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マシーナリーとも子EX

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2022年7月の記事一覧

マシーナリーとも子EX ~速さへの渇望篇~

マシーナリーとも子EX ~速さへの渇望篇~

「キャッホー!」
 
 ブブブブブ……ゴゴゴゴゴ……。
 モーター音、アスファルトを切りつけるタイヤの音……。それらに混じって錫杖のはしゃぐ声がマシーナリーとも子たちに聞こえてきた。
 錫杖は原動機付自転車にまたがっている。ひらがなの「し」を更に強引に曲げたかのようなフォルムにパステルグリーンのボディカラー……色は黒系統ばかりだったので買った先で即、塗装してもらったそうだ……。この車種は原付2種と

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マシーナリーとも子EX ~カニ虎伝説篇~

マシーナリーとも子EX ~カニ虎伝説篇~

「ガマちゃんさあ」
「な〜に?」

 店主のガネーシャに呼ばれ、鎖鎌がレジカウンターに駆け寄る。高円寺のアンティークショップ「ムンバイ」。鎖鎌と錫杖がバイトしている、ほとんど客のこない古道具屋だ。しかもたまにくる客は大抵まともな人間ではない。亜人や宇宙人……そうでなければサイボーグといったところで、時たま警戒した表情で普通の人間が入ってくることはあるが、大抵置いてあるものの価値がわからず帰っていく

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マシーナリーとも子EX ~真実との接触篇~

マシーナリーとも子EX ~真実との接触篇~

 Dr.ココスの依頼を請けたその日の深夜、ワニツバメは高田馬場の喫茶・ローリングドリームにいた。この日は亜人専用の深夜営業日……。人類に後ろめたい話をするには都合が良い。

「ワニさんには何か出したほうがいいかな?」

 お代わりのコーヒーを持ってきた店主・リープアタック田原が気を利かせてセベクに話しかける。セベクはガウガウと身を捩ってツバメに要求を伝えた。

「ありがとうございまス。ではロースト

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