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Mahya
2020年2月18日 10:49
自由気ままにNYを楽しんでいた私は、ある日からどうも体の調子がおかしい事に気付いた。走れない。なんとなくだるいし、体温が上がっている気がする。直感で妊娠していると思った。その時のパートナーはずっと私との子供が欲しいと言っていたので、喜んでくれるだろうと思いその事を伝えた。返ってきた言葉は意外なもので、私の頭の中は真っ白になった。「俺の子供じゃない。」そうか、そうきたか。5年以上関係してい
2020年2月7日 12:27
コメディクラブで転換時のパフォーマンスをするため、ブルックリンからマンハッタンへ車で移動していたある日のこと。ブルックリンブリッジはいつものように渋滞で、夕方の空の綺麗なグラデーションを助手席の窓からぼんやり眺めていた。銀紙で包まれた小さな円形のものを何個も片手に積んで車の間を縫って歩いている黒人男性が目に入る。濃い髭、黒の丸縁眼鏡、質素だけど清潔で整った身なり、知的な佇まいというのはこういう事
2019年7月22日 12:00
「このバッズが、本当に、すごいんだよ」と、かなりスモーキーな部屋の中、漆黒の肌に眼球の白が輝く小柄な男性がボソボソっと話した。小さなアクリルの立方体の箱の中からそれを取り出して、丁寧に巻いている彼がジェイディラ。一緒のソファに座っているのはスラムヴィレッジだった。とにかく笑顔が可愛いジェイディー。とても紳士的で優しくおもてなししてくれた。何を話したのかはもう忘れてしまったけれど、とにかくドリ
2019年6月24日 12:58
NYCで私がしていたことといえば、昼間はジョギングや近所散策、セントラルパークのプールでぼーっとしたり映画見たり、なんとなく音楽制作、夜は歌ってチップをもらって酒飲んで寝る、という感じ。よくお金続いてたなぁと今更ながら感心してしまうが、思えば、お金使わなくてもいい事ばかりやっていた。NYはそこに居るだけでエネルギーが足の下から湧いてくるのを感じる。ものすごいパワー。歩くだけで音楽が鳴る。ビル
2019年6月7日 11:20
ホセはスパニッシュで右手に綺麗なタトゥーを入れたドラッグディーラーだ。美しい顔立ちでどこかもの悲しげな目をしていたし、あの界隈では物静かな方だったと思う。それがとてもセクシーに見えた。私は最初の頃、アパートメントの入り口をうまく開けらられなかったので、誰か住人が来るまで待っていたりしたのだけど、道路でたむろっていたホセはいつも気づいてドアを開けてくれた。それからよく話をするようになり、彼のおつか