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マカ・ママレードの2024年に見た映画

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マカ・ママレードが、2024年に見た映画の感想文です。
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2024年3月の記事一覧

単純な悪人はいない〜『ダム・マネー ウォール街を狙え!』感想(ネタバレあり)〜

単純な悪人はいない〜『ダム・マネー ウォール街を狙え!』感想(ネタバレあり)〜

(以下、映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)

単純に善と悪に二分された勧善懲悪の側面だけではなく、様々な人間の面が描かれているのが今作の魅力の一つだと思いました。
例えば、ケイブ・プロトキンやブラッド・テネフといったこの映画で「悪役」にあたる人たちは、冷酷な悪人という描かれ方はしていません。むしろ人間味があり共感できる

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一筋縄ではいかない風刺劇〜『アメリカン・フィクション』感想(ネタバレあり)〜

(以下、映画『アメリカン・フィクション』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)

一筋縄ではいかない様々なレイヤーが重なった複雑な味わいのある風刺劇で、とても楽しめました。

何気ないセリフやカットの一つ一つに複数の意味やユーモアがこめられており、特に文学賞の会議において、「今こそ黒人の声に耳を傾けなきゃ」と言いながら、その場にいる黒人の意見を無視した決定を下す

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素晴らしい脚色~映画『夜明けのすべて』感想(ネタバレあり)~

素晴らしい脚色~映画『夜明けのすべて』感想(ネタバレあり)~

(以下、映画『夜明けのすべて』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)

瀬尾まいこさんの原作を読んだ上で、映画を見に行ったのですが、脚色が本当に見事だったと思いました。

まず大きな変更点として、主人公たちが務める会社が原作の「栗田金属」から、プラネタリウムを扱う「栗田科学」に変わっています。このことにより、本作のテーマになっている「夜」について、プラネタリウム

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