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三月の空気は

一年のうち、わたしがもっともそわそわするのは三月だ。
学校も会社も、年度という考え方が一般的だから、四月はどうしても「新しいはじまり」で、三月は終わりの月、かつ四月へ向かう準備をするという、いそがしい時期のイメージがある。たぶんこれは一生かわらないような気がする。追われてる感、とでもいうのか、ちょっと苦手かもしれない。

年単位だったら十二月で〆、どちらかというとお正月はぐうたらしてええんやで期間(その短さには文句があるが)だし、一月はあけおめが咲き誇る祝いの月でもあるから、多少年末がバタバタしても報われる感じがある。
でも三月は、年度はじめに向けてものすごくどたばたしたのに、いざ新年度がきてしまうともうそこからもどたばたで、どっちを向いてもチャップリンが踊り散らかしているようなもの。三月、がんばったね!のご褒美がなかなか見つからない。桜スイーツとか?(食い意地……)

入学式などはまちがいなくおめでたいことで、ランドセルやら、まっさらな制服やら、ビシッとキメたスーツと靴やらがぴかぴかして町中へ現れはじめると、ああ新しい季節がきたんだな~と思って、ちょっとまぶしい。四月はきらきらしている。ほっといたら五月病なんていうのが出てくるので厄介である。みんな健やかに生きてほしい。

あと三月あるあるだと思っているのだが、外よりも部屋のなかのほうがうっすら寒~い日がそこそこある。覚悟して窓を開けたらお日さまが「ちわ☆」っていうあたたかさだったりして拍子抜けする。もう、みんなあなたのことを待ちわびているんだから、室内までお入りになってくれよ……。
まず三月前半は冬が名残りに名残りまくっているので寒い。未練たらたらの彼女レベル。二月があれだけ極寒だったんだからもういいのよ、と声をかけたくなる。すると中旬くらいから急に暑い日が導入され、な~んだ春じゃんと思って次の日に春服をひっぱりだすと冬再来である。春服のタイミングと格闘しているうちに初夏がくるのがいただけない。

日向は春だけど日陰は冬、みたいな日ばっかりだから、三月は体温調節がなかなかむずかしい。春服を着こなしたい気持ちでいっぱいなのだけれど、とにもかくにも寒いよりは暑いくらいのがマシ!という思考回路の寒がりなので、ずっと冬服の延長みたいなので過ごしてしまう。
でもたまに、三月にして既に半袖になっている強靭な人類がいて五度見くらいしてしまう。特に走ったあととかでもなさそうなのに、すずしい顔をして電車に乗っていたりする。そこだけあったかい結界張ってる?わけてくれんか?

どことなく落ち着かない三月ですが、きっとあっという間に過ぎていってしまうのだろうな……今日がひなまつりの日というのをスーパーの広告で思い出した人間なので、時節にもっと敏感に生きてゆきたいです。寿司をちらしたかったけれどレンチンチャーシューを仕込んでしまったので断念、合掌。

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