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いつまでも誕生日は

0:01 誕生日おめでとう!!
0:03 今日誕生日だよね?おめでとう!
0:10 ハピバ!この一年も楽しんで!

たくさんの友人に祝われ、時にはプレゼントなんかをもらい、何歳になってもこの日だけは自分が主役の気分になる。

今年の誕生日は恋人もいないし、実家に帰る余裕もなくバイトに費やしていた。
けれどSNSを含めたくさん祝ってもらいとても嬉しかった。

1週間後、やっと実家に顔を出しに行った。
いつもと変わらず母に近況報告をする。

「誕生日ケーキ用意してないんだ、、」

母が申し訳なさそうに、情けなさそうに、ごめんねと謝ってきた。来月給料が入ったら買おうね、と。

「いいよ、もう子供じゃないし」

ワンホール1500円、カット売りなら300円もしないケーキ。
心のどこかで期待していたご馳走の並んだ食卓。

誕生日プレゼントなんてたいそうなものは望んでない。
そんなのは小学校時代で諦めた。

だけど誕生日ケーキだけはいつもあった。

子供はいつまでも子供のままなんだと思い知らされた日だった。
たくさんの友人から祝われ、たくさんの通知がきてもどこか満たされなかった。


親と子、私がいつの日か前者になったとき今日の気持ちは忘れずにいたい。
親はいつまでも親で、子はいつまでも子なのだと。




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