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ゆんたくと嵐は琉球の華? ー沖縄の「へそ」うるま市石川のローカル生活(9)

沖縄の黄昏時の夏空は、ときに妖しいくらいに美しく、吸い込まれるように見惚れてしまいます。さて、今回は気象繋がりで台風の話です。

沖縄といえば、台風が勢力そのままに直撃し、甚大な被害をもたらすこと数多なのは、内地でもご存知の方は多いかと思います。沖縄旅行を計画するときには、6月下旬頃の梅雨明けから9月くらいまではいつ台風が発生するか分からないリスクがありますよね。こればかりは運次第。

僕が沖縄に住み始めた2014年は、そこそこ大きい台風が本島を直撃しました。おそらく十二鬼月でいうところの下弦の壱くらい。面白かったのが、気象予報で台風接近が報じられる数日前から職場の沖縄県人たちはそわそわし始め、隙あらば台風の話でゆんたくしていること。そして皆さん総じて台風慣れが異常

・防災ラジオをみんなだいたい持っている(これはあった方がよいと思い、僕も買いました)。手動で携帯の充電器や懐中電灯、ラジオ機能付き。

・「気象庁よりこっちの方が正確さーねー」と言って見ているのが米軍の台風情報

・「台風が夜来る場合、沖縄県人は通り過ぎるまでやり過ごすためにTSUTAYAと居酒屋とラブホが大繁盛するんだよねー」とサバサバ教えてくれる女性

・スーパーでことごとく売り切れている惣菜パン・カップ麺の数々(停電を前提に、冷凍食品などは買わない)

・どうせ台風通り過ぎた後に行くから、と車の洗車タイミングを調整。そして実際、台風一過のガソリンスタンド鬼混み。

そのときの台風は、仕事が終わって帰宅した日の深夜から、翌日午前中にかけてゆっくりと本島を横断していきました。

職場の自宅待機or通常出勤の判断は、なぜか那覇市内の公営バス運行状況次第とのことでした(公務員ほか多くの職場が同じ感じらしいです)。翌早朝、本島のほとんどの市町村で暴風警報が発令し公営バスも当然運休。自宅待機となります。

しかし僕も九州出身で、東京で台風を経験したときには正直「東京は、この程度の台風で交通機関がマヒしてみんな大騒ぎして、脆弱だなぁ」なんて調子に乗って本当にすいませんでした。沖縄の台風は九州と比べてもやはり桁違いです。 

自宅は大◯建託の新築メゾネットだったので流石に揺れることはなかったものの、狂ったように吹き荒れ続ける暴風の音。ガラス越しにチラッと外を見ると、ヘビメタのヘッドバンキングかな?というくらいに頭を振り回し続ける通りの樹木。 

不安になったのでテレビをつけてNHKニュースを見「ブツッ」停電だーっ! 焦りました。停電は想定していなかったので冷凍庫にはアイスやら冷凍食品やら残したままです。

すぐ消費した方がいいのか、それとも冷気を逃さないように締め切ったまま復旧を待った方がいいのか……と迷っているうちにチカチカっと電灯が瞬き、短期間で電気復旧。かなりほっとしました。

その後、午後は台風が通り過ぎたので通常出勤となったのですが、近所の信号がいくつも故障で沈黙。車通りの少ない道だったのでよかったものの、怖いなぁと思いながら出勤しました。

海抜の低い地域だと道路が冠水して通れなくなることも珍しくないそうです。自然災害の過酷さの一端を目の当たりにし、僕も以後、沖縄県民に倣って台風への備えを怠らず、台風直前は台風ゆんたくに参加するようになりました。

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