問題は「思考」ではなく「感情」だった
木曜日に突然メリッサが辞めて、落ち込むどころか清々しい気分を感じた私達夫婦。スタッフも業界の知り合いに声を掛けてくれたり、とにかく協力的で喜んでいたのも束の間、三日経っても候補が一人も見つからないという現状は変わらなかった。
ヘルプで働いてくれているアシュリーにも丁重に断られた時は本当にショックだった。うちはベネフィットもいいし、患者さんもスタッフも良い人ばかりで働きやすい環境を提供していると自信があったが、私達が優しいせいか「緊張感がない」と言われてしまった。
かなり落ち込む。そんな中でもポジティブな思考に書き換えなくてはいけない。
宇宙の法則通り、波動を高く保ち明るい未来を想像する。大丈夫、これは会社を良くするための必要なステップと言い聞かせる。メリッサが問題児であったのを知る関係者はみんな「おめでとう」と言ってくれる。アシュリーも「違う」と直感的に知っていた。
ポジティブに思考を書き換えるが、三日待っても誰からも応募がない。ライセンスを持つ人材がひとりも余っていないという現実を目の当たりにすると絶望的になってしまう。面接する候補もいない現状に、何を根拠に大丈夫と言えるのか?
そこで気が付いた。
引き寄せができない最大の理由は、ポジティブ思考の裏に潜むこの負の感情なのだ。
頭ではポジティブなことを言っているのに、感情が不安を感じているとそれが現実化してしまう。自分がどんなに悩んで落ち込んだって、いないものはいないのだ。落ち込んで過ごしても、何も考えずに過ごしても、時間は同じように経っていく。そしてその時間に感じたことが明日の現実を作るのだ。
吹っ切れた。子供達と愛犬を連れてハイキングに行く。
私は昔から自然の中を歩くと元気になる。自然の中で吸う美味しい空気を感謝し、身体を動かすことで運を動かす。子供達と犬が無邪気に走り回る姿を見て口角が上がる。どんな環境でも立派に立ち尽くす木々を見て、誰も見ていないのに精一杯美しく咲く花を見て、「私もこうありたい」と背筋が伸びるのだ。
自然はいつも何かを教えてくれる。家もある、家族も健康で、数ヶ月売り上げが落ちても大丈夫なのだ。落ち込む理由は一つもない。感情もリセットできた。
普段通り、子供達と補習校の宿題を終わらせて、長男とそろばんのオンライン授業を受け、ご褒美のお風呂に浸かっていると携帯にメッセージが届いた。
応募があった。
ひとりだけだが、仕事を探している人が一人でもいる事実を知ると一気に波動が上がる。不思議なもので、もっと応募が来る気がしてきた。
明日は超満点の笑顔で出勤をする。リーダーは暗闇でも光を放つ存在でいなくてへいけない。私達は大丈夫、未来は明るい。間違いない。
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