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#37 来集軒@仲御徒町

大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

新宿区から台東区に引っ越してきて、とにかく驚いたのは個性的な個人店が多いということだ。
なかでもいちばん個性的だったのが、台東2丁目にある「来集軒」だった。
その外観の素敵さにまずはしびれた。最初に見たのは2014年7月25日だった。夕方ですでに店は閉まっていた。

何度か外観を撮影しているのだが、なかなか営業している時間に来れなかった。

ガラス戸のところに営業時間を書いた紙が貼られている。
11時30分から午後3時30分が営業時間で、定休日が水、木、日曜祝日となっている。
ネットで情報などを調べてみると、こちらのお店、おばあちゃんがやっている町中華だとか、この店のある通りの名前が新東京通りという名前で、その由来はかつて新東京という映画館があったからだというようなことがわかった。
そして、8月11日、やっと営業時間内に行けると、意気揚々と店にうかがえば、営業時間の紙の上に衝撃のニュース。 

ま、まじですかぁ。いやぁ、なかなか食べられないねぇ。

というわけで、2014年10月3日にやっとこさ、こちらのお店ののれんを見ることができた。なんだか、ものすごく感激した。それに緊張感もハンパない。
ネットで予習はしたものの、初体験だからだ。
しかし、90歳を超えているという女将さんは、想像以上にお元気そうだ。
注文は厨房へ行き、大きな声でとあったので、そうした。
最初だからラーメン。

いやぁ、想像以上においしかった。しかも、450円。これはまた来なくちゃ。

見慣れないメニューがあった。ソースチャーハンだ。次はそれをいただこう。

というわけで、ソースチャーハン。
想像していたのとはまったく違う味だった。
タマネギがじっくり炒められていて、甘いのだ。洋食のようなかんじ。
初めて食べる味だ。

その後もカレーライスなどいろいただいたが、2016年11年、残念ながらお店は閉店してしまった。
62年間営業していたそうだ。
そんな情報が食べログで読めるのもありがたい。

しばらく、お店はそのままの状態だった。2019年6月4日に行ってみた。

一般の住宅になっていた。
まだ入居はしていないようだった。
かつてこの通りに映画館があって、多くの人が行きかっていて、飲食店が軒を連ねていた様子は今は想像できない。


【プロフィール】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。

ツイッター https://twitter.com/maguro_shimo

【著書】
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