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流れる時間の違い

週に3日関わる専門職
365日毎日関わるご家族
ここには流れている時間が違う

  


1.骨折、そして入院生活

右利き男性、右半身麻痺。
杖を使用して自力歩行でご利用されていた。
ある朝、お迎えに行くと自宅前で転倒されており、そのまま救急搬送に。
右大腿骨頚部骨折。
入院となった。
ケアマネさんのお話では、落ち着いたら転院してリハビリを行った状態を見てどうなるかだろうと。
1カ月ないし2カ月立つか経たないかくらいに連絡が。
当然、転院の連絡だと思っていたら退院だと。
そして、リハビリは一回もしていないと。

もともと、ちょっと強面で、失語症があったので、自分の想いを言葉で表現するのが上手くなく、時に物を叩いたり、足をドンドンすることで意思表示をされていた。
初見だと、怒っているように映ったり、拒否反応に見えるのだろうと察しはする。
ケアマネさんの話では、
リハビリも介助も拒否的で受け入れず、落ち着かないのでお薬調整をしたとのこと。
すると、入院生活中は寝たきりだったと。
起き上がることもなく。
排せつも全介助でベッド上。
食事は食べられなくミキサー食に。
リハビリは0回。
歩行を試すこともない。

MSWからの助言では、
「在宅生活は難しいですよ」

  

  

2.奥さんの覚悟

「もう別人になっていて、ビックリしてさ‼ 顔も違うし、だらんとしているし。家に戻るのは無理だって言われたんだけど、このままいる方がダメになると思って連れて帰ってきた。」
「何とかなるかと思ったけど、やっぱり大変だわ」
笑いながらいう奥さんの覚悟を感じた。

退院翌日、退院祝いに寿司を食べに行ったと。

今までミキサー食で、自分では食べられないという情報の中、
本人が食べたいと言ったからとお寿司を。
もちろん、お気づきの通り、
何の問題もなくペロリと平らげた。

室内歩行は難しく、車いすを使用しているが、
排せつはトイレで行い、立位はかろうじて。

顔の表情も受け答えも日に日に良くなっていると。

奥さんの希望は、
早く前のように歩いてもらいたい‼


3.流れる時間の違い

デイサービス復帰初日。
車いすにて来所、室内は車いす。
ソファーへは移乗していただき、
ソファー・食卓テーブル・トイレの行き来、入浴の際に移乗動作が発生し、できるだけ自分の力で行っていただいていた。

歩けるようになるのは難しいかも。
当初はそう考えていたが、
これは歩けるようになるな。
確信に変わり、
雪が降る前には歩けるようにと弊社では考えていた。

結論
退院し利用再開1カ月とちょっと。
入浴も普通浴槽で、車いすは使用せず杖歩行で利用している。
ほぼほぼ、奥さんの力で。

私たちは、専門職として、
「〇〇が△だから、これが□になったら××してみようか。」と、
ゆっくりと安全に、慎重に向き合っていた。

「なんか行けるかと思って、初めてなんだけど歩かせてみた」と、
お迎えに行くと車いすがなく支えられて外で待っている。
これが自力歩行の始まり。

専門職に求められていることって、
スピードだなと。


流れている時間が違う。


私たち専門職は週のうち3日しかお会いしない。
向き合う時間が少ない。
その中で、ゆっくり慎重に時間をかけていた。

しかし、奥さんは、
365日ずっとご本人と向き合い、逃げ場がない。
ゆっくりなんて言っている余裕がない。

私たち専門職の1週間と、
奥さんの1週間では、
時間の流れが違う。

専門職だからこそ、
慎重かつ安全であることは当然のこととして、
求められていることに対してコミットするスピードが大事。

早く‼
が、求められているのだと。


待っている時間はない。



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