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受動的に自己を開く

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広島市の基町団地でのプロジェクトの一貫で、美術の制作をしに来た寺江圭一朗が作品制作の過程を日記形式で綴っていきます。特徴ある基町の濃ゆい部分や、作家の視点も見えてくるかもしれませ… もっと読む
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記事一覧

受動的に自己を開く14

受動的に自己を開く14

十二月五日(日)

十一時基町着。バーベキューの日にライターをくれた中国商店の方にお礼をしに行こうと思い、M98で展示中の器二点を選ぶ。Kさんにどれがいいと思うか尋ねたら、中国の人は派手なのが好きな印象があるからこれがいいと思うと、緑色の器を選んでくれた。さっそく届けに行く。ニーハオと挨拶し、お礼の品であることを伝え、器を二つ店主に渡した。自分で作ったのか?すごい!ということを言って受け取ってくれ

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受動的に自己を開く13

受動的に自己を開く13

11/21
11時基町着。今日は前期の展示最終日だ。M98へ。後期の展示で使えそうな木材などの資材を確認。

コアに向かう。いつもの場所でおばちゃんが編み物をしていた。今日は立って編み物をしている。ピンクと白の毛糸でマフラーを編んでいる。2色の毛糸を混ぜて1つの玉にしたと言っていた。ちょうどコアがオープンした時間だったので、今日で展示最後だし来てみるか聞くと一緒についてきてくれた。椅子に腰掛けて映

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受動的に自己を開く12

受動的に自己を開く12

11/20
12時半基町着。

今日は、コアの前で作業しようと思っている。明日は15時までで展示が終わり搬出が始まってしまうため、1日作業や対話ができるのは今日までだからだ。それに、ライターをくれた中国の方や、お手伝いしてくれていた方々など、何人かにお礼に焼き物を差し上げたいと思っているから、自分でもいくつか器をつくっておきたいというのもある。

会場の外に置いてある机を作業台にして、ショッピング

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受動的に自己を開く11

受動的に自己を開く11

11/19(金)
13時基町着。コアに到着するとお客さんが映像を見てくれていた。僕が今見せている映像作品は、合計すると約1時間はあるのだが、全て見ましたと言っていた。たぶん、この方は今回初のツワモノだ。僕も映像をつくるようになってからは、かなり長い作品や多数の映像がある展覧会でも、なるべく全て見るようにしている。映像は全て見てみることで、分かることがあったり、細部が見えてきたりする場合があるので、

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受動的に自己を開く10

受動的に自己を開く10

11/18(木)
14時頃基町着。

今日もいつものカフェへ。いつも座っていた端っこの席が空いてなかったので初めてカウンターに座った。ビーカーみたいなのでコーヒー淹れてるのは、サイフォンってやつだとママに聞く。なんか聞いたことあるな。ママはだから「ここのコーヒーはおいしい」んだと説明していた。「他の所でコーヒー飲んでもたいしておいしいとは思わん。」「だけど、スターバックスはまあまあおいしいね。」と

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受動的に自己を開く9

受動的に自己を開く9

11/17(水)
別件の映像編集がパソコンがボロいせいで進まず。GPUを新たに購入することに。ものすごく高い…。映像作品をつくるのが一番金かかると思う。数百万は平気で溶けてきた。もう16 年は活動しているから、、、恐ろしくて考えないようにしてきたが、合計すると機材で1千万近くは軽く溶けてたりして…貧乏の1千万は…生活レベルのレートが違うから、お金持ちの1億くらいはあるよ!

ま。金使ったからと言っ

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受動的に自己を開く8

受動的に自己を開く8

11/16(火)
月・火は、展示も事務所もお休み。
水曜からの活動をどうするかや、12月の展示のことなど、少し頭を整理。だんだん不安になる。メールで、I松さんから12月の展示プランの提出の催促が来た。まだ、基町に通い始めて合計一週間くらいだし、もう少しモタモタしたいけど、そうもいかなくなってきた。一応、基町に通うことで、いくつかのプランは浮かんできたが、どれも、しょうもない。全然ダメだという気がし

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受動的に自己を開く7

受動的に自己を開く7

11/14(日)

12時頃基町到着。飯を食おうと思い店を探すが、開いている店はどこも満席。焼肉屋は人がいなかったが、予約が今から入っているとのことで断られる。それから、帽子を買おうと思っていたんだけど、若者ミュージシャンの洋服の店も閉まっていた。そういえば今日は日曜だった。先週も日曜はほとんど店は休みなんだった...…。コアの前の中華料理屋には客が入っていなかったので、そこで昼食にありつく。麻婆

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受動的に自己を開く6

受動的に自己を開く6

11/13(土)
朝、基町小学校の50周年記念があるとのことで訪問。ソーラン節を全校生徒と卒業生の中学生で踊っていた。最近の中学生は背が高い。高すぎる。180センチ以上の子が何人もいて、もう立派な大人にしか見えない。大学生と言われれば、たぶん皆そう思うような体格だった。ソーラン節の後には、この50周年を記念したタイムカプセルの紹介と、9コアの地下に収められていたという、獅子舞も披露された(基町団地

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受動的に自己を開く5

受動的に自己を開く5

11/12(金)
朝、noteの記事(第1回目)に添削が入った。修正点を言われたが、なんとなくめんどくさい気持ちに。修正。なぜ僕が文章を書かなくてはならないのか...また、余計なことをしている気もしてきたが、自分の脳内ややった事の整理のためにも滞在日記は書いておこう。

昨日は持って行った粘土が全部なくなったので、午前中少し多めに粘土を用意。今日はどうなることやらという気持ちで午後基町へ。

昨日

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受動的に自己を開く4

受動的に自己を開く4

11/10(水)
13時。基町に到着。とりあえず何かしなければと思い、中国食品の店にチラシを持って行く。最初に入った店では、日本語が話せないと言われた。久しぶりの中国語で緊張してしまった。言っていることは半分くらい聞き取れなかったけど、一応、僕が言ったことは通じたようだった。たぶん貼る場所がないと言っていた。地域の案内などがいくつか掲示されているガラス窓の開いたスペースにチラシを押し当て、こんな感

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受動的に自己を開く3

受動的に自己を開く3

11/6(土)
ユニテ(基町プロジェクトの持つギャラリースペース)に展示されている鹿田さんの作品は、広島の風景が写った記念ハガキを使った作品だ。同じ場所が写っていると思われる今と昔の記念ハガキを合成した写真作品になっている。今と昔を重ねていて僕は好きな作品だ。実現していないけれど、僕も、昔爺ちゃんが原爆にあった日に通った道のりを映像で表現するプランで、今と昔を重ねるような方法を取ろうと考えたことが

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受動的に自己を開く2

受動的に自己を開く2

前回の記事では、基町や僕の美術について少しだけ触れました。今回は、僕の基町での活動について、少し詳しく説明(あるいは、より一層意味不明に?)してみたいと思います。

美術なんかで表現すると言えば、たいていは能動的に、はきはきと何かを見せるという感じがするけれど、僕が場所や人と関わるというときは、なるべく能動的に押しつける態度で臨むのではなくて、数名の住人に運よく出会い、その言葉や行動、場所を、まず

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受動的に自己を開く1

美術展の「基いの町」に参加している寺江圭一朗です。しばらくの間noteで、日々の反省を綴っていってみようかと思います。このアカウントの1つ目の記事に展覧会の詳細が書かれているようなので、気になる方はそちらもご覧ください。

この展覧会はすでに、2021年11月6日からスタートしているのですが、12月には新たに、今回の参加作家の基町(この展覧会の舞台となっている地域)での研究過程を見せる展示が開催さ

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