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#38 ケント@東上野

大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

かつての自宅から近いということで、よく利用していた喫茶店「ケント」。

なぜケントという名前なのかをお店のかたにうかがうと、まさに喫茶店あるあるで、「前の方がやっていたお店がケントという名前だったので、そのまま引き継いだんですよ」とのこと。
だから、なぜケントなのかはわからない。

お店があるのは、かっぱ橋本通りにある。かっぱ橋本通りは上野と浅草をつなぐ道で、ケントがあるのは上野に近いあたり。
いまのご主人は以前、もっと浅草に近いほうで喫茶店をやっていたのだが、この物件が空いたというので移ってきたそうだ。

看板には喫茶、洋食と書かれているように単なる喫茶店というよりも、ランチ時は食事をする人であふれていた。
もちろん、僕も何度も訪れていろいろなものをいただいた。最初はナポリタンだったかな。

ナポリタンに加え、イタリアンというのがあったのでいただいてみた。

黒コショウが効いていておいしかったなぁ。

ケントさんでは、いろいろな取材を受けたり、打ち合わせをさせていただいた。
たとえば、csのテレビ朝日チャンネルで放送中の『ぶらぶら町中華』の最初の顔合わせもここでやったなぁ。

しかし、ケントは2018年10月10日を最後に閉店してしまった。
表に閉店の挨拶が貼られていた。
写真を撮ったつもりだが、見つからないのでネットにあった写真から文字だけを書き写してみた。
タイトルはこれ。
40年間ありがとうございました。
10月10日で閉店します。
以下が本文。

皆様に支えられ営業を続けて参りましたが、
年齢には勝てず閉店することになりました。
良いお客様、良い従業員に恵まれ
これまで営業できたこと 本当に感謝しております。
近くに住んでおりますので、お会いすることもあると思います。
そのときはひとこえかけて頂けると嬉しいです。
本当に楽しい40年間でした。
今までお付き合い頂き、ありがとうございました。
みなさまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
                 喫茶ケント


この文章は、たぶん女将さんが書いたのではないかと思う。
女将さんの人柄がにじみ出ている文章だ。
実際、女将さんはぶらぶらと近所を歩いていると、ひと声かけてくださるような方で、お店もこの方の人柄で繁盛していたようなところがある。

町中華同様に喫茶店もどんどん減っていくね。今のうちにもっといろいろ行っておかなくちゃ。


【プロフィール】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。

ツイッター https://twitter.com/maguro_shimo

【著書】
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