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初めての死

涙が止まらない、すぐにでも駆けつけて抱きしめたかった

まさかそんなことが起こるなんて

その日からいろいろなことが手につかなくなった

実家に帰省し、そろそろ今年も終わるなと寛いでいた夜7時
突然着信がなり、いつものように自分の部屋へ行き電話に出る
「服を渡しに行かないか」
どういうことかと聞くと相手も私が事態を知らないことに驚いていた

ちょうど地元の友達とは疎遠になりつつある時期だった
そして知らされた

家が燃えたらしい

少しづつ動悸が激しくなる
その友達の無事を確認する
その人は無事だった
けれど家族が亡くなっていた

泣きながら「そっか、、、」としか言えなかった







楽しいこと、悲しいこと、悪いことを共にし、
大事な大事な高校生活を共にした
次の日も学校で会うくせに毎日のように遊んで
テスト前に勉強しないくせにマックに集合して

進学で離れ離れになる時、泣くほど寂しいと思えたことが嬉しかった人


そして私の好きだった人






そんな人の突然の出来事

結局服を渡しにはいかなかった

何かしたい、けれどどうしたらいいかわからない

自分の行動が相手にとっては失礼とか傷付ける結果になるかもしれない

自分の無力さ、未熟さになんとも言えない感情になる

声の掛け方すらわからない

そして何度も試行錯誤して伝えた言葉

伝えたいことはたくさんあって、けれどそれはどれも自分本位で

気持ちを推し測るにはあまりにも起こったことが大きくて

私たちには初めての経験で

打ち込む言葉はどれも正しくないように思えて何度も消して

それなのに、彼は優しかった

こんな時まで優しかった

「ありがとう、心配かけてごめんね。また連絡する」



人生ってわからない

それはいつも突然で、誰に起こりうるかもわからない


それでも、

あなたが無事でよかった




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