【読書】やめられないとまらない。すべての空き時間を捧げてページをめくる手が止まらなかった小説。
江國香織さんの「ホリー・ガーデン」を読了した。
こんなに読む手が止まらない作品は初めてだ。会社の昼休みも、電車の待ち時間も、注文したメニューが届くまでの間も開くほど、夢中で読んでしまった。
いやー、面白い。
どうしてこんなに面白いのか、その理由を考えてみた。
まず、果歩と静枝の2人が主人公で、交互に2人の視点から物語が描かれる。
この対照的だけど親友の2人の存在が魅力的だ。仲良しとか好きとか一括りにできない、女友達という存在の妙をうまく描いている。
果歩の失恋にまつわる過去が少しずつ隠されて物語が進行するから、気になってどんどん読み進めてしまう。果歩を無邪気に慕う中野くんの存在が物語のいいアクセントになっている点も見逃せない。彼の登場によって、物語が一層豊かになっている。
そしてラストシーン。
未来に向かうような心洗われる描写が、読み終わった後の余韻を一層深めてくれた。
この作品は単なるエンターテインメント以上のものを提供してくれる。
読んでいる間、何度も胸が締め付けられたり、ほっと安心したりする瞬間があり、まるで果歩や静枝と一緒に人生を歩んでいるような気持ちになった。
「ホリー・ガーデン」は、江國香織さんの作品の中でも特に心に残る一冊だ。
女友達の微妙な関係性や、過去の傷を乗り越える強さなど、多くのテーマが詰まっている。
これからも何度も読み返したくなる、そんな作品だった。
《おわり》
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