ウルグアイとアルゼンチンへの旅の話:DAY3-5
DAY0と12の話(片道30hくらいかかる)
DAY1-2の話
無計画な散歩
「何しに行くの?」「何があるの?」と旅の前によく聞かれた。帰ってきたら「何したの?」と聞かれる。
極力特別なことはせず、その日その時いいな、気になるなと思ったことを気のすむまでやるというのが今回のテーマなので、何もしない日もあるし先のような質問には答えづらい。
実際やってる時間が多かったのは散歩。起伏も少ない地形なのと、ラプラタ川沿いにRamblaと呼ばれる広めの歩道が通っているので、街中を歩いて疲れたら川沿いに出て休んで、というように、歩きながら人や街や景色を見て、色、匂い、湿度、人々の会話なんかが身体器官に記憶として刻まれればいいなぁと思っていた。
今回の宿のアットホーム感
Booking.comで見つけた今回の宿Edificio Quijano。オーナーのアレハンドラ&パートナーのエンツォの少し距離を置いて穏やかに見守る感じがいろんな場面にあらわれて、アットホームと一言にはまとめられない温かさを終始もらっていた。到着時からもちろん素敵だったのだが、DAY3ではこんなことがあった。
アットホーム1
洗濯機の使い方を聞くと、こっちでやるよと洗濯物を全部受け取って干して畳んで戻してくれた。結局これに甘えてずっとこの感じ。
アットホーム2
部屋にグラスがいくつか置かれていたので買ってきたワインをそれで飲んでいたら、掃除に入ってくれたタイミングでワイングラスがグラス群に追加されていた。
古い建物を少しずつ手直ししながら使っていて、エレベーターは二重の鉄扉をがらがらと開けるタイプがまだ稼働している。
部屋は5階で、木の扉を開けると彼らの仕事場兼共有リビング&ダイニングが広がる。暖房器具はまだ気温的に稼働していなかったけれど、少し寒くなったタイミングで薪が通路に積まれ、暖炉が現役であることがわかった。内階段で5.5階のようなところに2人の寝室があり、キッチンは2人と一緒に使う。
夕刻の景色
午後、部屋でマテ茶を飲んでいるとM君からワッツアップが。彼の仕事後、居酒屋的アサード屋で一杯やらないかというお誘い。人気店だから休日明けの空いてそうな今日が穴場だとのことで、もちろん乗る。
ワッツアップで思い出したことが。旅前からアレハンドラやブエノスアイレスのアパート管理者とワッツアップでやり取りしていたが、ウルグアイ、アルゼンチンともに飲食店も基本はワッツアップでデリバリーや予約を取るスタイルだった(SNSアカウントやお店の看板下にワッツアップの番号が書いてる)。街やカフェでもどこかしらで受信音が鳴ってたので、老若男女が使うLINE的な立ち位置なんだと思う。
閑話休題、お店の場所が初日夜に連れて行ってもらったショッピングモールから歩いて10分くらいだったので、少し早く行き、モールで服の買い足しをしてから向かおうと思い距離を調べると歩いて40分。昨日まで車移動であまり歩いてなかったのもあり、徒歩で向かうことにした。夕方明るいうちに宿を出て川沿いのRamblaへ出る。釣りをしている人、椅子を持ってきて川を見ながらマテ茶を飲んでる人、ランニング、ウォーキング、インラインスケート、犬の散歩、ただぼーっとする、音楽に浸る、などなど皆が思い思いの時間を過ごしていた。
歩くうちに太陽がだんだんと下がり、その色が黄金からオレンジへと移り変わる。
居酒屋的アサード屋とプリン
電気はついているが、まだ店内の椅子はテーブルにかけられたままで、お店の人っぽい3人が通りで一服していた。友達が後から来るから座って待っててもいいか聞くと、あとちょっとで床が乾くからもうちょい待てとのこと。テラス席はセットされていたので、そこに座らせてもらいしばし待つ。女性が1人でやってきて店内をのぞいたりスマホ見たりしているので、おせっかいかと思いつつもう少しで床が乾くらしいよ、と伝える。大阪のおばちゃん予備軍というかもう片足入ってるしな。あっそういうこと!ここおいしいよねーと女性が話し始め、後半は早口でよくわからなくなった。
中にいたおばちゃまが椅子を並べ始めたタイミングでM君登場。さっきの女性も一緒に店内に入り、カウンターへ隣同士で座る。焼き網の前の特等席だ。初日に食べておいしかったLomoと、こないだのお店にはない部位のMolleja(胸腺)を食べる。Mollejaはホルモンに近いのかもしれないけど、ジューシーでこってりした風味が赤ワインを誘う。
別のお客さんがプリンを食べていて、あーデザート頼もっかなと言うとM君が別の店に移動して食べようと提案。日本からの政府要人が来ると連れて行く店らしく、えっそんなところにデザートだけ食べに行くってどうなん、と思いつつまぁ自分じゃ選ばない店やし行くしかない。ということで移動。
先ほどの居酒屋とは全然違う、ぴちっとアイロンのきいたテーブルクロスがかかる店内は、人で溢れていた。そんな中でエスプレッソとプリンとかね。ワインくらい頼めばよかったよ。と思いながら、店内にいくつかあるテレビで放映されているコパ・リベルタドーレスのペニャロールの試合を観る。え、もしやM君試合見たいから移動した?0-2でペニャロールが負けている、と思っていたら3点目をくらい、でもその後1点返し1-3。ここで帰ったが結果は2-3。翌朝、街を散歩しているとじいさまやお店の人とかがこの試合の話を結構していた。ナショナルとペニャロールの境界がどこにあるか大阪ダービーほど明確にはわからないが、宿のある辺りは旧市街に入るのでペニャロール領域なのだろう。港に近ければ近いほどペニャロール色は強まる印象。
初Uber
さすがに帰り40分を歩く元気はなかったのでUberを呼ぶ。昨日までM君の車に乗せてもらっていたので初Uberだ。ディエゴの快適なルノーで帰宿。
続 アットホーム感
アットホーム3
マテ茶の壺を置く際に転がらないようグラスにはめていたら、よりフィットする鉢に変わっていた。
アットホーム4
ブエノスアイレスでの注意事項をワッツアップに送ってくれた。Uberは助手席に座る(タクシーと過去揉めてた名残りがあるので友達を装うらしい)、夜は通りでスマホを出さない。これだけ守れば楽しいはずよ。
コパ・リベルタドーレス
ウルグアイで唯一決まっていた予定が水曜日の試合だ。ナショナルがベネズエラのタチラと対戦するコパ・リベルタドーレスのグループリーグ。M君が前週に発売開始されたチケットを取ってくれた。
まずはM君の勤め先まで向かう。
その後M君の車でいざEstadio Gran Parque Centralへ。普通の住宅街に入りいつもの縦列駐車。車から降りて5分ほど歩きまずはオフィシャルショップへ。ユニフォームと(夕方からの試合ということもあって寒さ対策の)アウターががんがん売れていた。スアレスのサインを見てぶらぶらした後、いざスタジアムへ入る。
まだ時間が早いので人は少なく、コンコースに展示してある数々の栄光の軌跡を拝見しつつ、トイレチェック。ウルグアイは公衆トイレや施設のトイレがきれいだしチップやお金も要らない。スタジアム内も鍵と扉がずれてて力任せなところもあるけど、きれい、ちゃんとしている。
席はバックスタンドのゴール裏寄り2階。箱型スタジアムなので傾斜はあるけどめちゃくちゃ見やすい。屋根がないのでコンパクトだけど圧迫感もない。ゴール裏は既に弾幕と3色のリボン状フラッグが2階から1階へと吊るされていて、インチャ(サポのスペイン語)たちが太鼓とともに歌う声が聞こえてくる(スタンドにはいないのでコンコースでやってるんだろう)。
タチラの選手がアップに出てきた。大ブーイング。そういやタチラのインチャは?と目を凝らすと、すんごい片隅に押し込められて、というほどの人数もいなかったが、弾幕やフラッグでスタンドの面積を埋める戦法を取っていた。ナショナルはタチラ戦の一つ前、アウェイのリーベルプレート戦で負けている。ホームの今宵、グループリーグ突破の最低条件2位死守のためにはナショナルは勝ち以外ない。
ところでウルグアイのスタジアムではアルコールを提供しない。炭酸飲料か水かジュースか、みたいなラインナップだ。また、ペットボトル瓶缶がダメなのにマテ茶用にお湯を入れた水筒は持ち込め、マテ茶と言えばすべてが許される世界が広がる(水筒と言えば、冬になると焼酎お湯割りやホットワインを水筒に入れてスタジアムへ持ち込みあったまる友人がいる。天皇杯の時期とか染みるよね)。あとはタバコ(大麻を含んでる気がする)はOKで、スタジアム内のそこここで紫煙が立ちのぼり、独特のにおいも漂う。
フェリーでブエノスアイレスへ
試合の翌日から3日間のブエノスアイレスへ。直行のフェリーは予約制で14,000円くらい。2時間半で到着。
出国入国はものすごくあっさりしていた印象。入国のカウンターを見落とし、言われた方向には待合エリアが広がるばかりなのできょろきょろしていたら、アルゼンチン側の審査官が探しにきて連れ戻されたくらいにはあっさりしていた。
「だからメルキュールホテルに泊まるって言ってるやん😤」とメルキュールホテルを窓口で連呼する男性が前にいたおかげで、ブエノスアイレスでの住所を聞かれるんやなという予備知識を得られ、自分の番ではGoogleマップにピンしたやつを見せて一発OK。あっさり風味。
ブエノスアイレス入港時、大都会具合にびっくりした。モンテビデオにはない高層ビルの乱立。しかも画一的なビルではなく凝ってる感じ。
これは…南米一プライドが高い(から南米の他の地域の人から一番苦手とされるのがブエノスアイレス人)と言われるのも当然で、そらプライド持つやろって感じ…。ただそれはプライドの後ろ盾となるほんの一部であった。
港から市街地まではタクシーor Uberで迷ったものの、平坦そうな土地なのでとりあえず理解のためにも歩くことにした。歩き始めて10分、急に大量の警察官がいる通りにぶち当たる。暴動かと様子を伺うと、デモの一団が行軍中だった。銀行に対する要望らしく、昨今のアルゼンチンペソ価値暴落にも関係するのかよくわからんけど、歩く人々はきちんとした格好だし謎だった。
ぷらぷらと好きな道を歩いていると、何となく先の方が開けてきたのであのやたら広い(片側8車線!)道路がそろそろかなと思っているとこの方に出会う。
そんなにメッシファンでもないねんけどな。
で。来た。
世界三大劇場。
パリオペラ座、ミラノスカラ座、そしてブエノスアイレスコロン劇場。先の2つは外から見ただけやけど、まさか3つ全部来れるとは。感無量。ということで、ここはガイドツアーに参加するぞという強い決意と資金を胸にツアー時間をまず確認。今日開催のものはすべて終わっていたので、明日の時間をチェック。
広大な道路やオベリスクを眺めながらしばしぶらつく曇天の夕刻。地下鉄駅もちゃんとしてるし、バスはひっきりなしに来るし、人は多いし大都市すぎて疲れてきた。宿でとりあえず荷物をおろそうと、3日間お世話になる(と言ってもホテルではなく勝手にQRコードと暗証番号で入る、管理人のいないパターン)宿へ。
管理人というか警備員が遠隔で見てるんだけど、エレベーターホールに大きなサイネージがあって、通る時は必ず挨拶する感じになっている。オンライン会議的な時間差で挨拶が返ってくるからはったりではないし、夜中も早朝も見守られてるので安心感あり。モンテビデオの家賃高めマンションとかのエントランスもこの形式だった。
ところでご存知のとおり、アルゼンチンペソの価値はびっくりするくらい低い。両替のレート表示で0.00xxxとかいうのを生まれて初めて見たし今後見ることもないだろう、とか思ってるけど円やばくない?
閑話休題、何$をアルゼンチンペソへ両替するか、長い散歩でも自分会議の結論が出ず、とりあえず物価や現金じゃないとダメな率がどんなもんかを調べるため、宿の近所の商店に入って会計の風景を見たり、飲食店入り口の掲示を見たり、また散歩を始める。そしてお腹が空いたことに気づき、今日はビールやなーと思っていたところへクラフトビールありますの看板が。やらせなのかこれは。メニューを見るとハンバーガー屋らしい。これまでの食事から若干ジャンキーになるが、ビールやしなと思い扉を開ける。マネスキンのI wanna be your slaveが流れ始める。ビールのタップが6つ並び黒板に種類が記載されている。はい正解。こんな時のために飲み屋選びの嗅覚を20年以上かけて磨いたのだ。
店主いわくブエノスアイレスではクラフトビールが一定の層に流行ってて、隣の地区には深夜までやって常時20タップくらい出す大きな店もできてるらしい。マイクロブリュワリーは市内にもたくさんあるよとのこと。モンテビデオはワイン以外だとウイスキーが主流だったので、やっぱ都市の規模や人の性質で全然違う嗜好になるのねー。と特に役立たないアルコール消費文化傾向のお話でDAY5は終了。
夜道はさすがにアレハンドラの教えを守り何も撮影せず黙々と歩いたので、いい建物や景色、お店もあったけど写真なし。ただ夜も散歩できるくらいの人通りだし地区を間違わなければ安全だし、たまに地下鉄やバスで使うカードにチャージするよおばさんが声かけてくるけど、今たりてるよって言えば笑顔で去ってくから、南米の治安が…みたいなのはブエノスアイレスとモンテビデオ(のある程度旅行者が入るエリア)には当てはまらないなと思った。
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