以倉敬之│まいまい京都/東京 代表

「まいまい京都」代表。御用庭師や考古学者など、600人を超える各分野のスペシャリストと…

以倉敬之│まいまい京都/東京 代表

「まいまい京都」代表。御用庭師や考古学者など、600人を超える各分野のスペシャリストとともに、年間約1,000のまち歩きツアーを開催。2018年には「まいまい東京」スタート。京都モダン建築祭、神戸モダン建築祭、東京建築祭実行委員。NHK「ブラタモリ」清水編・御所編・鴨川編に出演

最近の記事

まち歩き団体の事務局とは?【まいまいのお仕事紹介】

まいまい京都/まいまい東京では、まち歩きの企画や運営を担う事務局メンバーを随時募集している。まいまい京都/東京の募集ページには、事務局の業務として「ツアー/イベントの企画や同行」「ガイドさん等とのやり取り」など書いてあるが、具体的にはどんな仕事なのだろうか。事務局メンバーに聞きながらまとめてみた。 ■仕事内容:まち歩き団体の事務局は「編集者」に似ている「まち歩き団体の事務局」と言われても、なかなかピンと来ないかもしれない。まいまい事務局の阿比留(あびる)さんは、ツアー企画の

    • 面白い人探しから 〜トラベルジャーナル2023年7月17日号掲載コラム

      ぶらっとまち歩き着地型プランニングガイド vol.4 (2023/7/17) 面白い人探しからまいまい京都のツアーは「どこへ」よりも「誰と」を重視する。従来の行政系まち歩きで多いのは、まずどこを歩くかルートを決める。そこに簡単なタ イトルを付けてガイドを募集。公募しても面白い人は集まらないので研修する。 私たちは逆だ。まず面白い人を探す。そしてツアータイトルを徹底的に考える。これが決まれば企画は半ば終わったようなもの。あとはタイトルに合わせてルート等詳細を詰めていく。大事

      • だから私たちは「値上げ」する【まいまい京都のめざすもの⑨】

        まいまい京都のツアー参加費は、段階的に上がっている。なぜ、私たちは値上げをするのか。その意図を説明したい。 価格は買い手へのメッセージそもそもの話だが、「価格」や「値段」がどのように決まるものなのか考えたい。社会の授業では、需要と供給のつりあうところで値段が定まると教わる。たしかにそうかもしれないが、それは最終的な話だ。 値段が落ち着くまえには、個別の売り手がそれぞれの価値観で「価格」を設定している。価格の前提には、いくらで売りたいかという「売り手の価値観」が潜んでいる。

        • 東京の風景を変えた!2024年、はじめての東京建築祭【まいまい京都のめざすもの⑨】

          東京建築祭が、2024年5月25日〜26日に開催された。東京ではじめての大規模な建築公開イベントだ。建築祭パンフレットを持つ人たちがあふれ、各建築には長蛇の列ができた。街の風景を一変させた東京建築祭の様子をレポートしたい。 想定以上の注目度が街をおおう初日の朝8時、東京建築祭のwebサイトが落ちた。アクセスが殺到している。日本橋の貸し会議室に事務局メンバーが集い、対応に追われている。注目度の高さを痛いほど感じる。日本橋や銀座、築地など、各エリアに散らばったスタッフから悲鳴の

        まち歩き団体の事務局とは?【まいまいのお仕事紹介】

          「愛情の伝播を事業化する」〜トラベルジャーナル2023年6月19日号掲載コラム

          ぶらっとまち歩き着地型プランニングガイド vol.3 (2023/6/19) 愛情の伝播を事業化する創業以来、まいまい京都は着実に成長を続けてきた。コース数は11年春の31コースから現在の年間約1000コースへ拡大。売り上げはコロナ禍でも変わらず右肩上がりを維持してきた。ボランタリーな取り組みが多いこの分野で、なぜそんなことができるのか。なぜ成長と拡張を続け、次々と新規事業を展開できるのか。その核心はたった一文で言い表すことができる。 「愛情の伝播を事業化する」。これこそ

          「愛情の伝播を事業化する」〜トラベルジャーナル2023年6月19日号掲載コラム

          楽しくなければ「学び」じゃない【まいまい京都の目指すもの⑧】

          「知る」から「学び」が始まる前回の記事で、まち歩きツアーを通じて「知の民主化」をしていきたいと書いた。では、具体的にどのようにして「知の民主化」を進めているのか、まとめてみたい。 まいまいの企画会議でよく話題にのぼることがある。それは、「そのツアーに参加することで、参加者さんがこれまで知らなかった世界に出会えるかどうか」という点だ。まいまいツアーは、未知の世界に触れる驚きを味わえる。 ツアーに参加すると、「いま歩いたこの道、じつは暗渠で」とか、これまで知らなかったような知

          楽しくなければ「学び」じゃない【まいまい京都の目指すもの⑧】

          もっと「知の民主化」を【まいまい京都の目指すもの⑦】

          日本人は学ばない?びっくりするニュースを見た。社会人の勉強時間が「平均1日13分」だという調査結果だ。これは総務省が2022年に実施した「社会生活基本調査」によるもの。この報告を受け、「日本人が勉強するのは大学までで、働きだしてからは勉強しないのだ」と結論づけていた記事も見たが、私は異なる仮説をもっている。それは、日本人が「勉強」や「学習」だと考えている範囲がきわめて狭いのでは、ということだ。 この調査の設問はこうだ。「仕事・学業として行うものを除き、知識・教養を高めるため

          もっと「知の民主化」を【まいまい京都の目指すもの⑦】

          「心底面白がっているから」〜トラベルジャーナル2023年5月2日号掲載コラム

          ぶらっとまち歩き着地型プランニングガイド vol.2 (2023/5/2) 心底面白がっているから まいまい京都は昨年約1000コースのまち歩きツアーを開催した。どんなコースがあるのか。「仏師・我休さんのお仕事拝見!日本中から依頼が絶えない工房へ」など仕事への愛をガイドするツアーは多い。庭師、菓子職人、考古学者、お坊さんなど自身がガイドするからこその面白さ。愛をもって仕事に打ち込む人はクールで格好いい。いつもの景色がさまざまな仕事によってつくられていることを知れば、まちが一

          「心底面白がっているから」〜トラベルジャーナル2023年5月2日号掲載コラム

          建設コンサルタンツ協会 協会誌「Consultant」vol.303に寄稿しました

          建設コンサルタンツ協会誌「Consultant」vol.302(2024/4) 特集 違う景色に見える旅 〜大人の修学旅行〜  https://www.jcca.or.jp/kaishi/303/303_toku4.pdf 記事一覧は以下のURLからご覧になれます。 「Consultant」vol.302  特集 旅 〜知的好奇心に誘われて〜

          建設コンサルタンツ協会 協会誌「Consultant」vol.303に寄稿しました

          「コトでなくヒトが主役」 〜トラベルジャーナル2023年4月17日号掲載コラム

          ぶらっとまち歩き着地型プランニングガイド vol.1 (2023/4/17) コトでなくヒトが主役まち歩きの人気が高まって久しい。かつては旅行といえば温泉につかり宿でゆっくりと過ごしたり、観光バスで名所旧跡と土産物店を回ったりというのが定番であったが、近年は旅先でまちを歩き、地元の人と交流したいという方向へ人々の興味が向いてきた。 大型バスで施設に乗り付ければよかったハードウエア型「モノの観光」から、ガイドブックを片手に物語をなぞるソフトウエア型「コトの観光」へ。さらにガ

          「コトでなくヒトが主役」 〜トラベルジャーナル2023年4月17日号掲載コラム

          「建築祭」という名前の理由【まいまい京都のめざすもの⑥】

          前回の記事では、まち歩き団体であるまいまい京都/東京が「建築祭」に関わる理由や意義をまとめた。今回は、建築祭がもたらす影響やビジョンについてお伝えしようと思う。 建築祭を通じて、まちと人が動きだす 京都モダン建築祭、神戸モダン建築祭を実施してみて感じたことがある。そのひとつが、建築をひらくと、まちにも人にも変化が起きるということだ。 建築祭に向けて、私たちは貴重な建築を所有・管理している方に、公開のお願いをしに出向く。すると、いろいろな反応がある。ぜひに、とすぐに趣旨に

          「建築祭」という名前の理由【まいまい京都のめざすもの⑥】

          まち歩き団体が「建築祭」に関わる理由【まいまい京都のめざすもの⑤】

          世間を賑わす「建築祭」とは近年、全国各地で建築イベントが盛り上がっている。大阪、福岡、広島、愛知。 そんななか、2022年は「京都モダン建築祭」が初開催され、2023年には「神戸モダン建築祭」がスタート。そして、2024年5月25日〜25日には、ついに東京へ。いままさに「東京建築祭」の実現に向けたクラウドファンディングが実施されていて、すでにたくさんの支援や応援が集まっている(2023/5/8まで)。 これらの建築祭は、建物の一斉公開イベントだ。ある期間、ふだんは公開されて

          まち歩き団体が「建築祭」に関わる理由【まいまい京都のめざすもの⑤】

          ガイドさんを輝かせる「同行スタッフ」【まいまい京都のメソッド公開⑨】

          ここまでの記事で見てきたように、まいまいツアーでは同行スタッフという存在がとにかく重要なのだ。具体的な業務内容についてはこの記事とこの記事でまとめたので、今回はそれらの業務がどんな意味をもつのか、すこし抽象化して考えてみる。 ■まいまいツアーの「らしさ」を保つ存在として同行スタッフは、まいまいツアーの「らしさ」を保つ存在でもある。まいまいツアーは多種多様だ。ガイドさんも変われば、歩く場所もテーマも、参加者さんだって異なる。ツアーの構成要素はてんでばらばらだが、まいまいのスタ

          ガイドさんを輝かせる「同行スタッフ」【まいまい京都のメソッド公開⑨】

          同行スタッフのお仕事2:マネジメント【まいまい京都のメソッド公開⑧】

          前回の記事では、同行スタッフの役割のうち「ファシリテーション」に注目してご紹介した。まいまいの同行スタッフは、前回まとめた「ファシリテーション」と同時並行して、一般的な添乗員がおこなう「マネジメント」をおこなうところに特徴がある。今回は、まいまいツアーでスタッフが行っているマネジメント業務を一覧してみる。 ■進行管理する「タイムキーパー」としてツアーの開始時間も終了時間も決まっている。終了後のご予定があったり、帰りの交通手段を予約している参加者さんもいるため、ツアーの終了時

          同行スタッフのお仕事2:マネジメント【まいまい京都のメソッド公開⑧】

          同行スタッフのお仕事その1:ファシリテーション【まいまい京都のメソッド公開⑦】

          まいまいのツアーは、ガイドさん、参加者さん、そして同行スタッフという3つの立場の人たちがつくりあげるものだ。巷のまち歩きでは、ガイドさん以外は同行しないケースも多いけれど、まいまいでは「同行スタッフ」という存在が欠かせない。 同行スタッフが担う仕事は、大きく「ファシリテーション」と「マネジメント」に分けられる。旅行会社の添乗員はおもに「マネジメント」を担っている。まいまいの同行スタッフの特徴は、「ファシリテーション」も同時におこなうところにある。今回の記事では「ファシリテー

          同行スタッフのお仕事その1:ファシリテーション【まいまい京都のメソッド公開⑦】

          集客につながる写真の選び方【まいまい京都のメソッド公開⑥】

          告知記事において、写真はきわめて重要だ。1枚の写真によって、魅力が一気にアップすることがある。まいまいでは告知ページに6枚の写真を載せているが、集客につながる写真をどう選んでいるのか。その考え方をまとめてみる。 ツアーを外から見たり、中から見たりコースタイトルが表現している内容を、6枚の写真であらわす。これが写真選びの基本だ。6枚にはそれぞれ異なる役割がある。選ばれた写真1枚ずつの意味を紹介していこう。 こちらのコースの告知ページを見てほしい。びわ湖を一周するという人気コ

          集客につながる写真の選び方【まいまい京都のメソッド公開⑥】