見出し画像

運命のリードに出会うまで

サックスのおはなし。ここでいう「リード」はワンちゃんの散歩のあれじゃなくて、サックスやクラリネットなどの木管楽器に必要な部品のことです。
管楽器の口をつけて吹く部分を「マウスピース」といって、トランペットやホルンなどの金管楽器はそのマウスピースだけで音を出す。マウスピースに竹でできた薄い薄い木の板(リード)を挟んで吹くのが木管。
このリードは永久的なものではなくて消耗品なのだが、なかなかクセモノなのです。

管楽器だから息を使って吹くのだが、リードが柔らかいほど少ない息で吹けて、音が出やすい。じゃあそういうリードを買えばいいやん! って話でもなくて、そのぶん音の良さや厚みが犠牲になってしまう。じゃあ硬いのを買えばいいやん! って話でもやっぱりなくて、相性がわるいと音を出すのにも一苦労、肺活量には限界があるのできびしいぜ……みたいなことにもなるのだ。吹くたびに酸欠になったら元も子もない。

リードはだいたいひと箱3,000円ほどで、バリトン、テナーサックスの大きいのだと5枚、アルトやソプラノだと同じくらいの値段で10枚。ほれ、ここでプチ戦争。リードの大きさに違いがあるのはわかるけど、価格差がそんなにないのにアルト側は二倍も出会いの数があるなんて……! ずるいよずるいよ。

いわば木管はリードと奏者との相性問題が大きいので、その人にとって最良のリードに出会えるかどうかは運次第なのだ。硬さの基準が決まっていて、同じ箱には同じ基準のリードがそろっているが、一枚いちまいで吹き心地が全く違う。リード選びのときは、裏にペンでしるしをつけて、トップスリーを決めていたのがなつかしい。あれ、この子がダントツだったのに、ナンバーツーのほうが良い音では? などと翻弄させられたものだ。気まぐれリードちゃんめ……。

これぞ!と出会ったリードをずっと使えばいいのでは? と最初わたしも思っていたが、なんと、ストッキングの伝線のごとくリードも割れてしまうのだ……。よくみる、地面に落としたんだろうなっていうiPhoneのバキバキスパイダー画面みたいな割れ方ではなくて、縦に切れ目が入っちゃったり、一番うえの薄い部分が欠けちゃったりする。もともと繊細なものなので、一度そうなっちゃったらもう同じ音は出ないし使い物にならない。かなしい。
ただ最近は、竹製ではなくて樹脂製のリードがあるらしく、寿命がものすごくながいんですって。ほ~!!! マーチングにも最適、とか書いてあって、あれを中学校時代にゲットできていたら……とちょっと思った。

リード、で画像検索したら出てくるかもしれないけれど、あの箱にしずしずと収まっている見た目がすごく好き。高級菓子みたいな感じなんですよね。箱と同じ色で一つひとつ個包装されていて、取り出すとプラスチックの薄いケースに入ったリードが現れる。そら3,000円もするわな、の上質な感じ。でも5個で3,000円だったらそれこそGODI○Aとか……いやチョコとは全く別だけど、チョコ入ってそうな雰囲気の箱だから……黙ります。

小噺。いまもっているサックス(記事画像)はテナーだけれど、吹奏楽部に入りたてのときはアルトから始まり、2年経ってからテナーとソプラノを経験した。どれもそれぞれの音の特徴と良さがあって、ずっとmy楽器に憧れていた。
大学生になって、アルトかテナーか迷いに迷って、ほんとうにジャングルくらい迷ったのだけど、ジャズサークルのテナーの先輩の音にほれぼれして、テナーを選んだ。ジャズ用に金属製のマウスピースに替えたけど、ジャズっぽい音が出せていたかはまったく自信がない。
サックスのことを書いていたら吹きたくなってきました。最後にさわったのは11月だな……🎷

前回の記事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?