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書評

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記事一覧

重圧と集中力(熔ける/井川意高)

カジノのバカラにハマり、子会社から106億8000万円もの資金を借り入れ、会社法違反で実…

Magricco
2週間前
3

負の連鎖(ヤクザ・チルドレン/石井光太)

暴力団の家族として生まれ育った子供たちは、社会の中でどう生きているのだろうか?ー ヤクザ…

Magricco
4週間前
1

無駄なこと(ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち/レジー)

ビジネスシーンで使える「話を合わせるのに最適なネタ」をクイックに仕入れて、「うまく立ち回…

Magricco
1か月前
1

定価の感想(転の声/尾崎世界観)

クリープハイプのボーカル・尾崎世界観による3作目の小説。 処女作『祐介』は半自伝と思しき…

Magricco
1か月前
5

それは、愛ではない(「小児性愛」という病/斉藤章佳)

アルコール、ギャンブル、薬等の依存症を更生させる施設の職員である著者が、小児性愛(ペドフ…

Magricco
1か月前
4

俯瞰する男を俯瞰する男(令和元年の人生ゲーム/麻布競馬場)

5月に感想を書いた「タワマン文学」のアザケイの新作。 つい先日、直木賞にノミネートされ、…

Magricco
2か月前
12

母国語以下(不実な美女か貞淑な醜女か/米原万里)

ロシア語同時通訳者である著者による、通訳エッセイ。 クスっと笑ってしまう通訳ミスのエピソードがてんこもりで、すごく面白かった。 下ネタの多さ、そして通訳者の勘違いによって生じるシチュエーションコメディは、さながらアンジャッシュのすれ違いコントのよう。 あと以前、映画の字幕翻訳者が「ダジャレや諺が難しい」と言っていたのを聞いたことがあったが、通訳は瞬時に代わりの言葉を探さなきゃいけないのか…とあらためて驚いた。 著者は、「そういうのを日本ではね、『他人のふんどしで相撲を取る

「負け犬の遠吠え」の逆(無敵の犬の夜/小泉綾子)

文藝賞受賞作。 主人公である九州の田舎の中学生・界は、幼少期の事故で右手の小指と薬指の半…

Magricco
2か月前
1

「あなた自身の人生を歩んでください」(母という呪縛 娘という牢獄/齊藤彩)

2018年に滋賀県で、医学部9浪の娘が母親を殺害し、バラバラにして遺棄するショッキングな…

Magricco
2か月前
8

健康な個人(私とは何か「個人」から「分人」へ/平野啓一郎)

平野啓一郎氏が「分人」という新しい概念を元に、私とはどういう存在か?を論じる新書。 多く…

Magricco
3か月前
3

ドライでサイコパス(おいしいごはんが食べられますように/高瀬隼子)

芥川賞受賞作。 タイトルからかもめ食堂的なほっこり系を想像していたら、いい意味で裏切られ…

Magricco
3か月前
7

固有名詞の鬱(この部屋から東京タワーは永遠に見えない/麻布競馬場)

Twitterの人気者、麻布競馬場(@63cities)の小説をまとめた本。 いつしか彼の短編小説がバズ…

Magricco
4か月前
3

実在(存在のすべてを/塩田武士)

神奈川県で起きた二児同時誘拐事件。 警察の助けがあったにも関わらず身代金の受け渡しに失敗…

Magricco
5か月前
1

生産性の罠(限りある時間の使い方/オリバー・バークマン)

人生は4000週間しかない。効率化ツールや時短家電で生産性を上げれば幸福度は上がるかというと、そうではない。生産性は罠であるー たまたま立て続けに読んだ『DIE WITH ZERO』に通じる内容も多かったが、こちらも名著だった。読んでよかった…。 お金と時間は常にトレードオフの関係にあるが、『DIE WITH ZERO』がお金に焦点をあてた作品なら、こちらは時間に焦点をあてた作品の印象。時間とは私たちそのもの、という一文は、児童文学『モモ』を彷彿とさせた。 1.生産性の