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31. 「仕事の鬼とはこういうこと」な映画3選

仕事。

奥が深い概念だなあと10年くらい働いてきてつくづく思います。いやなときもあれば達成感に包まれることもある。いい人にもムカつく人にもたくさん出会うし、肯定されたり否定されたりする。まあ、いろんなことありますし、いろんなスタンスがあっていいと思うんだけど、ひとつのスタンスとして「仕事の鬼」っていう言葉がありますよね。あこがれるようなおっかないような、チームにいたら助かるような、勘弁してほしいようなw 個人的には鬼の「いいエッセンス」だけ盗み取って、自分の中に活かしていきたいと思っているんですけども、改めて仕事の鬼ってなんなのかっていうことを考えさせられる映画を3本選んでみましたです。

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キングスマン

2015年公開
監督:マシュー・ヴォーン
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世界最強のスパイ期間が、IT実業家の企てる陰謀に立ち向かうお話。徹するとはどういうことかという物語。いやー今回もたくさん殺してます、マシューヴォーン。黒幕追跡編と後継者育成編がパラレルで進むお話しなので、若干途中、とっちらかり気味な印象も受けたけど、展開のスピード感と潔さ、9割の分かりやすさと1割のどんでん返し、みたいなバランスが気持ちのいいあっという間な作品でした。スタントシーンは相変わらずのクオリティ。ちょっと単調になったのは否めないけども、身体性の楽しさは抜群でございます。で、鬼は、主人公ハリーももちろんなんだけど、僕が鬼感を感じたキャラクターは、最強バックオフィスであるマーリン。どんな状況も受け止めて、冷静に、でも人間味をもって、リスクをとって対応する。ああありたい。理想の上司はこっちだと僕は思います。彼から感じる、仕事の鬼の本質とは、「仲間を見捨てないと心に決める」ことかな。そもそも仕事において「仲間」という思いを持てる人と共にあれること自体、得難いことなのかもしれないけど、この人を仲間だと心に決めることから、景色が変わるのかもなあとか。「キングスマン2」の彼も、泣けます。

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エル・ブリの秘密 ~世界一予約のとれないレストラン~

2011年7月公開
監督:ゲレオン・ヴェツェル
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世界でもっとも予約が取れないと言われたレストランの1年間に密着したドキュメンタリー。今年最後にふさわしい、示唆に富むドキュメンタリーでした。誠におこがましくも、広告クリエーティブの仕事とも重なる部分が多かったように思う。本質化と差異化。手段と目的の整理と峻別と、遊び心による逆転。「実験」の価値。R&Dの大切さ。インプットとアウトプットのバランス。過去の自己模倣の意図的な禁止による、創造へのチャレンジ。越境、コラボ、前提にとらわれない柔軟さ。そんな中でも、最後は自分の舌という経験則に対しての絶対的な自信と、人間くささ。「リサーチがクリエーションの源」 「創造とは日々の積み重ね」オーナーシェフのフェラン・アドリアの言葉にはいちいち重みがあります。稀代のクリエーティブディレクターだと思った。彼から感じる、仕事の鬼の本質とは、「やらないと決めたことを、決める」こと。ぶれない指針を自分の中にもつことは、引き算なんだと思います。これが難しい。自分以外の人の行動や、哲学みたいなものがSNSで目移りしてしまう今だからこそ、自分の信じるものを信じて、取り入れないものを決めること。かな。

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ファッションが教えてくれたこと

2009年公開
監督:R.J.カトラー
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VOGUEアメリカの編集長、アナ・ウィンターを追ったドキュメンタリー。アナが圧倒的。どこからくるんだろうか、あの自信は。死ぬほど苦しんで努力して理不尽な扱いを受けて、その生き方全てに自負があるから、できるんだろうなあ。それって、むちゃくちゃかっこいいこと。働くってしんどくてすばらしいことよ!ってメッセージを感じます。彼女から感じる、仕事の鬼の本質とは、「主観に自信をもつ」こと。自分の主観に自信が持てなくても「客観的な理論武装」は、頭がよくて熱心に取り組めばある程度、誰でも相当高いレベルまでいけるとおもうんです。でも、彼女は、めっちゃ主観を仕事に使っている。センス。特に日本人は、仕事でのやりとりと、人格攻撃とを混同しがちで、だからこそ、仕事を共にする人間のセンスについて言及することをためらいがちなんだと思うんです。センスを論じることは、その人の人格とか人間性を論じることなんじゃないか、みたいな。だから、自分や他者の主観にあまりスポットをあてずに、客観的な、自分の外側で向き合って仕事をしがち。アナを見ていた感じる、「自分の内側」で仕事をする。その恐ろしい覚悟も、もしかしたら鬼エッセンスなのかもしれないですね。あと、「家族が一番の弱点」っていう表現も、印象深かったですね。

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鬼って、他者に厳しくて、おっかない人っていうことでは、やっぱりないですよね。自分の中にぶれない自分を持つ。そこに鬼のような強さを持つっていうことこそ、いい鬼かなと。共に向き合う目的の達成のために鬼なのであって、仲間には仏でありたいなあと僕は思います。自己保身とか、責任逃れとか、小さな視座よりも、自分にとって大切なものを仕事の中で見つけられているか。そのためには、身をさらして新しい領域にどんどん進む勇気と、それでいて自分の弱さを認めること。鬼というと過剰な言葉に聞こえるけど、実は、その外側と内側との間で、自分オリジナルなバランスを見つけることこそ、その人はその人らしいままで仕事に向き合うためのポイントなのかもしれません。

自分も自分のスタンスがほしいなと、切に思う3本でした。

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