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食べることは生きること⑵

食事は瞑想の一種

前回の続きです。

アーユルヴェーダでは、食事をするときに五感を働かせて食べましょう、とよく言われます。
私が受けた講座の中では、レーズンを使い『レーズン瞑想』を行いました。

一粒のレーズンを手に取り、視覚、触覚、聴覚、嗅覚、味覚の順に五感を使いながら味わいます。
それがどんな性質を持っているのか?一つ一つの感覚に集中しながら観察します。

普段の食事では、そこまでしたことがなかったので、とても新鮮でした。
けれど、そうやって味わうことで、それがどんな影響を自分に与え、どんな自分に近付けていくのかを教えてくれるのだと気付きました。

『味わう』とは、味覚だけの問題ではないということです。

普段目にするもの、身につけるものや使うもの、普段聴く音楽や聞く言葉、身の周りの香りなど、五感で取り入れているもの全てが自分の栄養になっているのです。

口に入れるものがどんなものであるのか?まずは感じて、自分の理解とそのものの合一性があればあるほど、栄養として体内に吸収しやすくなるのだと思います。

人間は自然の一部

なんとなくわかってはいたけれど、アーユルヴェーダを学んでから、それが腑に落ちた感覚があります。

例えば、『体が乾燥しているときは水分をたっぷり含んだ物を飲食した方がいい』
そんなこと当たり前だと思いますよね。
そんな当たり前のことがとても大切だと、あー人間も植物が水がないと枯れてしまうのと同じように自然の一部なのだな、と気付かせてくれたのです。

そんな体や心から送られてくるたくさんの声を無視してしまっていたことに気付きました。

五感を丁寧に感じることの大切さ、体や心からの声を聞いてどんな対処をしたらいいのか?を知らなかったのです。

食べ物は、心にも作用する

『体は食べたものからできている』
いつも口にしている食べ物が、自分の一部になっている。あまり意識してはいないけれど、これは納得できるところだと思います。
そう考えてみると、人の消化力ってすごい!

ここで大切なことは、食べ物が心にも作用するということです。
例えば、毎日レトルト食品ばかりを食べ続けたとしたら、どうなると思いますか?
何かしら、体に不調をきたしてしまうのでは?と心配になりますが、同時に心も怠惰な状態になると言われています。
激辛など刺激が強い食品は、心を攻撃的にさせてしまいます。
体に良いとされる新鮮な食材は、やはり心も健康に幸せを与えてくれるということです。
逆に、心に働きかける目的で食材を選ぶこともできるということです。

「何を」食べるかより「どのように」食べるか

新鮮で無添加な食材、無農薬の野菜がいいとはいえ、現代社会において、全てにこだわる生活は至難の業ではないでしょうか?
あまりにも制限してしまったり神経質に考えてしまったりすると、かえってストレスを増大させ悪影響を与えかねません。

大切なことは、「何を」食べるかより「どのように」食べるかだとアーユルヴェーダでは言われています。

心を込めて作られた料理を五感を使ってじっくりと味わい、時間をかけながら食べることが大切で、食事中の心の状態も消化吸収に大きく影響してくると考えられています。
日常生活の中で、喜怒哀楽を感じることは誰でもあると思いますが、イライラや悲しみを抱えながら食事をしてしまうと、消化されづらくなり未消化物を溜める要因になってしまうのです。

意識していなかったけれど、言われてみれば、負の感情を抱えたまま食事していることがあることに気付き、今は食事中はできるだけ目の前の食事に感謝し、楽しい気持ちで時間をかけて食べることで、しっかりと消化に導きたいと思っています。

添加物が入った食材であっても、消化力を上げるようなものと組み合わせて食べる工夫をすることで未消化物になることを防ぐことは可能だと思いますし、どんなに良いとされている食材であっても、摂り過ぎれば毒になてしまう危険性もあるということを忘れずにいたいです。

何事も『バランス』や『調和』が大切ですね。

現代社会は忙しく、ヴァータ(風のエネルギー)を強く感じます。
ゆっくり食事を味わったり、自分自身との対話の時間(瞑想)を作ったり、自然を感じたりする余裕がない人が多いでしょう。
けれど、1日のうちでほんの少しでも意識的にリセットできる時間を作ることで、その他の時間のクオリティを上げることにつながるはずです。

『咀嚼(そしゃく)』は、食べ物だけでなく、理解する場合にも使います。
目の前の食材に向き合えず、ただ体内に取り込むだけでは、どんな栄養が入ってきたのか?体が理解できないのかもしれません。

目の前の食事がどんな経緯を経て、今ここにきてくれているのか?どんな思いで作られたものなのか?命をいただくことで生かされているということなど、子どもたちとも一緒に考えながら感謝して過ごしていきたいです。

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