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ウルグアイとアルゼンチンへの旅の話:DAY6-8


雨の朝、ブエノスアイレスでパリをおもう(またはリケルメのこと)

ブエノスアイレスは「南米のパリ」と形容される。建物や外見的な人種骨格、植栽なんかも似通っているからそうなのかもしれない。
朝、本屋El Ateneo Grand Splendidの開店を待つ間に入ったカフェからの景色は、確かにパリっぽさがある(1回しか行ったことないけど)。窓際に座る母娘が頼んだのはクロワッサンとカフェ・コン・レチェ(ミルクと濃いコーヒー1:1くらいのやつ。カフェオレよりもたぶんミルクは多い。)とオレンジジュース。オレンジジュースがスペイン語圏ぽいけど、クロワッサンを頼む人はこの時間帯他にいなかったので、パリシックな母娘だなと勝手に妄想していた。

クロワッサンがやってきた。窓の向こうの建物はパリと言えばパリ。ブエノスアイレスと言えばブエノスアイレス。
圧倒的に空間が勝つ本屋。
棚に並べられる前のゴールデンカムイたち。巻数順に並んでないのがポイント。
至って普通の本屋。チェーン店がたまたまここに入居している。
雨のブエノスアイレス。電線は結構多め。電柱は無粋な感じではなく細めで通りに馴染んでいる。

本屋を出てボカ・ジュニアーズの本拠地、ラ・ボンボネーラのミュージアムへ向かう。Uber運転手ミゲルは発進する前にナビを念入りに確認している。「あんまり行かない?」「うん、ほぼ初めて」「おーごめんね」まぁ大阪も東京も都市部はみないくつかの領域に分かれるからそういうこともある。
ボカ地区はかつて港があった頃に栄え、港が少し北に移動した現在はかつての引き込み線跡等は残るものの、港のにおいもなく産業的には特色のない住宅街になった。セントロ(中心部)と比べると建物の高さは低く、素材にはブロックやトタンも見られる。

さっきまでのパリ感がだいぶ薄まってきた。色にボカ地区の主張を感じる。

住宅街を走っていると正面にスタジアムが現れた。

どどん。手前の黒いとこはたぶんビジョンだろうな。何が表示されるのか見たい。けどソシオじゃないとチケット買えないのよねもう。。。
スタジアムから見た景色。あそこにもリケルメ。
現在はボカの会長、同い年のリケルメ。左の三角取ってった人、死んだらそれを代々受け継いでいくんだろうな。

ボカ・ジュニアーズに詳しいわけでも強い思い入れがあるわけでもないが、ミュージアムを歩くと昔雑誌やテレビで断片的に情報を集めていた集めたあの頃がよみがえる。アルゼンチンという物理的に距離があって、日本とは比べものにならないくらいサッカーが強くてうまくて小賢しさもある選手たち、熱狂する観客。いつか行きたいと思い続けてようやくたどり着いたリケルメの足型。

給仕に声をかける時

初日のアサード屋でM君が「Señor」呼び、かつ周囲もそんな感じだったので、いわゆるスペインでのCamareroは使われていない気がする(ブエノスアイレスで2回だけ聞いたのはスペイン人なのかもしれない)。確かにこの方が自然でいいのかもしれない。外国人からすると、相手に何となく敬意を払っていることも伝えられるし。
お昼に行ったレストランは、現在のブエノスアイレスの河の玄関口Puerto MaderoにあるLa Cabaña(本当はこの辺で一番高いらしい隣のCabaña Las Lilasを狙っていたけれどほぼ満席だった)。もちろんアルゼンチン牛をいただく。
アルゼンチンと言えばマルベック種🍇。若干の湿度があるものの、ここで白を飲んでもなぁと、ハーフボトルのマルベックとEntrañaでお昼からいい気分になってコロン劇場ツアーへ。ツアー後は広大な国立美術館(なんと無料!ブエノスアイレス人のプライド!)でエル・グレコやベラスケスを10cmの距離で堪能。

パンでお腹を満たさないことが重要。初日に連れて行ってもらったVeronicaもそうだったけど、ナイフの持ち手が本当にしっくりきて切る時に力をかけやすい形状。
アルゼンチンは炭で焼く。焼き加減はもちろんJugoso。じゃがいもが大きい。
英語ツアーはいろんな国の人がいておもしろい。これはワーグナーの扉(上の胸像が扉ごとに違う作曲家になっている)。
金。
石がすごすぎる。そしてこのシャンデリアは点検で外すのに4日かかるらしい。外すだけで。
タイルはなんとなくオリエンタル風味が。
はーエルグレコの描く布は美しい。
湿気あるけどこんな生のまま出してて保管の観点で本当に大丈夫なのだろうか。
ロスコもあった。
ロートレックで好きなやつもあった。
ポロックもある。

朝7時の車内カラオケ、さよならブエノスアイレス

9時のフェリーだから1時間前で大丈夫かなと思いつつ、モンテビデオのように小さい港ではないから余裕をもって1.5時間前に行っておこう、と7時にUberを予約。
運転手はリリベス、この旅唯一の女性運転手だった。最初は無言だったが、ラジオの音楽に鼻歌で合わせていたので、こちらもSoundHoundを立ち上げ曲を検索。曲名を言うと、そうそう!と一段階ギアが入ったようで鼻歌から普通の歌声に変わる。サビを熱唱し、アーティストについて説明してくれたけど最初の2センテンスくらいしか聞き取れなかった。ブエノスアイレス人のスペイン語もまぁまぁ難しい。

その後数曲を熱唱してもらい、私もついテンションが上がり、知らないながらにコール&レスポンス的なことをやったり楽しい車中を満喫しているとあっという間に港へ着いた。

まだ明けきらない朝。助手席に座るブエノスアイレス慣習もあるせいか、運転手との距離感はモンテビデオより心理的にも近い。

港は土曜の朝、日帰りや週末旅に行くアルゼンチン人もいれば、この旅初の中国人団体客もいて、さすが大都市の玄関口という感じ。ブエノスアイレス、また来るよ。そして次は絶対にタンゲリーアへ行くのだ💃

往復ともBUQUEBUS社を利用。もうひとつcolonia expressという会社のフェリーがある。港では北側にBUQUEBUS、南側にcolonia expressと分かれていて若干の距離がある(その間を昨日行ったレストランなどのショップが入るエリアで繋ぐ)。
朝だからみんな寝るモード。
さよならブエノスアイレス。また絶対来るよ。
最後港でコーヒーを買い、200円ほどの残で無事にアルゼンチン・ペソ消化😇

コロニア・デル・サクラメント(という沖縄のような街)

かつてポルトガルが支配していた頃の貿易港として栄えたコロニア・デル・サクラメントは、当時の街並みがそのまま残っていて世界遺産にも登録されている。不揃いな石が組み合わさった石畳のすりへり具合には古い車が似合う。

やらせなのかと思うくらい絵になる場所に駐車されているクラシックカー。
これが総督府の遺構。観光客はあんまり見てない。
住民はきれい好きで通りの落ち葉を掃く人も多いし、壁の色やアイアンも凝ってる家が多い。

夏から取り残されたブーゲンビリアが空に映え、何だか沖縄をふと思い出した。

なんだろうこの沖縄を想起させる区画。島にも本島にもある感じ。
この建物も沖縄本島あるあるだわ。

バスセンターは天井に木を用いていて、そうだ(木の豊富な)ウルグアイに戻ってきたんだと改めて気づく。高速バスは座席も広くてとても快適。

バスはCOT社。大手でモンテビデオ発着のいろんな便がある。
お昼の便だからか、乗客は私以外に10人いないくらいだった。座り心地のよすぎる座席。

道中は牛がぽつぽつといる大平原が広がり、時折見えるラプラタ川は相変わらず海のようだ。

空が広い。
牛の往来が活発なのか、幾重にも設置された柵。

モンテビデオに近づくにつれ、少しずつ集落が現れる。明らかにヒターノだなと思う人々がいる地域があり(馬で移動していた)、しばらくするとセロの要塞が見えてきた。なるほど、セロ地区だけは危険と言うM君の話がわかったし、外務省の記述にもセロだけは「控えてください」があった。単に低所得層というよりはヒターノを囲う地区なんだろう。

バラックがぽつぽつと。ここの人は車持ってるね。
そこそこ区画化されてちゃんと通りも整備されてる。塀や門もあるからそれなり。

そうこうしているうちにサルボ宮殿が見え、スカイツリーを見た時と同じ帰ってきた感を味わう。なんだろう、ブエノスアイレスもいい街だしまた訪れたいと思っているのに、モンテビデオに抱くこの安心感。

バスセンターから歩いて宿へ。モンテビデオよ、わたしは帰ってきた!

日曜市 Feria de Tristán Narvaja

あっという間にDAY8だ。日曜の朝、アレハンドラたちはゆっくりしているのか8時を過ぎても降りてこない。キッチンを借りてゆで卵をつくり、ハムとチーズとりんごと一緒に。

建物の造作は活かして、キッチンだけ新しいのを入れてる。

天気もいいし、夜のサッカーまで(まだ見るんかい)テラスでのんびりカズオ・イシグロの続きでも読もうか、いや、この天気で出かけないなんてと思い直し、昨日高速バスが着いたバスセンター近くに商店が多そうなエリアを見つけていたので、その辺りを中心に散歩することにした。
準備しているとアレハンドラが降りてきて、日曜市を勧めてくれた。「何でも売ってるのよ、本、服、スパイス、観葉植物、ペットとか。」ペット???あれ、犬はブリーダーからしか飼えない決まりがあるって言ってたよな確か。とりあえず行ってみよ、ということで歩いていたらペットの意味がわかった。向こうから歩いてくるおじさんが金魚を入れたビニール袋を下げていたのだ。その他にインコや文鳥、カナリアといった鳥類も売られていた。爬虫類もいるのかなと思ったが、歩いた限りでは見つけられなかった。

伝わりづらいけど祇園祭級に人がびっちりで、スマホ出すのも一苦労。通りの両脇にお店が並ぶ。
酸味のあるトマトだから、アサードの時のソースとして賽の目切りにして使いやすい。
本屋は特に子供連れの人がよく見てて、何でかなと思ったら塗り絵が豊富だった。
日曜はお店がほとんどやってなくて、サルボ宮殿前の独立広場にも全然人がいない。
宿に戻って買い置きしていたアルゼンチンが誇るビール、パタゴニアのセッションIPAをテラスで。

3試合め、リーグ戦@Estadio Centenario

M君にチケットを取ってもらったナショナルのリーグ戦。彼は出張のため、この日はモンテビデオでのひとり観戦デビューだ。前売りオンラインチケットのみという仕組みは外国人からするとありがたい限り。

2部リーグもチケットはこのRed Ticketsだった。購入者と観戦者どちらも名前とIDが記載される。

先週の2試合では提示を求められなかったが、パスポートのコピーはポケットへ。結果的にこの日だけきちんと提示を求められ、対応するお姉さんから「日本から何時間かかるの?」「ナショナルの選手知ってる?」「ウルグアイ好き?」などなど質問攻めにあう。ようやくウルグアイなまりでもスペイン語が聞き取れるようになってきたけど、もうすぐ帰国だ・・・

夕焼けが美しい。かつての国立競技場のように周りの建物が見えるので、街中にあるというのがよくわかる。
本日のゴール裏。やっぱグランパルケの方が近くて迫力あるな。センテナリオは歴史的建造物という雰囲気を愉しむにはいいけど、ピッチは遠い。
バックスタンドにあたるエリア。こんなにガラガラだったけど試合開始時には隣も前後も埋まってた。

ところでこの日の相手は昨日バスで通り過ぎたセロ地区がホームのClub Atlético Cerro。先日の試合でサポが選手へ投石し、選手が負傷したことからこの日はサポ立入禁止で、ホームのナショナルしか入れない。そんな相手に負けるなんてことが起きたら帰りの雰囲気が怖そう、、、というなか、2-1で薄氷の勝利。どうなることかと思ったぜ。
帰宅してアレハンドラとエンツォとリビングでワインをちょっと、いや3人で2本空けてDAY8の夜は更けてゆく。

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