わたしの「お暇」日記
眠い眠い眠い。とにかく眠い。
金曜日の23:50。
ようやく仕事を終えて、電車に揺られて乗り換えの駅までやって来た。
なかなか来ない各駅停車にじりじりしつつ、わたしはあくびをひとつ、ふたつ。
あー、せっかくの金曜日の夜。
また「凪のお暇」と「Iターン」見逃した。
1次請けか2次請けをやっている開発ベンダーの弊社では、プロジェクトが盛り上がってくると年に2回くらいはこういう残業続きの時期がある。
まあ休職明けで割とすぐにこの時期に当たるとは思わなかったけれど(多少配慮はしてもらっているから何も言えない)。
それ以外はほぼ残業らしい残業はなく、業界的にはホワイトな方だと思う。
5年目になって、しかたないという諦めと、このままずるずる働いて何か得るものはあるのかというよく分からない焦りと、いろんな気持ちがごちゃ混ぜになっている。
もう、がんばりたくない
今年4月に適応障害と診断されて、しばらく通院しながら粘ったけれど結局調子が上がらず、約3ヶ月の休職。
もう、がんばれない。がんばりたくない。
人生で初めての「挫折」だと思った。
身体やこころにダイレクトに症状が出ているときは結構つらかった。
頭では「大丈夫」と繰り返しているつもりなのに、身体とこころは結構素直で、朝が来るたびに不安になって泣いたり、お腹が痛くなったり、自分が食べたいものが何だか分からなくなったり。
自分のことなのに自分でコントロールできないのが怖かったし、何よりほかの人がやっていることをこなせない自分が許せなかった。
病名と「〜ヶ月の休職を要する」という一文が書かれた診断書をもらっても、病気になった自分が認められなくて、休んでいいの?わたしが怠けているだけじゃない?と思っていた。
でも、頭では休んだ方がいい、休まなきゃ、ってわかっていて、病院からの帰り道、「どうやって会社に説明しよう」「周りの人になんて伝えたらいいの?」と泣きながら旦那に話したことは覚えている。
結局、上司にはメールで休職させてほしいという旨を伝えた。
社会人のマナーとしてはよくないと言われるかもしれないけれど、もともと嫌いな電話でこんなこと、伝える勇気も元気もなかった。だからせめて今できる精一杯、丁寧に文章を書いた。会社も上司も心配したように冷たくなんかなくって、待っていると言ってくれて救われた。
(補足だけど、もし今まさに限界、休みたい、という人がいたら、まずはメールでいいから会社に伝えてほしい。伝える手段で悩むよりも、あなたの身体とこころの方が大事。手遅れになってしまう前に。)
今でも休職したことは自分が信じられる人にしか話していない。それでも、本当に後戻りできなくなる前に休めたことはよかったと思っている。旦那にもこのまま壊れてしまうんじゃないかと思った、と言われたけれど、今は「ふつう」に働いている。
人間って、治るんだ。
しばしお暇いただきます
休みに入った当初はとにかく眠った。朝、というよりほとんどお昼になるまで布団から起き上がれず、ぼーっとして過ごした。
今までがんばってきたものが全部手からこぼれ落ちていくような気持ちだったけれど、身体が言うことを聞かないからがんばって何かをするのは諦めた。
そうしているうちに、だんだん動けるようになって、家事をしながらドラマや映画を観るようになった。
ドラマや映画の主人公は、わたしとは違う世界に生きているけれど、何かしらの悩みを抱えていた。
おんなじだ。
そうやってようやく「生きている」という心地が戻ってきた。
元気になってきたら今度は毎日散歩した。
一人で電車に乗るとまだどきどきしたから、まずは家の近くのスーパーまで、駅まで、図書館まで。
昼間の街にはいろんな人がいて、意外と飽きない。
前はにぎやかなところに出かけて行くのが好きだと思っていたけれど、地元でのんびりするほうが性に合っていたのかもしれない。
歩き回ってみると、知らないお店やカフェに出会えるのだ。
それから、いらない本や洋服、2軍以下のコスメも処分した。心配性だからミニマリストにはなれないけれど、もう着ない服を集めてみると結構な量になって、ちょっと「やってやった」感がある。
まさにお暇だった。
特に何の予定もない。何かを達成することもない。納期に追われることもない。
ただただ日常を取り戻すだけの毎日。
凪ちゃんが「空気がおいしい」っていう気持ち、すごくよく分かるよ。
そうやってひとつずつ取り戻して、ようやく「ふつう」になった。
お暇のあとの、それから
3ヶ月のお暇を終えて、復職する前はすっごく不安でもう会社員は無理なんじゃないかと思ったけれど、始まってみたらそんなこと不安に思う余裕もなくて、プロジェクトに突っ込まれて何とかなってしまった(そして金曜の夜に思い切り残業することになる)。
体力はびっくりするほどなくて、ここぞ!という踏ん張りが効かず、この1ヶ月ほどで弱っちい自分に何度も嫌気がさしたけれど、それでも自分の仕事はこなしている。
そして周囲からの「ぜんぜん大丈夫じゃん!いけるいける!」という励ましも感じている(直接は言われないけれど)。
でもね、ちょっとだけ分かってほしいな、という気持ちもある。わたしの場合、それほど重い症状ではなかったからこんな感じで軌道に乗ったけれど、きっともっと苦しい人はいる。
あなたは大丈夫でも、大丈夫ではない人もいるし、全速力でダッシュできないことだってある。
以前はこれくらい頑張れた、ということも、今はできないことがある。ひとのペースに合わせるだけで精一杯という日もある。
人間は治る力を持っているけれど、怪我したことをそんなにすぐには忘れられない。だから、休職して復職して、再休職に追い込まれる人や、辞めてしまう人もたくさんいるんだと思う。
環境を変えた方がいい、と言う人もいる。でも、生活を維持するためには今の会社にお世話にならないといけなかったり、転職するにもパワーがいったりする。
わたしが甘いだけかな。弱いだけかな。
キャパシティって人によってはもちろん、時期によっても本当にばらばら。
わたしもお暇中はキャパが自分史上一番小さくなったなと思う(そして完全には戻っていない)。
ネットの世界にいると、休職をきっかけに自分の仕事と生活を見つめ直して新しい生き方を見つけている人や、新しい環境にチャレンジしている人がたくさんいて、眩しいなと思うことがある。
わたし、このままでいいのかな。
早くしないと、乗り遅れてしまう。
何に?何から?
SNSのよくないところは、人は人、うちはうち、を忘れてしまうところ。
お暇期間を経て、心身の状態はよくなったと思う。でも、自分自身や仕事が大きく変わったわけじゃない。ここで焦ってジタバタしていると、また元どおりになってしまう気がする。お暇のその後って結構難しいね。
わたしは、わたし自身の声を聞いている?
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