマネージメントコストや教育コストを考えると良かったのかもしれません。

問題はもう一つの「内定者との交流」です。内定式後に研修などが見られる組織が多々ありますが、エンジニアの場合は技術レベルなどが窺い知れる内容だと失望して辞退することがあります。残った内定者にも影響します。

近年では内定者によるLINEオープンチャットが存在する大手企業などもあり、企業の知らないところでいつの間にか失望している人達も居られます。

内定者のスキルレベルの底上げは別問題として、スキルレベルが揃っていないうちの交流内容には気を遣う必要があります。チームビルディングや振り返りなど、技術力とは関係ない研修をお勧めすることが多いです。

大学院に進学したくなった

突然博士課程に進学したくなる人は少ないですが、突然修士に進学したくなる人は居ます。多くの大学が学部4年生から研究室配属になるため、研究の面白さに目覚めたり、教員から熱心に誘われたりもします。

学びたい気持ちを止めるつもりはないのですが、研究室を比較検討している人は少ない傾向にあるため、下記のコンテンツを紹介していただいても良いかと思います。

ある企業では内定承諾期限を3年間に設定している時期がありました。急に博士進学したくなった内定者に対し、本当に3年後に意向確認をしていました。3年もあると人は変わりますし、就活の方向性も企業の方向性もだいぶ異なってしまうと思いますが、寛容だなと思ったものです。

卒業できませんでした!

あります。

単位が足りなかったというケースでは、そのまま入社時期をずらすのか、仕切り直すのかを経営層と擦り合わせる必要があります。

博士の場合、特に卒業要件が厳しいことから修了が延長される場合もよくあります。入社時期をずらしたり、業務委託で繋ぐなどの相談ができると助かります。

番外ですが、就活を終えたことで緊張の糸が切れたり、内定者インターンとして業務に関わるうちに楽しくなったりして卒業研究に嫌気がさして退学するケースもあります。内定通知書に卒業が条件として書かれているケースも少なくあるため普通に考えると内定取り消しになりますが、それでも先に退学する人も居ます。接触序盤から卒業を促しましょう。

もう一度就活をやり直したい

辞退理由として企業にそのまま伝えるのはヤバい候補者だと思いますが、中途採用の場では時折居られます。

一度面談をし、何がどう方向性が変わったのか、その方向性は自社で叶えられないのかのすり合わせはやって良いでしょう。

起業したくなった

学生起業家も随分と増えました。企業に所属してこそ学べることはあるので勿体無いですが、起業はタイミングもあるので止めにくいケースが多いです。入社後に短期離職されるよりは良いのかなとも感じます。ただ個人的には「在学中に起業しなかったのに、今?」と思わなくはないです。

落とし所としての入社後即副業がありますが、メンバーシップ型雇用がベースの日系企業だと許可しにくいところではあります。「一旦自社でバリュー発揮しようね」というのは正論だと捉えています。

ただ過去に「ビジネスが学べる」としてマルチ商法に流れていった人とお会いしたことがあります。卒業後半年程度で違和感に気づき、就活を再開したそうです。

一部プログラミングスクールでも見られましたが、こうした事業者は退路を断って集中させ、集金します。情報の囲い込みが非常に上手いので、ちょっとやそっとでは考えを変えることはできません。

特定の企業の内定者に特化したスカウト・勧誘の存在

仁義もへったくれも無いですが、こうした動きはあります。エンジニアより営業職で多く見掛けます。

選考が厳しいことで有名な企業の内定者は、一定のレベルを越えられたという証明書が付いているようなものなので、横取りのようなスカウトの需要があります。業界大手も展開している施策だったりするため、注意が必要です。

内定承諾後辞退に備える

内定承諾後辞退は理由によってはやむを得ないものですし、入社後のミスマッチを理由に短期退職されても教育コストが無駄になるため一定はやむなしとする必要があるのではないかと考えています。そのため、採用に関わる人達の目標設定に「内定承諾後辞退0人」などとするのは違うと捉えています。

それでも内定承諾後理由が「気の迷い」「言っている内容と変更した進路が違う」などのシチュエーションは多々あるため、企業側から何もしないのは良くありません。

人事とメンターによる定期接触や、内定者アルバイトなどを通して継続的にコンタクトをとることをお勧めします。

ただし内定者アルバイトについてはうまくガイドできると意欲的に取り組んでもらえるものの、「ELTVの先食い」のようになることもあります。卒業旅行に行きたいというのであれば気持ちよく送り出すべきですし、単位がギリギリだったり卒論や修論が厳しいのであれば無理強いしては行けません。このあたりも加味しながらコミュニケーションをしていきましょう。弊社でもこうしたご相談はお受けしておりますので、お気軽にお声掛けください。

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