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#018 数学は論筋を信じ、些末は補完せよ(ゲーム的に理解する数学の攻略法)--理系各員に捧ぐ

本シリーズは、①勉強頑張ったら選択肢が増える、②理系かつ高成績の方が選択肢は多い、③選択肢が多いと良い会社に入れて幸せになれるというよくあるお話の②まで必死で頑張ったものの、③は半分嘘である。ということに気付いて四苦八苦した僕が、理系が気付かぬうちに罠にハマらないために、考えて損のないだろうトピックを書いていくものである。

学士1年生の方々は、自宅での学習に苦戦しているらしい。自分も同じ状況だったら、多分苦戦するだろうと思う。

でも、幸いなことに僕はもうとっくの昔に1年生は終わっている(そんなに昔と思いたくない)ので、今は、この苦労の原因が少し見える。

今回は、数学科目の先生と学生の間にある溝のようなものを埋めたいと思う。数学という科目が、他の科目と違うところは、頭で全て完了する学問だということだ。もちろん、応用向けの数学もあるが、線形代数や解析学、統計学などの基礎科目は、数学としての存在だけでも整っている。

この性質のせいで、数学は教える先生によって見え方が大きく異なる。応用を見据えた教え方なら、学生は具体例をイメージして理解した気分になれる。がっつり数学系の教え方なら、全く抽象的な議論ばかりで、解ったのかわからないのかわからない。

でも、数学である以上、コツがある。本稿では、講義だけでは見えない、数学の裏側(メタ的にみた数学の立ち位置)を紹介する。

数学はRPG的に理解する〜導入編〜

数学は、RPGのようなものだと思えばいい。ゲームが始まると、まず初期設定が説明される。マリオだったらクッパという悪者がいることや、ピーチ姫という助けるべき存在がいることなどが最初に紹介されるだろう。

数学でも同じである。まず、考える対象や、それを議論する時に使う表現、数式などが定義される。この最初の定義が、初期設定のようなものだ。講義によっては定義だ、とか明示されないこともあるが、

〜とする。
〜とおく。
〜と導入する。

などの表現で、何かが現れたら、それは定義だと思えばいい。定義は、とにかく受け入れる存在だ。なぜそう定義するのか?と疑問を持った人は数学者の才能がある。そのことは後から研究すればいい。とにかく、最初の段階では、定義を受け入れて進んでみよう。

ボス戦に向かう(定理や命題の証明)

初期設定を受け入れたら、その設定に沿ってゲームは進んでいく。マリオも、とにかく主人公の自分が進むしかないのだ、と受け入れたら、右へ右へとクリボーなんかを倒しながら進んでいく。

どれだけか話が進むとボスが出てくる。そのステージを象徴するようなボスだ。そのステージで習得した技を生かして戦う。勢いよく走って飛んだら、なかなか大きく飛べたり、相手の上でヒップドロップなんて技もできるようになった。これらを組み合わせ、何とか相手を倒すのだ。

数学では、このボスが定理や命題に当たる。最初の定義をもとに、数式などをいじりいじりする。すると定理が出てくる。定理の証明には、これまで見たことがある関係しか出てこない。これまでの技を組み合わせたら、必ず証明できるようになっている。

逆に言えば、証明が理解できないということは、そのステージのどこかをクリアし損ねているということだ。隠しコースがないか、確かめてみよう。わからない部分をピックアップして、先生にどこに書いてあったのか聞いてみてもいい。

ボスの能力を研究する(練習問題)

実はこの段階は、数学の本筋では必要ない。だからゲームでも、+αで自分で攻略サイトを作るような人の作業としておいた。

練習問題を先生が用意するのは、学生が理解したという気持ちになりやすくするためだ。

理解するという感覚は、2つ以上の物事がつながった時に感じる。数学としては、1つの本筋で議論を進めればいいが、学生の理解を考慮すると、問題を解くことで、その定理などを別の角度から見て2つ以上の視点を得てもらった方がいい。

数学の練習問題は、実は先生の教育上の優しさだったりする。

本筋を追って、瑣末は自己補完せよ

先生はもちろん人間だ。数学者は何だか人間離れしていることも多いが、間違いなく人間なのだ。

なので彼らもミスをする。というか、数学者はめちゃくちゃ細かなミスをする気がする。添字ミスとか、結構多い。議論の大筋を当然のこととして理解しているから、瑣末な表記は手が勝手に動いていて、ミスが多くなりやすいのだと考えられる。

だから、受講する側は、先生の細かな表記ミスを指摘するぐらいの気持ちでやるといい。「ここ、自分で計算してみたらこうなったんですが、表記ミスという認識で問題ないですか?」みたいな感じで、自分でやってたので確認したいという姿勢で聞けば、先生からの印象も良くなり、ただ自分で勉強するより高成績になる可能性も高い。

数学は、しっかり言葉を追えば、原則的には誰だって理解できる学問だ。だから、これまで出た情報(定義や既出の定理)を使って自分で議論した内容には、自信を持っていい。

まとめ

数学はノートの上で終わらせることができる学問だ。工学系の学問は、実験と合うかどうかが大事なので、そこが大きく違う。その分、数学は正しく議論する力をつければ、自分の議論に確実な自信を持っていい。もちろん、現代は数値計算のソフトも発達しているので、それらで確認できるとさらに良い。

数学はRPGゲームのようなものだと思って勉強したらまったく問題ない。初期設定が紹介され、ボスを倒し、また追加設定(新しい武器や仲間など)があって、ボスを倒す。

数学も、定義して定理を証明して、その定義や定理だけでは議論し尽くせないことを証明するために、また定義して証明して、その繰り返しだ。

進めなくなった時は、一歩引いて相手がそもそもどんなやつなのか、考えてみると思わぬ攻略法が見えることがある。

ではまた次回も、よろしくお願いします。

※トップフォトは、ぱくたそさまを利用しています。
ぱくたそ(www.pakutaso.com)


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